ショートストーリー 秘めたるスキル
「リンリンリリン、リンリンリ、ゴブリン♪ リンリンリリン、リンリンリゴブリン♪」
高らかに歌う僕の目の前に出てきたゴブリン二匹。僕は新技を放つ。
「アイビーム!」
右目から放たれた涙が一匹、そして左目から放たれた涙がもう一匹の額を貫く。股間と違ってエイミングが簡単だ。
今僕は召喚士の迷宮で戦闘訓練してる。ラグナフェンからこの迷宮に入ると、ちゃんとレベルアップするから少しでも強くならないと。スキルを使えば僕は結構強い自身あるけど、無しだとまだミコにすらボコられるレベルだ。戦闘職のネネなんかもっての他だ。技術云々の前にレベル差による身体能力差をなんとかしないと。
1人で大丈夫って言ったんだけど、ミコとライラが付いて来てる。さっきから事あるごとに2人が喧嘩してウザい。
毎回召喚士の迷宮に入るためには嫌な儀式が必要だ。女の子にならないと、エマが会話してくれないから、来られないのだ。今日は着替えるの面倒くさいから男ものの服を着て、エマに送ってもらった。女の子バージョンは非力極まりないから、迷宮に入って服を脱いで水あびして戻っている。水浴びするのを見られたくないから、1人で来たかったんだけど、2人も付いて来た。けど、ライラは協力的で、僕が違う部屋で水浴びするのを覗きたがるミコから守ってくれた。まあ、絶対覗かれるから上しか脱がなかったけど。検証したところ、変身判定は体の半分以上濡れるって事たから。
「なぁ、タッキ、それ飽きた。次は『ウォーターガン』見せてよ。あたし、アンタがいつも隠すから、見た事ないんだ」
「そりゃ、隠すわ。いつも出してたら変態だろ!」
1人だとだしっぱなしでオッケーだからやりやすいんだよな。
「そりゃそうね。けど、見たいのよ、アンタのスキル」
ミコが頭の上で手を組んで言う。そういう格好すると、奴はシャツを開けてるから胸の谷間が見える。これ、狙って無いんだよね。奴は天然でエロい格好するからな。けど、見たら負けだ。鬼の首取ったかのようにからかってきやがる。
それにしてもなんて事言ってんだ。『ウォーターガン』はオシッコを放つ技だ。それを見たいと言う事は?
「ミコ、そんなに僕のチムチムが見たいのか?」
ビッチムーブなミコだけど、それはスタイルだ。顔赤くなってるよ。しかもそっぽ向く。
「お前の貧相なのには興味ないわよ。威力を見てみたいの」
「貧相とはいいがかりだな。僕のガンは何度も酷使したからその反動で1週間前とは比べものにならない程進化してデカくなってんだよ。もうピカ〇ュウじゃなくてライ〇ュウだ」
「あたしの好きなキャラを変な例えにつかうなよ。それより、それって病気じゃないの? 病院行けよ」
「病気ちゃうわ。少し先っぽが大っきくなっただけだ」
「ちょっとー、そろそろその下品な話止めませんか? ミコさん女の子なんですから、そんな品が無い事言わない方が……」
「品が無いんじゃないわよ。言ってるでしょガンの威力が見たいって。もしあたしたちが必要になった時に、ガンの威力を知らなかったら使いものにならないでしょ」
「なんか、ミコさん、卑猥。ガンの威力をしらなかったらって、なんか体で確かめるって言ってるみたい。もっと恥じらい持たないと、タッキに愛想尽かされますよ」
「ちょ、ちょ、体ってちがうって。それより、アンタは見た事あるの? タッキのガンの威力?」
ミコが赤くなって焦ってる。なんか可愛いいな。
「見ましたよ。ほら、ゴブリンロードにぶっかけてたじゃないですか」
「ライラ、それは止めてくれ。ぶっかけたんじゃなくて、撃ったんだ」
「やだ、言い間違いです……」
ライラも赤くなる。なんかコイツら可愛いな。ちょっとおちょくってやるか。
「お前らよく見てろ。今から全力の『ウォーターガン』で、壁に穴を開けてやる」
「や、タッキ冗談だって。あたしは見たくないから」
「タッキ、タッキは紳士でしょ。こんなとこで出さないわよね?」
ふっ、2人とも焦ってやがる。なんか露出狂の人の気持ちも少しはわかる。
「ほーら」
僕はズボンを下ろす。2人とも顔を手で隠してるけど、指の間からしっかり見てやがる。
「パンツは脱がねーよー! バッカじゃねーの。ガンをガン見しやがって。バーカ!」
「うわ、きたな……なんかはみ出してる」
ミコはすぐ目を逸らす。ん、ミコがドン引きしてる?
「変態……」
ライラが死んだような目で見ている。
僕は下を向く。うん、穿くには穿いてるが……
「あ、パンツ女もののままだった……バカは僕だった……」
変身体質って不便だな。なんか気持ち悪いとは思ってたよ。隣の部屋でパンツは履き替えた。そう言えば、僕の元ネタの漫画の主人公は女性ものの下着を履くのに抵抗してたな。なんでだろうと思ってたけど、男から女はまだしも、女から男になった時に地獄な光景を今みたいに生み出す可能性があるからだったんだな……
読んでいただきありがとうございます。
みやびからのお願いです。「面白かった」「続きが気になる」などと思っていただけたら、広告の下の☆☆☆☆☆の評価や、ブックマークの登録をお願いします。
とっても執筆の励みになりますので、よろしくお願いします。




