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第二十六話 クッキング

「料理開始だ。まずステフが適当に、こらしめます。おい、ステフ。奴らの爪に気をつけろよ」


「分かったよ!」


 ステフの戦闘能力はかなり高い。魔力はないけど、素手でステフが殴るだけでダメージ100は確実に入る。


 体力900の(エッジ)(ネイル)(ドラゴン)なら9発殴れば死ぬな。でも、俺は奴らの耳を切り落とす。そのために――。


「歌います」


「クランさん! ここに来て、いきなりカラオケですか!?」


「コウタ。こいつらは睡魔に常に襲われてるんだ。子守歌が必要だ。ねーむれ♪ ねーむれ♪ 俺の腕の中で♪」


「うわ、クランさん気持ち悪い」


「これでも睡眠魔法、眠る確率50パーセントだぞ」


「ええええ、半分の確率ですか。すごいのか、すごくないのか」


「すごいの」


 そのとき、ステフが(エッジ)(ネイル)(ドラゴン)に蹴りを食らわせた。


 ギャウ!


「お、今のでダーメージ200入った!」


「クランさんは、ダメージ見えるんですか?」


「当然。俺はステータス画面に魅入られた男。ステータスの貴公子だぞ。すべてのものをステータス画面化することができる。あと、肉眼でも見えるのは内緒」


「それ先に言って下さいよ! すごすぎじゃないですか。あれ? じゃあステータス画面化してたのっって何で?」


「そりゃ、自分の手元で操作する方が分かりやすいし。指で触ってる方が、なごむし、気持ちも落ちつくだろ」


「クランさん。やっぱりスマホ依存ならぬ、ステータス画面依存ですよ! それ確実に!」


 (エッジ)(ネイル)(ドラゴン)は、三匹ばらばらにステフに噛みつこうとしている。


「お前らの相手はこっちだって! 行けゴンザブロウ!」


「何で俺? っていうかクランさん。今わざと名前間違えましたね!」


「行け! ゴンザブロウ! 『魅了』だ」


 コウタが珍しく悪態をつく。


「睡眠魔法が効かなかったからって、俺にないをやらせるんですか」


 コウタが、海の男ポーズを決める。意味が分からないから、俺は腹を抱えて笑った。


「ちょっと、二人とも! こっちは手一杯なんだよ!」


 ああ、悪かったな、ステフ。だって、ふつうに勝ったらつまらないだろう。Sランククエストなんて、楽勝だって。俺は(エッジ)(ネイル)(ドラゴン)の耳を弓で射抜く。


 ギャアアアウ!


 命中。耳から頭を貫通させてもよかったけど。グロいし。こいつはバーベキューにするんだから、グロはひかえめにな。


「死ねえええええええええ!」


 八咫(やた)(がらす)のブーツで、飛び蹴りを食らわせる。あ、毒を食らわしちゃったな。


「ごめん。一匹食えないわ」


「クランさん! さっきから落ちつきましょうよ!」


「ま、ほっといてもこいつ死ぬし。あと二匹。どう料理する?」


 ステフが拳を構える。


「お、我らが姫、お手並み拝見っと」


「や、やだ姫なんて言われても」


 俺はおだてるのが上手だろ?


「ほめても、何も出ないんだからああ!」


 ステフの拳がぐっと固まる。そして剛速のパンチ。


 ギャアウア!


 (エッジ)(ネイル)(ドラゴン)のあごにヒットした。脳天を突き上げるアッパーカット。


 素晴らしい!


「あと、八発殴らなくてもクリティカルで500ダメージ行ったなあ」


 じゃあ、そろそろ決めますか。


「ステフ、そいつをこっちに。一矢で射るから」


「分かったー」


 ステフが今アッパーを決めた(エッジ)(ネイル)(ドラゴン)の足をつかむ。


 ギャウウ?


「そっち投げるよ」


「おう。じゃ、コウタは、ぴんぴんしてる方をこっちに斧で殴れ」


「ええええ!」


「勇者候補は黙って言うとおりにしろ!」


「は、はい!」


 コウタも、やればできる男。ジャンプ力はあまりないが、斧の刃の部分でドラゴンの顔面を殴る。よし、二匹こっちに飛んできた。その二匹の首が重なった瞬間、射抜く。


 シュン。


 弱点特効。うん。上出来。


「さぁ、持って帰って。バーベキューだ!」


 お、女湯も忘れてないからな。ほんとは、女たちをはべらせながらバーベキューとかやりたい。やりたいぞ。


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