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逆ハーと言われましたが

作者: 遊騎

※賭博表記がありますが、推奨してません。


 ぎゃくはー?

 って何ですか?

 …男の人を侍らしていること、ですか。はぁ。

 彼らは友人で、そういった関係ではありませんけど。

 嘘? こんな嘘ついてどうするんですか。本当ですよ。

 まぁ、確かに皆さん整った顔立ちをしてますね。それがどうかしましたか?

 いやだから、話を聞いて下さいよ。


 では聞きますけど。




 あなた、彼らと恋愛出来るんですか?




 はい? 彼ですか?

 赤い髪と紅玉のような目が綺麗ですよね。野性味溢れた顔立ちで、性格もサッパリしていて男らしいです。

 カリスマ性と言うんですか? 彼の人心掌握術は見事の一言です。

 でも。


 彼、姉崇拝者ですよ?


 お姉さんのことを崇拝しているんです。お姉さん教です。

 姉が好きとか、しすこんとか、通り過ぎてます。

 本人も言ってますし。『姉さんは唯一神だ!』って。

 布教はしてませんよ。自分だけの神だからっていう理由で。

 お姉さんですか? お姉さんは美人で対人恐怖症の、自宅警備員(ニート)です。



 はい? 彼ですか?

 彼の銀髪と青い目も綺麗ですよね。あの髪とてもサラサラなんですよ。触り心地抜群。

 眼鏡が知的で素敵…って、確かに賢いですけど、でも。


 彼、二次元絶対主義者ですよ?


 『女は二次元だけでいい』とか言ってますよ。

 私ですか? 友人枠だから良いそうです。

 画面の中にお嫁さんもいますし、望みはないと思います。



 はい? 彼ですか?

 あの長い金髪で遊ぶの楽しいんですよねぇ。この前はツインテールにしました。

 緑の目も優しげで、お金持ちで格好良い、ですか。

 まぁ、お金持ちなのは合ってますけど。


 彼、生粋のギャンブラーですよ?


 しかも、ハイリスクハイリターンが大好きな。

 競馬にカードに宝くじに麻雀にルーレットに競艇に、他にも色々していたような?

 カジノではお得意様の上級会員さんだそうです。

 当たりも大きければ外れも大きいので、お付き合いするのは止めた方が良いと思いますよ。

 平気で借金もしますしね。



 はい? 彼ですか?

 彼は比較的まともです。

 ゆるふわな緑の髪に橙色の大きな目、それでいて童顔ですので、とても可愛らしいです。

 明るくていつもニコニコしていて、礼儀正しいものだから年上の方に評判良いんですよ。

 まとも、と言ってもこの中で、ですからね?


 彼、年上好き……熟女好きですから。


 好みは人それぞれですので私は気にしたことありませんが、あなた方は彼のストライクゾーンから大きく外れていますので、諦めた方が宜しいかと。

 告白しようものなら、『あと数十年後にね!』って言われますよ。実際の現場を目撃したことありますからね。

 相手、学年で一番の美人さんだったんですけどねぇ。



 はい? 彼ですか?

 爽やかですよね、正に好青年。

 癖っ毛の青髪に薄い黄色の垂れ目が可愛いです。いえ、顔立ちは格好良いの方が似合うんですけど。

 しかし、彼は友人として付き合うなら素敵な方ですが、異性として付き合うのはお勧めしませんよ。

 だって。


 彼、浮気性ですよ?


 今、何股しているんでしたか…。少なくとも五人以上だったと記憶してます。

 来る者拒まず去る者追わず、な人です。

 浮気がバレても、何故か私だけにしてやる!と意気込む(ガッツのある)方が多く、それを笑って見ている奴ですよ。

 悪い人では……いやでも、浮気しまくっている時点で悪い人ですかね?

 ちなみに、未だ刺されたことはないそうです。ギャンブラーの彼発端で、いつ刺されるかみんなで賭けているところです。




「ぅ………嘘よ嘘よ嘘よ!!」

「彼らがそんな、そんな最悪な人な訳ないじゃない!!」

「でたらめ言って誤魔化そうとしてんじゃないわよ!!」


 説明を終えると、悪鬼のような形相で取り乱すお嬢さんたち。


「そう言われましても、事実ですし」


 嘘なんて言いませんよ。

 と言っても、お嬢さんたちは認めてくれません。

 どうしようかと、困っていると。


「何絡まれてんだお前は」

「頭の悪そうな雌ばかりだね」

「全く、何で付いて行くのさ? 危ないでしょーが」

「大丈夫だったっ?」

「遅くなってごめんな」


 当の本人たちが来ました。


「あれ、皆さん。よくここが分かりましたね」


 女子更衣室を出たところを連れて来られたので、彼らは知らないと思っていたんですけど。


「んなの、その辺の奴に聞けば一発だ」

「勝手にペラペラ喋ってくれたよ〜」

「それより、そこ」


 赤髪の彼と金髪の彼が情報源を教えてくれました。

 ああ、話しかけられた女子が浮わついて喋ってくれたんですね。納得です。

 すると銀髪の彼が、ギロリとお嬢さんたちを睨みつけて言いました。


「邪魔」

「ちょっと通してねっ」


 間に居たお嬢さんたちを押し退けて、壁に追いやられていた私の方へやって来てくれました。


「怖くなかったか?」

「ちっとも。何の危害も加えられてません。文句を言われたので説明してあげたら、さらに文句を言われただけです」


 青髪の彼が頭を撫でながら労ってくれます。


「んもう、知らない人に付いてっちゃダメっていつも言ってるでしょ!」

「でも人目はありましたし、そのうち皆さんが来てくれると思ってましたから」

「そのうちでしょ! その間に何かされたらどうするの!」

「でも、あ、はい、ごめんなさい」


 緑髪の彼がムッスゥと頬を膨らませて怒ってしまったので謝りました。

 別に、もしこのお嬢さんたちが変な男性連れていても、対処出来ますから心配ないんですけど……そういう問題じゃないですか、そうですか。ごめんなさい。


「あ、そういえばお姉さんからメールが来たんですけど」

「何っ、姉さんから!? 何でお前に神託を!? 忠実なる信者の俺に言ってくれればいいのに!」

「苺大福が食べたいそうです」

「高級和菓子屋で一番のを買って行こう! 待ってろ姉さん!!」

「スーパーに売ってるやつで良いって書いてありましたよ」


 貴方に言わなかったのは、きっとその反応を見越してたからだと思いますよ。私が言ってしまいましたけど。


「やはりリアルは面倒臭いな。バーチャルに引き篭もりたい」

「それは駄目ですよ」

「ちっ」

「あ、そんな態度だと知りませんよ? 私、昨日くじでラストワン当てたん」

「僕が悪かった! 謝る、謝るから、くれ!!」

「はいはい。あげるつもりで引いたんですから、良いですよ」


 普段冷めてる目をキラキラ輝かせて強請る姿は、ちょっと可愛いです。


「今日もお姫様のように可愛いね」

「お断りします」

「何も言ってないじゃん!」

「お金は貸さないって、いつも言っているでしょう」

「ちょっと、ちょっとだけで良いんだよ。ね?」

「駄目です。というか、この前の借金は返したんですか?」

「それの期日が迫っててさ〜。なのに負けが続いてて…、だからお願い! この通り!!」

「諦めて折檻されて下さい」


 あ、一応言っておくと彼の借金先は家族さんです。

 闇金には手を出してませんよ。………まだ。


「ねぇねぇ聞いて聞いて〜!」

「はい、何ですか?」

「あのね、この前言ってた人なんだけどっ」

「ああ…、未亡人の?」

「そう! 昨日告白してOKもらえたんだぁ〜!!」

「あら! おめでとうございます!」

「ありがと! ふふふ〜、凄い可愛いんだよ! 告白の後にベッドに連れ込んだ時なんて…」

「あ、そういうのは結構です」


 頬を赤らめて回想に浸る彼は可愛い顔をしてますが、ちゃんと男性です。

 お願いですから、そういう話は私抜きでして下さい。


「ベッドか…」

「何で口塞がれたいですか? ハンカチとガムテープならありますよ」

「え、緊縛プレイ? そういうのが好きなの? 俺はオールオーケーだよ」

「くっ、喋るなと言うのに!」

「何なら俺ロープ持ってるよ? 縛る?」

「川底に沈めてあげますよ!」


 この色魔が!!





 これが、彼らとの日常会話。

 彼らは、紳士だし気配りも出来るし友人を大切にしてくれます。友人として付き合うならとても素敵な、自慢の方々です。


 友人として。


 ええ、友人として。

 先ほど逆ハーと言われましたが、もう一度聞きます。





「あなた、彼らと恋愛出来るんですか?」






・主人公

 黒髪紫眼。大和撫子系。

 丁寧語標準装備の常識人。文武両道で超強かったりする。

 見た目のせいで男子からは高嶺の花とされ、女子からはやっかまれて、彼ら以外友達いない。ぼっち。


・赤髪の彼

 赤髪紅眼。ワイルド系。

 カリスマ性ある自信家。その実力もある。

 姉を盲目的に崇拝してる信者。


・銀髪の彼

 銀髪碧眼。インテリ系。

 冷たい態度の皮肉屋。飛び抜けて頭が良い。

 二次限絶対主義。女は画面の中だけ。友人は別枠らしい。嫁あり。


・金髪の彼

 金髪緑眼。キラキラ系。

 ノリが軽くて話しやすい社交家。ロン毛はなんとなく。

 生粋のギャンブラー。賭け事大好き。


・緑髪の彼

 緑髪橙眼。カワイイ系。

 明るくて礼儀正しい年上キラー。天然モノ。

 熟女好き。低くても四十歳より上からがストライクゾーン。上限なし。


・青髪の彼

 青髪黄眼。爽やか系。

 気さくで面倒見が良いお兄さんキャラ。垂れ目に涙ほくろがチャームポイント。

 浮気性。常に二股以上。女は途切れたことがない、ロクデナシ。



※賭博は怒られるで済まないので、やめておきましょう!ダメ、ゼッタイ!

 これはこの小説の世界感では大丈夫という、ファンタジーです。


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― 新着の感想 ―
[良い点] みんなキャラが濃いですね~ 銀髪の彼とは親友になれそうな気がする(笑) [一言] この中で一番まともなお付き合いが出来そうなのは赤髪の彼かな? 道のりは厳しいけど姉と仲良くなって弟に神託(…
[良い点] あ~…つまり、遠くからぼんやりと眺めているのが一番良い ポジションだと思ったw というか、対岸の火事ばりに眺めてたい、この方々。 [一言] 銀髪の彼にちょっと聞いてみたい。 嫁は育てる派…
[一言] うん、無理だこれ。 友人づきあいをして、話のネタを提供したりされたりする関係が一番ですね。
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