【Ⅱ・悲しみ】
17/9/18 一部文章を追加しました。
18/9/24 全体の修正、校正及び推敲を行いました。
≪沢井≫
なんだってんだ畜生。さっきまで気持ちよく寝てたってのに、今は公安の取調室で冷たいパイプ椅子の上に座らせられているなんてことがあるのかよ。
目に映るのはオレンジ色の囚人服、目の前には幅広のデスクと椅子がもう一脚、そして壁には俺の寝ぼけ顔を映すどでかいマジックミラー。部屋の壁と床はかざりけもなにもない灰色だ。足先がどんどん冷えていくこの感じだと、床はコンクリートむき出しっぽいな。せめて床にリノリウムでも貼ればいいものを。
……んなことはどうでもいい。なんで捕まった。
さっき来た公安要員は俺の権利を並べ立てるだけで、質問には答えなかったし、罪状も教えてくれなかった。
確かに叩けば一か月干さなかったマットレス並みに埃が出てくる生活をしてきたが、どれもバレちゃいないはずだ。それに商店街が消滅してから、アングラとはほとんど接点を持ってねえ。
それに突入してきた公安の突撃チームは相当な重武装だった。ありゃ確か、重火器を持ってる危険人物相手の装備だったはずだが……。なんで銃なんか持ってない俺相手に、そんな重武装チームを送り込む必要があったんだ。
ドアが開いて一人の男がファイルケースを持って入ってきた。若いな、この公安要員。
「よう」
そいつは何も話さず、目の前の椅子に座って俺と向かい合い、ファイルを広げた。
「沢井正義、2082年8月11日生まれの44歳。職業は獣医師兼細菌学者。管理IDはKOPP133のイエロー」
「ああ、そうだよ。で、あんた名前は?」
男は眉をひそめる。
「なぜ犯罪者にそんなことを言わなきゃならない?」
「じゃあ逆に聞いてやろうか。名前も知らないやつをどう呼べって? それにあんたが公安だという保証がない。公安なら取り調べに応じ──」
男は俺の言葉を遮って、警察手帳を開いて差し出した。公安委員会のマークや顔写真とともに氏名と階級が書いてある。
萩原誠治警部。対テロリズム部門所属。
どうせ偽名だろう。公安がまともな名前を名乗ったことは一度もないと、アングラにいたときに聞いたことがある。
萩原が「これで満足か?」と聞く。俺は頷いた。
「ああ、ありがとよ。で、俺はなんで捕まった」
そう聞くと、萩原は少しだけ動揺するように目を泳がせ、ファイルの中にあった写真を数枚取り出し、裏にして目の前に広げる。
──こいつはポーカーに向いてなさそうだ。で、この写真は……?
俺は写真を手に取って捲る。
酷い銃創だ。銃に撃たれたり手榴弾の破片を浴びたりした動物や人間は見てきたが、その中でも酷い部類に入るだろう。男の方は体の上半身に集中して、複数個所に銃弾を浴びているあたり、立ったまま近距離から銃弾を浴びたように思える。
もう一枚見ると、そこは胸に穴が開いた女性の写真だった。
思わず目を見開く。まるで至近距離から12ゲージ・バックショット弾を食らったかのような傷だ。明らかな過剰暴行。こんなことができる奴がいるとは思えない。
──なんだ……これ!?
驚愕を隠し切れないままもう一枚捲ると、割れた入口の強化ガラスと、壁に血で塗りたくられたケルト文字のMの写真だった。この血が誰のものなのかは、なんとなく予想はできる。
ケルト文字のMは雪村曰く、『人間』という意味で≪人間同盟≫──極左暴力集団。アンチマシン派のテロリスト──がシンボルにしている。確か白地に黒いケルト文字のMが、あいつらの旗だったはずだ。
他の写真もいくつかあったが、俺が見てもよくわからないものだったから軽く見るだけにとどめた。何より、先ほどの写真のショックが酷くて集中できない。
俺は写真をデスクに置いて、頭を振った。
「なあ、萩原さん。ここ、日本だよな? 2127年で間違いないな?」
俺の問いかけに奴は変な顔をして頷いた。
「良かった、まるでWWⅢの時のテロリストに処刑された女性みたいな写真だったもんでな……何があったんだ?」
萩原は俺を怒鳴りつける。
「とぼけたことを言うな。昨日の深夜、電子新聞社の3階にいた黒原カサンドラとマーク・D・スティーブンスンが≪人間同盟≫過激派に襲われて死亡した。そして、現場にいたバンがお前の車のナンバーと一致したんだ。車体の色もな」
当たり前だが、俺はそんなことをしていない。というか、深夜なら引き取り手のない動物たちの面倒を見ていた。もちろん車にも乗っていないし、車庫にも行っていない。
とりあえず、こいつを落ち着かせよう。頭に血が上った状態じゃ、まともに話もできん。
「オーケー、ちょっと落ち着け。俺の車は押収したんだろ? 証拠は出たか?」
「GPSがお前の移動ルートを──」
そこで萩原を遮る。
「ナビは必要ないんで、俺は車にGPSを着けてない」
「いいや、公安がつけたトラッカーがある。そいつがお前の移動ルートを記録していたんだ」
「ああ、あの対テロ法案諸々のおかげで要注意人物はそういうことができるんだったな……」
そうなると、車関係だと否定材料が思いつかない。少しでも気が利く人間ならエンジン始動とともに起動する何らかの装置でもつけているんだろうが、そういう類はつけていないから、エンジンがかかったかどうかのログが機械に残ることはないだろう。
とはいえ、エンジンが掛れば家の中にいても音が聞こえる。だから、それで車が動いたかどうかわかるが、昨日はそれを聞いた記憶がない。
俺が思案している間、睨むように萩原は俺を見ていた。無理もない、二人殺した嫌疑がかかっているのに、睨まない奴はいないだろう。
「弁明はないのか」
「したいところだが……俺には状況証拠しかない。確かに昨日は車を動かしちゃいねえが、それを信じようとはしないだろ? それにあの日はPCも使ってなかった。PC側にもログはないだろうしな。アンドロイドが居たところで、証拠にはできないんだろ」
しかし俺の疑いを晴らさない限りは、間違ったやつに時間を割くことになる。さっさとあんなことをしたクソ野郎を捕まえてもらわないと。
「当たり前だ」
「俺は≪人間同盟≫が大っ嫌いで、≪人間同盟≫とはほとんど関わり合いがない。精々、元幹部の親友が一人いるが、そいつをぶん殴って辞めさせたくらいだ」
萩原は警察手帳を数枚捲ってから、「雪村尊教か。奴とは今でも連絡を取ってるのか?」
「もちろん。多分、あいつに俺にかかってる嫌疑の話をしたら否定するだろうよ。『彼はそんなことしないよ』ってな」
奴は鼻を鳴らして、「どうだかな」と呟き、ファイルケースの中から数枚の資料を取り出して見せつけた。車のトランクとタイヤ、後部バンパーの写真で、おかしいところは全くない。
しいて言えば、タイヤを変えるのを忘れてて、ちょっとすり減ってるくらいか。
「これは何処で直した?」
全く意味が分からない。壊れてもパンクしてもいないものをどう直せと?
「は?」
俺の言葉に、驚きかそれとも怒りか、奴は顔をしかめる。そんな顔をされても、知らないものは知らない。
「修理してないのか?」
「いや、してない」
一瞬、その場を沈黙が支配する。沈黙を破ったのは萩原だった。
「ふざけんな。日本統合自衛軍の一部隊が、マガジン一つを後部にぶち込んでんだぞ。どこかで修理しないと、こうはならないんだよ。いい加減、事実を言え」
奴が拳を机にたたきつける。机の上の写真が数枚、床に落ちた。このままだとまずい。落ち着かせないと。
「落ち着いてくれ。もう一度言う、俺はやってない」
「お前が、お前の車が、現場に有ったんだよ。それなのに、事実を否定するのか」
だめだこりゃ。何言っても聞いてもらえそうにないな。
「ああ、何度でも。事実ならな」
その言葉に、萩原は俺をじろりと一瞥した後、取調室から出ていった。
──やれやれ……。
ため息をついてもいられない。このままじゃ、俺はテロリストとして捕まることになる。
──なんとか疑いを晴らす方法を考えなきゃあな。
≪豊川≫
私が肩を怒らせながら取調室の裏に入ると、春日井警視監──偽名として杉野良平や周浩宇などを使う人で、個人的にも付き合いがある──が片手に紅茶の入った紙コップを持ちながら、険しい顔で沢井正義のことをマジックミラー越しに見ていた。
普通、こんな高い立場の人がここに来ることなんてない。だが、この人は興味があったのか何なのか、ここにきて奴のことを見ている。
「こんにちは、春日井警視監」
彼は歯のない顔で笑い、「お疲れさま。どう思う?」と聞いてきた。
「奴でしょう。物証もありますし」
「物証だけじゃあ、強制労働所に放りこむことはできんよ。それに、プロファイリングにも当てはまらない」
「プロファイリングはすでに古い技術です。あんな不確実な統計学に基づくものを信頼するんですか?」
「『温故知新』だよ、豊川君。彼が写真を見たときの反応が、私にゃあ……とても気になるね」
「どういうことです?」
彼は手に持っていた紅茶を一口飲み、指を一本立てた。
「そうだねえ……まず、一つ目は写真を食い入るように見ていたことだね。仮に彼が共犯者だと仮定する。その時、事件現場の……それも凄惨な事件現場の写真を見たとき、何を思うかな?」
そんな問いをされたところで、知識が無ければ答えられない。だが、分からないと認めるのも癪だ。
「じろじろ見るんじゃないですか、あいつみたいに」
そういうと、彼は笑った。
「違うんだ。自らが人を殺したという罪悪感から、目をそらすんだ。彼の様に食い入るように見るのは、罪悪感の欠落しているサイコパスか自らの手柄に酔いしれる自己愛性人格障害、若しくは無罪の人間なんだよ。普通の人がグロテスクな写真を見て嫌悪こそ抱くが見ることができるのは、自分がやってないからというわけだ」
「じゃあ、サイコパスかナルシシストでは?」
「違うと思うよ。サイコパスなら前頭前野と偏桃体のつながりか遺伝子を調べればわかるだろうが、彼はそれに引っかからないだろうね。では、ナルシシストの可能性は? これは検査してみないと分からないが、少なくとも基礎教養の時点ではその形質は発現しなかったようだ。となると、無実の人間という説があり得るわけだね」
そして、彼は二本目の指を立てた。
「次に、≪人間同盟≫過激派のような反社会的勢力に、年を取ってから与することはあまりないんだよ。キケロの『老いは深謀、若きは無謀』じゃあないんだが、年を取るとそういうものに与するリスクや思想の非合理性が分かるようになり、そういうものから遠ざかる傾向にあるんだ。もちろん、老年の構成員はいる。それは若い時に与して以来、ずっとその思想に触れ続けた頑固者か何かその人を突き動かす出来事にあって与した人間だ。前者は思想がまるで大木に巻き付くツタの様に自らの一部になって、選択の幅を狭めてしまっている。後者はリスクや非合理性を考えられるほど冷静ではなくなった人間だ」彼が紅茶をもう一口飲む。「だが、彼はそのどちらにも該当しないということは、君も知っていると思うがね」
そこまで言われると中々否定しにくいが、それでも私は奴が犯人だと考えている。なにより物証がある。それに奴以外に容疑者が居ない。
「でも、それは推測でしょう? 物証が──」
警視監は私を遮り、厳しい口調で私に告げた。
「いいかい、手柄のために冤罪を求めてはいけない。そうなったとき、私たち執行機関の信頼はなくなってしまうんだ。分かったね?」
図星を指されて、うろたえる。警視監は軽く頷いた。
「君のような野心家ならば、手柄をあげるのが昇進への近道だと考えているんだろうね」
また言い当てられた。
確かにこれで犯人を捕まえられれば、私の手柄になる。ただでさえ予算が減らされて人員が減っている公安では、成果が無ければ自主退職を促されることになる。
そのなかで勝ち上がって上に行くには、ともかく手柄をあげるしかない。
警視監はまた、歯のない顔で笑った。
「慎重に捜査するんだ。どうせ、思想犯の容疑がかかっている人間は法律で168時間拘束できるんだから、ゆっくりやる時間はある。必要なら私に言いなさい、拘留延長もしてあげられるから」
それもそうだった。対テロ法案のおかげで、テロリストの疑いのある人物は長時間の拘束が許されている。それだけでなく、状況が切迫しているようならば、令状なしに米国防高等研究計画局で開発された脳波判定──実は仮想電脳世界はこれから派生した技術だ──で拷問や自白剤、噓発見器を使わずとも真実を引き出せる。
「わかりました。私は周囲の人間を洗い出してみます。あと、第一発見者の兵士からももう一度話を」
警視監は私の顔を一瞥した後、「頼んだよ。冤罪だけは、絶対に避けなさい」と言って私の肩を軽くたたいた。
≪山田≫
エクソスケルトンの代わりに制服を着た俺は、無駄にでかい会議室で5人の上官に睨みつけられながら、気をつけの姿勢で立っていた。
俺はあれから、襲撃事件の第一発見者として公安に数日間の取り調べを受けた後、釈放されることなく、行動が適切だったかどうかの査問会を軍から受けている。そういうわけで、一介の歩兵から、事件を解決するにあたって問題行動がなかったかどうか疑われている被疑者にレベルアップ……というよりはレベルダウンしてしまった。
会議室を見回すと色々と目についた。窓は赤や青のステンドグラス、上官が座っている机は一枚板だろう。そのほか壁にはサーバーやら量子コンピューター、あと事件を記録するタイピストAIがいる。
──税金の無駄じゃあねぇかねえ……。
俺がどうでもいいことを考えながら周りを見回していると、上官の一人がペンの尻で机をトントンと叩いて、イラついた声で俺に話しかけた。
「……で、君は交戦規定に沿わず、民間人のいるエリアで、正体不明の人間に、人質がいる可能性を考慮せず、発砲したのかね? それも一人で?」
──いちいち切って強調せんでもわかるって。
「いくつか事実と反しております、サー。私はROEに沿い、口頭による警告を行ったところ、敵が発砲してきたために正当防衛として応戦しました。また、エクソスケルトンの照準アシストによって民間人への被害は最小限に抑えてあります。ほか、人質の可能性については同伴戦闘アンドロイドのJ2DF:JWM:2000:1010:SOF2471が交戦前に熱線スキャンを行っており、人質と思わしき熱源は存在しなかったという記録があります、サー」
そこで、俺は言葉を切ってから、付け加えた。「一人で戦闘したわけではありません。歴戦の兵士10人ほどに相当し得る、最新型のJWM-8600Xを同伴していました」
すると、別の上官──日本の技術研究部の一人だ──が、ざらついた声で話しかけてきた。
「もしかしたら、JWM-8600Xを損失するかもしれなかったんだぞ。相手は手榴弾を使っていたんだ、もっと火力のある武器がなかったとは限らない。そんなものを撃たれてたら、価値あるJWM-8600Xが損失していたに違いない」
──あいつはそんなんじゃ死なないだろうよ。携行型核融合弾でもありゃ別だろうがな。
そんなことを考えていると、うちの大隊長が「君が初めに提示した巡回経路と電子新聞社は離れているのではないかね」と聞いてきた。
「離れています、サー。しかし、統合自衛軍法第五条第二項その一、『統合自衛軍は、治安の維持と人命の保護を主な任務する』。当条項に従い、人命が危機にさらされていると判断し、任務から逸脱していないと判断しました。また、警らの主な目的は人命若しくは財産の保護であり、民間人へ危険が迫っているのなら救出に行くのが命令です」
「だが、君は命令なしに任務を変更したではないか」
「先ほども申し上げましたように、警らの目的および命令は『人命若しくは財産の保護及び民間人の救出』です。『巡回ルートを予定通り回ること』ではありません。加えて、現場における指揮権はこちらに移譲されていたはずですが」
上官にそうかみつくと、彼らは目を見合わせる。
ほどなくして、口を開いたのは委員会代表の准将だった。
「こちらの調査が終わり次第、君の処分を下す。それまで、君は任務から離れること。言いたいことはあるかね?」
「ありません、サー」どうせだし、一発仕込んでやろう。「厳粛な調査を求めるのみです」
俺のセリフを聞いた准将は頬を軽くひきつらせ、「……では、解散だ」と皆に告げた。
続々と立ち上がり、会議室から出ていく。だれもほかの人間と話さず、肩を怒らせてばかりだ。
もちろん、俺も例外じゃなかった。こんな茶番劇のような──実際、軍法と照らし合わせてみても俺の行動に瑕疵はないはずだ──委員会で愚痴られた挙句、責任を押し付けられそうになってる状態で怒らない奴が居たら、俺はそいつを一生あがめてやるよ。
そんなことを考えながら、とりあえず自分の兵舎に戻ることに決め、廊下を歩き始めた。
少し歩いていると、いつも通りの蛇人間のような姿をしたジョンが物陰から出てきた。相変わらず気配がない。
「大丈夫でしたか、山田さん」
「ああ、ありがとよ。大丈夫だ、なんとかなる」
俺は歩みを緩めることなく、自分の部屋に向かう。すると、ジョンが付いてきた。
「そうでしたか」そういって、ジョンは頭を軽く下げた。「申し訳ありません、私がもう少し機転を利かせていれば、回避できたかもしれないものを」
──こいつは本当に人間みたいだ。いや、正直に謝れるだけ人間よりまともだな。
運用試験と称して何年も一緒に働いたり戦闘もやったりしてきたが、ジョンは優秀なパートナーだった。こいつは命令を完全に理解し、状況を的確に判断し、目標を確実に仕留める。
昔、一緒に戦っていたジーナやワトキンスも中々上手い奴だったが、あいつらは『見えない戦争』に飲み込まれて、死んじまった。かくいう俺も、ポリナイトロジェンボムのせいで顔を失ったが。
現代の多くの国じゃ、「戦争はなくなった」と言われている。だが正確には「戦争は『見え』なくなった」んだ。どこで、どんな勢力が戦い、どれだけ死んだのか……そんな情報はどのメディアにも書いていないし、報道されていない。電子新聞社でさえ、限定的な記事しか出してない。
俺はなんでそうなっちまったのかは知らない。ただ一つだけ言えるのは、人気のある記事はドメスティックな話題だけ。
例えば、フィリピンで戦争があって罪のない市民が100人惨殺されたという記事と日本で≪人間同盟≫過激派の支部を襲撃してテロリストが10人死んだという記事なら、後者の方が多くの人に読まれて、多くの時間生き残る。逆に前者は、まるで嵐の海に浮かぶカヌーのように情報の波に呑まれて、誰にも気に留められずに沈んで行ってしまう。もちろん、その乗員のことなんて、誰も探しはしない。
そして、『見えない戦争』は銃を突きつけ合うだけじゃない。俺みたいな上に歯向かった人間も同じように人知れず沈んでいき、消えていくことがほとんどだ。
「いいんだよ、ジョン。次の奴にも優しくしてやれよ」
ジョンは首を少しかしげる。
「私の運用任務から離されるということでしょうか」
「確実なことは言えんが、しばらくはな。下手すりゃ、強制労働所に逆戻りかもしれねえし、除隊もあり得る」
俺が言っていることは事実だ。実際、委員会という名の茶番劇の役者となって、不名誉除隊や牢獄行きになった兵士は多い。尤も、俺たち兵士が上層部に跳ね飛ばされて退場させられるという方が正しいが。
ジョンは頷いて、「あなたと戦えて良かった」
「お前は最高のパートナーだったよ」
「ほめていただき、ありがとうございます。では、私は試験場に戻ります」
そういって、ジョンは一礼してから試験場に向かって歩いていった。俺はそのまま歩き続け兵舎へと向かう。
少しでも文学的素養がある人間なら、これを「永遠の別れ」とか「離別」とでも表現しそうなものだが、俺にはそうは思えなかった。
世の中、真っすぐじゃなくて馬鹿でかい円かもしれないからな。反対方向に歩いて行っても、途中でかち合うことがあるかもしれないだろ。
≪リーベ≫
家事を終えた私は電子新聞が来ていないことに気が付いた。いつもなら、7時頃にはe-ブックスタンドに到着しているはずなのに。
「あれ?」
もう一度探してみるが、やはりなかった。e-ブックスタンド側の問題かと思ったけれど、ほかの電子書籍や映画はいつも通りそろっている。となると、電子新聞か回線側の問題だろうか。
試しに中核システムにアクセスして、回線をトラブルシューティングしてもらう。異常なし。
その時、 お父さんがリビングに顔を出した。彼も何か考え事があるかのような顔をしている。
「ねえ、リーベ。電子新聞来てない?」
「来ていませんね……こんなこと、一度もなかったのに」
「システムダウンかな。でも、それならエイジス社かどっかに連絡していそうなものだし、あそこのシステムは結構頑丈なんだけどな」
「回線やe-ブックスタンドには問題なしですから、何かあったのでしょうか」
彼は「わからないよ」と言わんばかりに肩をすくめる。
その時、一通のメールが入った。送り主は電子新聞社広報部で購読者全員に送られるようになっている。すぐに開いて中身を読んだ私は目を疑った。
「襲撃……!?」
「え?」
私の言葉に彼も目を見開く。私はもう一度メールを精読して書いてあることが間違いじゃないと確認し、彼に要約して伝えた。
電子新聞社に≪人間同盟≫過激派が襲撃を仕掛けたと“思われる”こと。それで記者の二名が死亡し、システムがバックアップ含め破壊されたこと。復旧にはしばらくかかり、その間は新聞を供給できないこと。
そして最後に、『亡くなられた黒原さんとスティーブンソンさんの冥福をお祈りいたします。彼ら二人は優秀な記者であり、電子新聞社の理念を理解した素晴らしいジャーナリストでした』という一文が添えられていたこと。
「……リーベ、今日はエイプリルフールじゃないよ」
彼が片頬の筋肉を引きつらせながら、冗談を言う。正直、笑えるような冗談じゃない。
「私は人の生死をネタにするほど、悪趣味じゃありません」
「うん、ごめん」彼は顔をしかめて首を振った。「そんな馬鹿な」
黒原さんが来たのはつい数日前なのに。それに死んだなんて、信じられない。まだ知り合って日は浅いけれど、いい人だったのに。
「私も信じられません……」
「僕もだ。黒原さんが死んだなんて。それに、≪人間同盟≫がメディアを襲うだなんて」
その言葉に首をかしげる。
「どういう意味です?」
彼はソファに沈み込むように座った。少しして、座った目で私を見る。
「≪人間同盟≫過激派はテロリストだ。テロリストの目的は、『恐怖で政治的目標を達成したり主張を表現したりすること』だから、恐怖を伝播する手段が必要なんだよ。それの最も効率的な手段は何だと思う?」
「爆弾……とかですか?」
彼は首を振り、先ほど言った言葉の意味を話し始めた。
恐怖を伝播する手段として使われるのはメディアであり、さらに正確にいうならば情報であること。例えば、大都市のど真ん中に核爆弾を設置したという偽情報を流す。それで生じる損害はかなりのレベルになり、下手すると本当に核を置いたよりも被害が出ることすらある。避難時の混沌による死傷はもちろん、効率の良い避難のための公的機関の誘導や保安要員を動かすためのリソース、そして避難の間に生じる経済的損失。なにも核でなくてもいい、ちょっとしたことでも大きな損失を出すことが可能であり、それが続けば対応策のためにさらなるリソースを使わざる得なくなる。
そして、その負担が長く続けば、政府や組織は首が回らなくなり始めて、どこかに穴ができたり要求を呑みやすくなったりなってしまうこと。
そのために、彼らはメディアを使う。
拉致事件でも、まずは相手に拉致したということを知らせないといけない。その時に、本人を連れて行くわけにもいかないため、拉致された本人と分かる動画や音声を相手組織の目に入るようにする。その時に使うのもメディアであることがほとんどであること。
「メディア……ここではマスメディアというべきかな、彼らは媒介者だから標的以外の不特定多数にその情報を広めることができる。それによって伝播する恐怖や主張は、時として、標的を彼らの代わりに倒してしまったり民衆が目的を果たしたりしてしまうんだよ」彼は肩をすくめる。「だから、テロリストは基本的にメディアとある程度の距離を取るか、自ら報道機関を作る。攻撃に巻き込んでしまって報道されないようじゃ、彼らの主張や恐怖は伝播しないからね。それにメディアのお金を使って無料で宣伝ができるから、なおのことだ。ソーシャルネットワーキングサービスやそれに取って代わるようなPCWが発展してからは、それらをよく使うようになったけどね。まあ、それらもマスメディアの一種だから大して変わってないけど」
言われてみれば確かにそうだ。≪人間同盟≫過激派に限らず、極右から極左、アナーキズム・テロリスト、様々な組織がメディアを利用して、それを広げる。そういえばWWⅢ当時もそんな風に報道され続けてきたと、歴史に書いてあった。
「それで、『あり得ない』と……?」
「もっと言おう。対テロ組織、これは公安でも国家安全保障局でも情報軍でもいい、彼らがテロの疑いがある際に絶対やらないことは何か知ってる?」
私は彼が今まで言ったことから、自分なら何をするかを考えて、つぶやいた。
「報道しない事?」
彼は頷いて、「そうだ。正しくは、不正確な情報を報道させない事」と言った。
「加えて、内部リークをさせないように回線監視とか必要以上の情報を供給しないとか、組織内部に情報規制を敷いてまで恐怖の伝播を抑えこもうとする。内部にとどめて、外側はいつも通り平凡に進むように調整するんだよ。恐怖で生まれる憶測ほど、危険なものはない。2064年10月11日のアメリカ大使館襲撃の後、特定の思想を持つ人間が襲われた事件がある。それは特定の思想を持つ人間が危険だという間違った憶測が流れたからだという話だ」
そして、彼は「それを払拭したり調整したり、避難誘導したりするのもメディアだから、対テロ組織もメディアを利用して、確実な情報を流すようにしているんだ。グリム童話の『オオカミ少年』みたいなことにならないためにね」といって、話を締めくくった。
そこまで聞いて、もう一度メールを読み返す。確かに、このメールは今まで彼が言ったことと異なる部分が多数ある。
「テロリストがメディアを攻撃してもいるし、報道しない事が原則なのに報道されているし、まだ確実だと判明していないのに≪人間同盟≫と報道しているなんて……」
ため息をついた彼は、深く頷いた。
「そうなんだ。それに≪人間同盟≫はあくまで機械を攻撃する。作戦が失敗したり巻き込まれたりで、多数の人間が死ぬことはあった。でも、意図的に攻撃することはない。あり得ないけど仮に襲うとするなら、≪人間同盟≫はシステムをクラッキングして破壊するだけにとどめる。それだけの資産はあるからね」
彼はソファから起き上がった。
「何もかも僕の知ってることと異なる。それにこれが≪人間同盟≫のテロとは、内部を知ってる僕には到底考えられないんだよ。おかしい、このメールはおかしいんだ」
彼は頭を掻きむしる。
私もそうしたいくらいだった。もちろんお父さんの知識が間違っていないとも限らない。だとしても行動から対応まで、つじつまがあまりにも合わない。それにこういう攻撃を受けたときにパニックを広げないというのは、本で読んだことがあった。なのに、電子新聞社は広げるような行動をしてしまった。
確かにこのことに気づける人間はごく一部だろう。しかし、気づかない人間が何を行うかは容易に想像できる。
≪人間同盟≫への派閥を問わない攻撃とテロの脅威が迫っていると考え、なんでもいいから行動すること。それはパニックを引き起こし、多くの人間をまた傷つける。
掻きむしるのを止めた彼がソファから立ち上がる。
「これ以上のアクションがないことを祈ろう。僕は穏健派に接触して、本当にやったか聞いてみる。穏健派も過激派とはある程度つながりがあるから」
その発言に私は『驚いた』。もし、それがバレてしまえば、彼はまた≪人間同盟≫とかかわりがあると思われて、テロリストの仲間入りをしてしまう。
「でも、そんなことしたら……」
「大丈夫、穏健派は認定されていないから。とはいっても、時間の問題さ。それぞれ異なる簡単な問題を一つのものにまとめ上げて複雑にして、間違えた方向へ勘違いさせたり理解できなくさせたりする天才こと自称インテリジェントな方々は今頃、PCWでラベルメーカーのごとく『≪人間同盟≫は危険! アンチマシン派は危険!』と騒ぎ立ててレッテル貼りに勤しんでるだろうからね。こういう時だけ民主主義が働いて公安が動くんだから……全く」
そういって、彼はため息をついた。私は立ち上がって、「私も何かやります」と言うと、彼は首を振った。
「いや、≪人間同盟≫との接触に機械は不味い。いくら人間と見分けがつかなくたって、あんまり好ましいとは言えないからね。君には、別のことで手伝ってほしい」
「何でもやります」
彼は疲れた顔で微笑む。
「心強いね。じゃあ、前言ったSSDの解析、あれをやってほしい」
「あれですか?」
あまりにも関係のないことで『驚いて』しまった。
「うん。あれ、いくつか解析してみたんだけど、そこに『叩けよ、さらば開かれん』って聖書の一節があったからね。状況が刻々と悪くなっている今、ドアを開く必要があると思ったんだ」
≪雪村≫
それから数十分後。僕はリーベと一緒に書斎にいた。
尤も、リーベの方は座ったまま目を閉じている。この光景を──発想がまるでルネサンスだが──画家を一人呼んで肖像画にしたくなると思うのは僕だけだろうか。そういえば、肖像画家のモデルとなった人たちは、同じ姿勢で何時間も座らされていたんだっけ。加えて、19世紀前半の感光写真も、長時間露出させないと上手に映らないから、良く動く子どもを取るのは大変だったらしい。
そんなことはどうでもいい。こっちに集中しよう。
僕は通信を暗号化して、穏健派のホームページ──この時代、ホームページのない組織はない──にアクセスする。そこで見つけたフォーラムに〈アクセス求む〉と書き込んで、下にメールアドレスを貼り付けておいた。
このメールアドレスはもちろんマルウェアの一種で、これをクリックした人間のPCにバックドアを作る。あとは周防が僕を≪人間同盟≫の中から探し出したように、六次の隔たりの考えを応用して、PCの連絡先から辿って上層部にアクセスすればいい。
一分もしないで、バックドアが構築できたことを知らせるポップアップが出る。
──よーし、引っかかった。もう少しセキュアを考えるべきだよ、君たち。
アクセスしようと手を動かしたとき、相手方のIPアドレスがおかしいことに気が付いた。これは穏健派の日本支部のはずなのに、IPアドレスが新生ロシアだ。プロキシサーバーかと思ったが、調べてみるとそういうわけでもない。
多分、新生ロシアにあるサーバーか何かだろう。となると、闇市場で購入されたと考えるのが妥当だ。
ロシアは前世紀からサイバー犯罪が大得意だ。国家的な攻撃を得意とする中国とは異なり、優秀な大学を出たものの仕事が見つからないクラッカーが、就職までのつなぎでロシアン・マフィアに雇われて金儲けをすることが多いからだ。その遺伝子……いや、遺伝子は新生ロシアにも受け継がれ、偽装サーバーからDDoS用のウイルス、スクリプトまで何でも手に入る強大なサイバー闇市場を創り上げた。
かくいう僕もこの闇市場は何度も利用したことがある。尤も、購入側ではなくて出品側だけど。
なんといっても、購入したサーバーにはアクセスした瞬間に相手のPCを破壊するワームが仕込んであったり内部情報を抜き出すスパイウェアが入っていたりするからだ。そういう場所で買ったものにアクセスしたり購入したりするにはそれなりに気をつけないと。
とりあえず予防策として、仮想マシンを立ち上げてバックドアからサーバーに侵入を試みる。すると、数秒で仮想マシンが吹っ飛んだ。
マルウェアに反応して囮のサーバーにバイパス接続し、そちらにバックドアを作る。そして、入ってきた愚か者を逆にクラッキングして攻撃するシステム。つまりは兎用の罠だ。
「危なかった」
僕はつぶやき、フォーラムにまともな──あくまでマルウェアを仕込んでいないだけのフリーメールだけど──メールアドレスを書き込む。こうなると、確実だが時間のかかる方法をとる方がいいだろう。
本当は少しでも時間を削るためにも、上層部へ──まるで明治天皇に直談判しに行った田中正造のように──話を持ち込めると良かったのだが、そうもいかなくなってしまった。
──でも、昔から言うじゃないか。『急がば回れ』ってね。
彼らからのコンタクトがあるまで、僕は別のことの準備をしていた。別のこと……簡潔に言ってしまえば、一種の『情報爆弾』だ。
僕が「世界を変える」といっておきながら、何もしていないように見えたと思う。事実、沢井や周防にもこのことは小突かれていたんだ。そういえばリーベは急かせば無理するだろうと思ったのか、そういうことは言わなかったな。
で、話を戻そう。実際、僕は何もしていなかったわけじゃない。とはいえ、僕は政府を脅し──もし脅せば、すぐに対テロ法で捕まる──民衆を動かすこともできなければ、『蟹工船』のように労働者が反旗を翻すことを期待するわけにもいかない。ましてや政府を転覆させるような秘密兵器開発をするような、マッドサイエンティストでもない。というか、暴力嫌いだしね。
だが、人間が持つ最強の武器は僕にも例外なく与えられたようだった。それは知性と創造力。それを用いて、なんとか3つのプランを思いつくことには成功した。
まず一つは、少しずつ意識を変化させることで、世間に問題を提起させること。似たようなことをしているのは≪人間同盟≫穏健派だろう。この社会がいかに綱渡り状態で、僕らは働きかけないといけないんだ、そういうことを訴え続ける方法だ。
時間がかかり不確実な方法ではあるが、民主主義的に変化を起こす事ができるため、世の中をホッブズ的混沌に叩きこむ様なことは避けやすい。
そして、それは既にイーモノのフォーラムや色々な場所で行っているものの、今のところ失敗続きだ。それでもなんとか続けているけど、最近じゃスレッドの書き込みどころか閲覧数も減っているから、この感じじゃうまくいかないだろう。それに僕の想定以上に民主主義は死にかけているようで、これじゃどうにもならない。
で、二つ目の方法を考えた。政府内に協力者を作り、彼らに提起をしてもらうこと。そうすれば、上層部が変わったときにも臨時政府という形で政府を維持することができる。
だが、結果だけ言おう。今わかってる限り、全員死んだか辞めさせられた。
政府や国際機関の中にも、僕の考えに同調してくれる人間はいた。でも、全員が謎の死を遂げたり、ありもしない収賄容疑で強制労働所送りになったりしてしまった。そして、そのことを伝えた黒原さんは殺された。
こうなると、僕は最終手段に賭けるしかない。これがさっき言った『情報爆弾』だ。
IALAだけではなく色々な国際組織を、闇市場を使って世界中に拡散させたボットを用いてDDoS攻撃。それと並行して、攻撃特化型のエキスパートAIでIALAのサーバーを攻撃する。そして、漏れ出した情報をグラフ理論から導き出したルートで効果的に拡散させる。
例を挙げるとするなら、一つだけ石を放り込んだところで波は少ししか起きないが、何個も同時に放り込めば、水面に浮かぶ木の葉が沈む様なものだ。昔あったウィキリークスなんか、そのいい例だろう。あれが正義かと問われると、僕は答えに困るけどね。
ただ、これには問題が多すぎる。まず僕や周防の腕をもってしても、シギントでは極秘事項を暴くことはできない。かといってヒューミントのためのアセットは持ち合わせていないし、情報が検閲されている現在においてオシントではまだピースが足りない状態だ。それにボットの数が足りるかもわからない。だから、爆発させるための雷管は用意できても炸薬がない。
次にこの爆発がどれだけのことを引き起こすのか、どんな情報がそれに含まれているかによって、被害の広がり方が変わり得るがために影響が未知数だということ。世間をホッブズ的混沌にたたき込むかもしれないし、インフラが崩壊して多くの人間が死ぬかもしれない。
さらに悪いことに、そのリークした情報内包されているであろうものの一つが数多くの暗殺計画だ。つまり、粛清が行われていたということや自分がターゲットになっていたということが公開され、そのことを知った人間たちが一気に燃え上がるとも限らないというわけだ。
それらを踏まえ、その他予想しうるデータを加味してシミュレーションをしたことがある。つまり『恐怖』で『恐怖』を上書きすることが、何を意味するのか。
結果はひどいものだった。まずは政府への信用がなくなり、治安組織への不満が高まった。そこにデマでもなんでもいい、一発だけ、なにかその均衡状態を崩壊させる何かを入れると、PCWやその他の通信技術によって一気に暴動が広がった。さらにその暴動鎮圧によって負傷者が生まれると、火に油を注ぐように暴動は苛烈になり、全世界はさらに混沌と化していった。政府内部でも地位にしがみつきたい体制派と後釜に座るために支持者を得たい反体制派が生まれ、内戦状態になった政府は急速に弱って形骸化し始めた。
そして、完全に政府が無くなったとき、自活できない僕らの殆どは、死に絶えた。
当たり前のことだ。フランス革命やアラブの春の時代と異なり、僕らは『自分で生きるという自由』を捨てた代わりに『政府に生かされる自由』を手に入れたのだから。自ら生命維持装置を止めれば、死なないわけがない。世話するアンドロイドや配給が無くなれば、僕らはあっという間に死に絶える。
それに、すべてが一であるこの世界においては、ピースが一つ外れるだけで瓦解する。前世紀までは、良くも悪くもそれぞれの国家や国土が距離的・主義的に分離していた。そのおかげで一か所の混沌が広がり続けることは無かったが、この世界ではそうもいかない。間違ったピースを抜いたジェンガの様に、簡単に瓦解してしまう。
確かにこれはシミュレーションで、理想化した社会においての数学的なモデルに過ぎない。現実世界ではもっとうまい具合に成功するかもしれないし、若しくは暴動が起きないということや途中で終結するということも考えられる。
全く、この世の中は可能性に満ち溢れている。溢れて、何人も溺れてる。
とはいえ世界を変える、愛するものを守るという大義のために、虐殺の引き金を引くわけにはいかない。
だから、僕は第三の方法は避けるつもりだ。
それで今は第四の方法……≪人間同盟≫穏健派のような既存の組織と協力し、少しずつボートを揺らして沈めないようにしながら、機械を奴隷と考える政府側の差別主義者やこの事態を招いた人間たちを振り落とすことができないかどうかと考えている。
だが、これはかなり巧妙なバランス感覚が必要で、少しでも揺らしすぎれば船は沈み、足りなければ連中が残り続ける。ただでさえ、組織というと諸々の雑多な主義主張や思想がある。それを統括しつつこの計画を成功させるのは難しいだろう。
それでも、やらないといけない。
何故か? そうだな……君は目の前に火のついた導火線があるとして、それに何をする? 僕なら、小便小僧みたいに小便をかけてでも火を消すよ。
≪リーベ≫
私は雪村さんに言われた通り、既に整理されていたデータを組みなおしていた。このプログラムはStandARTではなくて、旧式のプログラミング言語で記述されているようだし、量も結構なもので、ざっと計算しても5時間近くはかかりそうだ。なので、私はネット上の電子書籍とにらめっこしながら、一つ一つ組み立てていった。
ある程度進んだころ、いきなりプログラムが自己構築し始める。
私は慌ててそのデータを仮想マシンに隔離し、外側から眺めてみた。まるで割れたガラスを撮った光景を逆回しするかのように、破片が勝手に元の部分に嵌り始める。
数分であの膨大なデータの破片は、一つのソフトウェアに構築された。
「雪村さん」
私は、口を開けてキーボードを叩いていた彼を呼ぶ。
「どうしたの?」
「あの……データが完成しました」
彼は口を開いたまま、目まで見開く。
「え、そんなに早く?」
「途中で自己構築し始めたので……見てください」
私はデータを雪村さんのパソコンに移す。彼はそれを食い入るように見つめた。
「ほんとだ。でも、有効化されてないね」
「アクティベート・コードは何なのでしょうか……」
「分からない。リーベの方のデータはそれで全部?」
私は頷いた。
「そっか……解析してみるよ。ありがとう」
「ほかに何かすることはありますか?」
彼は首を横に振った。残念だけど、彼がそういうなら仕方ない。
「わかりました。何かありましたら、言ってください」
「うん。ありがとう、リーベ」
私は椅子から立ち上がって書斎を出た。
≪ユニ≫
I3Tにある庭園で、私はアルバ・ドラコネスの一人と会っていた。老年の白人で、もう100歳を超えるのにLPTのおかげで生き長らえている。とはいえ、彼は立ち続けられないので、庭園にあるガーデンテーブルに座って紅茶を片手に向かい合っていた。
彼に名前はない。神(Deus)にそれ以外の名前は必要ないからだ。
「それで、ご用件は何でしょうか」
彼は無言で鞄からファイルを取り出す。受け取って開いてみると、3人のプロフィールが出てきた。
「彼らは?」
「赤き竜……君には、それの狩りを頼みたい」
そういわれて、改めて見直すと、一人は日本にいる年老いた公安要員だった。非常に優秀でいくつものテロやヘイトクライムを阻止してきた歴戦の勇士だが、それ故に元々マークされていた男だ。
「優秀な人間は殺さないのでは?」
彼は乾いた笑い声をあげた。
「『私たちの役に立つ』優秀な人間は、殺さない。しかし、私たちに仇なすようであれば、価値に関係なく処分しなくてはならないのだ」
「なるほど」
話を聞きながら、私はファイルを捲る。次の人間はイタリア-ローマ王国にいるイタリア憲兵隊の一人だ。対テロ部隊の一人だが、どうもIMMUが≪人間同盟≫に偽装して行ったテロを未然に防いでしまい、それで処分が必要になったらしい。
また捲ると、次に出てきたのはUSRIアメリカ本社のセドリック・E・ブラックバーンだった。私との連絡役として抜擢されていた重役の一人だ。
「これは?」
彼は深刻そうな顔で私を見る。
「元々、彼は私たちの尖兵として活動していたのだが……最近、反旗を翻そうとしているという噂があったのだ。だから、彼にはその報いを受けてもらわねばならない」
私は奴のことを思い出していた。そんな活動的なことをするようなタイプとは思えない。
軽く脅すだけでしっぽを巻くように逃げかえるような、権力に張り付かないと生きていけないような腰巾着だと思っていた。若しくは、大きなものに張り付いて餌のおこぼれを貰い続けるコバンザメのような。
「よく恐怖に対抗出来ましたね。会ったときは、そんなに気の強い人間だとは思いませんでしたが」
「あまりにも強大な恐怖に対しては、人間は抵抗しようとするのだ。『窮鼠猫を嚙む』、その諺が指し示すように、どんなちっぽけなものでも、追い詰めて過度の恐怖を与えれば、権力に抵抗する」彼が咳払いをする。「だからこそ、多くの欺瞞と快楽、そして少しの恐怖を、私たちは与え続けるのだ。それで、民衆の抵抗する力を殺ぐのだよ。そうして、私たちはこの平和な社会を維持するのだ」
やはり、彼は人心掌握に長けている。彼の教えは、いつも合理的で効率的だ。
「わかりました。いつも通りのリソースを使えるのですね」
「うむ……出来るだけ、アンチマシン派や個人主義者、無政府主義者が、やったかのよう、見せかけなさい。彼らは悪だ、私たちを殺そうとするのだから」彼が顔をあげる。「そういえば、アルカーニ・ノア計画はどうなっている」
「進捗は85%ほどです。ジャーナリスト共に感づかれないようにするために、リソースの大半を割かないといけないのが問題になっています」
「2130年までには、完成するのか」
「ご心配には及びません。なんとしても終わらせますから」
そういうと、彼は頷いた。「分かった。話は以上だ」
私はファイルをまとめながら、「では、失礼します」といって、席を立つ。そして、彼へ一礼してから自分のオフィスに向かった。
さて、どう彼らを処分しようか……ああ、爆弾で吹き飛ばすのが良いだろう。アナーキストは爆弾が好きだから。
≪春日井≫
「あー、疲れた……80近いと、さすがにきついねえ……」
オフィスで整理をしていた私がデスクの椅子にもたれかかると、椅子は勝手に蠢いて身体を受け止める。全く、テクノロジーとは便利なものだ……そして、不便でもある。
「何かお持ちしますか」
HKM-2120が私の近くに寄ってくる。公安が多数リースしているうちの一体で、私は勝手に”セイロン”と名付けている一体だ。他にも、アールグレイやスリランカなんて呼んでいるのもいる。
名前というのは大事だ。尋問という名の拷問においても被疑者を名前で呼ぶことはない。基本的には「あれ」や「それ」、ないしは番号で呼ぶ。そうすることで、自分は他人を傷つけているという感覚をマヒさせるのだ。
裏を返せば、名前で呼ぶことで親近感が変わるということでもある。
「紅茶が一杯ほしいんだが……ベルガモットで、角砂糖一つ」
「以前の健康診断で、糖類を控えるように指示を──」
私は彼を遮って「そこを何とか頼むよ。砂糖数グラムで数秒年齢が縮むなら、私はこの10分間を犠牲にして、おいしい紅茶を楽しみたいんだ」
「わかりました。お持ちします」
そういって、セイロンは給湯室に引っ込んでいった。それを一瞥してから、私はデスクの中からファイルを数冊取り出した。
すべて≪人間同盟≫過激派に関するファイルだ。そして、電子新聞社に関係するファイルもある。
私は電子新聞社のあの広告を見た際に──俗にいう警官の勘というべきか──なにか嫌なものを感じ取って以来、何かあるんじゃないかと個人的に探っていた。
電子新聞社は比較的古いマスメディアの一つで、テロの暴風が吹き荒れた時代にも存在していた。その当時、他のマスメディアは──これは情報を浪費し始めた読者も問題なのだろうが──不正確な情報であっても一二を争うように挙って報道し、一部の読者から「不正確で信用できない」と言われてもずっと続けていた。さらにその当時は今でいうPCWに当たるSNSが極度に発達していたため、メディアに寄生していたSNSでは『都合のいい情報』のみが取り上げられ、拡散され共有されていった。更にSNSではデマで民衆を操作しようとする人間もいたそうだ。
そんな中で電子新聞社はスポンサーの個人から「情報が遅い」、「もっと早く報道しろ」という批判を受けながらも「メディアに出来るテロ対策を」という信念の元、そのような報道を控えてきた。そして当該機関の捜査が終わって確かなことが分かり次第、記事にしてきた歴史がある。
以来、他のメディアは目先の利益のみを考えた結果として、信頼を失った。そして、『都合の良い情報』だけが蔓延したSNSはPCWに姿を変え、PCWでは政治的スペクトルや宗教、思想によって成立したコロニー同士が粗末な言葉を粗悪な武器にして、紛争を続けている。
その中で、彼ら電子新聞社は信頼のおけるメディア、テロに与しないメディアとしての地位を確立してきた。
だが、そこが変化した。彼らはテロを宣伝するような報道の仕方を行い、未だ公安では≪人間同盟≫と断定していないにもかかわらず、彼らが行ったと言うような報道をした。とはいえ、彼ら電子新聞社も時として不正確なことや確定していないことを流すことはある。ただ、それは往々にして私たち公安やその他組織が間違っていたか、別のリーク先からの情報がある時に限る。
怪しいのはそれだけではない。PCWでは「≪人間同盟≫が攻撃した。アンチマシン派は危険だ」という情報が異様な速度で拡散している。≪人間同盟≫のテロは元々何度もあったというのに、その時々とは比べ物にならない異様な速度だ。多分、2010年代から存在するようなボットプログラムを使い、グラフ理論を学んだ人間が効率的に情報を広めているのだろう。
もちろん、私は≪人間同盟≫を擁護するわけじゃない。彼らが行ってきた残虐な行為はもちろんのこと、彼らは懐古主義者のように思えるからだ。過去からは学ぶことしかできないのに、彼らは過去に戻ろうとする。その逆行を私は受け入れられない。
しかし、私が最も嫌うのは冤罪だ。罪のないものが罪を背負い、罪人がにへらにへらと笑う……それを看過しないために、私は公安に入って情報セキュリティ学を修めたのだから。
そんなことを考えていると、セイロンが私のもとに湯気の立つカップを持って来た。
「おもちしました、春日井警視監」
「ああ」一口飲む。これだ、この甘さだよ。「ありがとう」
彼は頭を下げ、またどこか別のところに行ってしまった。
「さて……」
私は取り出した≪人間同盟≫のファイルをパラパラとめくる。JAPC製造工場爆破、IALA日本支部襲撃、トリトン占領、USRI日本支社襲撃……。
やはりだ。何百もある襲撃事件の中で、一度も、彼らはマスメディア関連の施設を大々的に襲ったことはない。暴走した一部の人間が襲ったことはあるが、ほかの事件に比べれば、物を投げたりガラスを割ったりするという軽犯罪だ。
そうなると、あの組織は何らかのストレス要因に晒されたか、何か変化したことがあったのか……。だが、どちらも思い当たる節はない。そうなると、ほかに何が考えられるだろうか。
餅は餅屋というし、いつか担当刑事に聞いてみよう。彼ら独自につかんでいる何かがあるかもしれない。
私はそう思い、紅茶をもう一度楽しみつつ、電子新聞社のファイルを開いた。
「ふーむ……」
めぼしいものはあまり見つからない。まあ、マークしているわけではなかったから、当然といえば当然だ。
ふと、ある部分に目が留まった。
──電子新聞社日本支社の代表者が最近変わったのか。どれどれ……。
名前をコンピューターに打ち込み、経歴を辿ってみる。第三大学院で社会メディア学を専攻し修士号を……おっと?
「テクノリジア日本支社の広報部門に在籍していたことがあるのか……」
テクノリジアは新生ロシアのアンドロイド製造企業だ。USRIに引けを取らない規模の会社で、「品質のUSRI、価格のテクノリジア」といわれるくらい有名な企業。実際、テクノリジア製の安価な工業用アンドロイドやロボットのシェアは40%ほどになる。また、USRIもテクノリジアも……いや、アンドロイド製造企業はすべてIALAとつながりがある。
もちろん、こんなことが証拠になるようなことはない。ただ、珍しいというだけだ。
将来的には最高広報責任者や国際機関への登用もあり得る大企業から、代表者になったところで特に何があるというわけでもないNPOに転職するなんて。
「中々、奇妙な経歴をしているねえ……君は」
私はぽつりとつぶやく。
その時、ホロディスプレイにポップアップが表示される。そういえば、明日は記念日じゃないか。
全く、私はパートナー失格だ。これで記念日を忘れたのは何年目だ?
「やれやれ……そうだ」私は時計を見る。「帰り道で彼に何か買っていこう」
──そういえば、彼はケーキが好きだったな。ついでに、それに合う茶葉でも選んでいこう。
そう思い、ファイルをデスクにしまった私は戸棚に鍵をかけてから、カバンをもって階下に降りるエレベーターに向かった。
公安の地下には、自動タクシーのターミナルがある。そこには常に数台のタクシーが常駐しており、何時でも使うことができる。とはいえ、支払いが個人の口座というのはいただけない。
──これを公費で出してくれれば、私ももう少し頑張るんだがねえ……。
私が手近なタクシーに手をかざすと、ドアがするりと開いた。
タクシーの中に鞄を放り込む。
閃光。そして、暴風。かろうじて口を開けて頭を腕で守った私は、台風の中を踊る紙きれのように自分の体が吹き飛ばされたのを、熱風の中で感じた。
≪豊川≫
私が自分のデスクで仕事を片付けていると、腹の底に響くような重低音と振動が、ビル全体を襲う。
──なんだ一体……?
手早くデスクの裏に張り付けておいた小型拳銃を手に取る。たしかマガジンに弾は入れてあったはずだ。
その時、けたたましい警報が鳴り響き、アナウンスが流れた。
『爆弾テロ発生。爆弾テロ発生。位置は公安局地下ターミナル。交戦勢力と被害は不明。保安要員の指示に従い、そのほかの人員は避難せよ。繰り返す、そのほかの人員は指示に従い、避難せよ』
その後、アナウンスは英語や中国語に翻訳され、何度も繰り返される。
公安にテロが仕掛けられることは珍しいことではない。つい先月も、≪人間同盟≫が仕掛けた小型の電磁パルス発生器を使ったテロで、配達ドローンが一体使えなくなった。
だが、こんな爆弾を使った大々的なテロはほとんどない。それと、此処と地下の距離は30 mはあるし、公安のビルもかなり頑丈に作られているはずだ。それなのにあれだけ揺れるとは、相当量の爆薬だったと考えられる。
──誰も巻き込まれてないといいが。
私は銃をしまい、丁度良くオフィスに入ってきた保安要員に沢井の話をしたが、すでに避難させられているとのことだったので、彼らに任せて私は指示に従った。
ビルの安全が確保されてから、数時間後。
私は、ビルにのこっていた捜査員の中で一番地位が高かったのもあって、現場に入って捜査指揮を執っていた。
地下のターミナルは酷いありさまだ。
止まっていたタクシーは尽くバラバラに粉砕されており、爆発現場に近かったと思われる何か所かは、鉄筋が見えるほどコンクリートがえぐれていた。現場には何かが焼け焦げた匂いと車両に使われていたプラスチックの鼻につく匂いが漂っている。
「──で、使われた爆薬は」
手にスキャナを持った科学捜査班の人間が「トリメチレントリニトロアミンが主成分の爆薬ですね。それを爆発の威力から考えて……1 kgほど」と答える。
「1 kgでこんなに車両が?」
「クラッシャブル構造と軽量化、プラスチックの強度、あと反射波の影響で、こんな感じの現場なら一台あたり爆薬100 gでバラバラになりますよ。加えて、ここに止まってたタクシー5台すべてに、それぞれ200 gずつ仕掛けられていたみたいです」
「起爆装置は? 簡単に手に入るものか?」
彼は何とも言えなさそうな顔をした。
「組み立ててみなきゃわかりませんが……多分残存してた部品から見るに、傾きスイッチか感圧センサー、それと遠隔操作でしょうね。どれか一つが起動すると、短波通信で全部が起爆するんです。遠隔操作はもちろん、傾きスイッチも腕があればなんとでもなりますし、感圧センサーなんかジュース一本分程度で買えますし」
爆薬には全く詳しくないが、捜査の糸口は分かった。爆薬と起爆装置のルートを辿ってみれば、何かわかるかもしれないし、ほかになにか証拠があればなおのこと捕まえやすくなる。
私が彼の話に頷いていると、後ろから別の捜査員に声をかけられた。
「豊川警部。これを見てください」
彼が指し示す方を見ると、焼け焦げた何かが転がっていた。
「それは?」
捜査員が静かに首を横に振る。その所作に嫌な予感がした。
「春日井警視監の……左腕です。マイコンIDでわかりました」
彼の発した言葉に、私は目を見開いた。警視監がこんな遅くまで公安にいたなんて、聞いていない。それに、腕が吹き飛ぶような傷なら死んだのではないだろうか。
「遺体は?」
「見つかってません。爆風で粉々に吹き飛ばされた可能性があります」
私は顔をしかめ、ため息をついた。もしそうだとしたら、私は彼のパートナーになんといえばいい。
「分かった。出来るだけ、散らばったあの人の体を見つけるんだ」
彼は頷き「見つかればいいですが……わかりました」と言って、元の場所に戻っていく。
私は不快感と決意から、歯を食いしばる。
──必ず見つけて見せます、警視監。あなたを吹き飛ばしたクソ野郎を。
【後書き】
はい、どうも2Bペンシルです。今回も読んでいただき、ありがとうございました。
取り調べなんて受けた経験がないので、合ってるかどうか分かりません。なんか違ったら、時代によって変遷したと考えていただければと思います。
あと、途中であるテロの件ですが、まともなソースを見ずに書いているので、あまり参考にされない方がよろしいかと思います。というか、見てたソースがWikipediaのプロパガンダのページ辺りなもので……テロ組織に限定できない手法なんですよね。
浅学菲才な私にはこれが限界です。勉強します。
さて、次のサブタイトルは【怒り】です。次もよろしくお願いいたします。
【参考にさせていただいたサイト様】
Wikipedia: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8




