第六十話 クソちびるわ
「お前の死にざまが目に浮かぶぞ」
「クランさんのセリフって、やっぱりどっちかっていうと……魔王」
ズーン。
なんで、お前がまた、めんどくさくなってんだよコウタ。まあいい。砂糖を投げればおしまいだ!
「死ね! 魔王……」
ズーン。
おっと……俺も口が滑った。『でもまあいっかぁめんどくさい』を発動してしまった。
だいたいさ、相手の名前を叫ばずに死ね! とか、食らえ! とか。やっぱこう、攻撃する上でさ、力が入らないじゃん。
憎しみとか、魂とか、命とかをかけて叫ばないとさ。様にならないじゃん……ああ、だめだ。膝から力が抜けていく。
耐えろ! 命をかけて砂糖を取り出す……んだ――。震える手で懐から調味料を取り出す。指先がかじかんで、めんどくさい。頭の中を「めんどくさい」という文字が支配してゆく。
めんどくさいめんどくさいめんどくさいめんどくさいめんどくさいめんどくさいめんどくさいめんどくさいめんどくさいめんどくさいめんどくさいめんどくさいめんどくさいめんどくさいめんどくさいめんどくさいめんどくさいめんどくさいめんどくさいめんどくさい……。
塩、コショウ。あれ? 砂糖だけない。見当たらない。ポケット穴空いてない? うそ。ガーリックとか山椒とか、七味とかあるくせに、なんで砂糖だけないんだ? 俺はあえなく、地面に膝をつく。げ、限界だ。やる気の低下。10パーセントまで落ちていく。
「ごめんね。アメルメ君って。宮廷鑑定士なんでしょ? 弱点とか見られたら困るから、抱き合ったときにもらって捨てといたの」
マオマオ魔王ちゃん! 素っ裸なのに、いつのまに砂糖を取ったんだよ。恐るべし早わざ。
「じゃ、そろそろ『名義変更』行っくよ!」
「別の固定スキルか」
『名義変更』まれに名前を変える。
「ん? つまりどういうことだ?」
魔王の名前の欄を見てみる。
【名 前】 クソちびるわ
「く、魔王。俺は一度は愛してやったんだぞ! お前……」
こいつが、なぜ三年も討伐されなかったのか、なんとなく分かった気がする。
人って、敵に対して不意打ちってやりにくいもんでさ。正面から戦うってなると、口実がいるじゃん。すると、会話することになる。強敵であればあるほど、相手がどんな奴なのかお互いに知りたくなる。
だから、魔王と無言で戦える人間なんかいるわけがない!
「魔王」と呼んだだけで、とにかく、めんどくさい! そして、「魔王」と呼んだだけで今度は腹が痛くなってきた。つ、つらい。この攻撃つらい……。
ト、トイレどこ?
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