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第七十六話 修行の成果


「お前、何もするなよ。絶対何もするなよ」

  

 僕はミコに念を押す。


「はいはい、ヤバくならない限り見とくから」

 

「ヤバい、ヤバく無いも僕が判断するから言うまで動くな。絶対、絶対だからな」


 武器ももたせてないし、ここまで言えばコイツが何かやらかしたりしないだろう。

 部屋にはオークが一匹。最初見た時には化け物にしか見えなかったけど、うちの女の子たちに比べたら可愛いもんだ。その豚面さえ可愛らしく見える。


「いくぞ!」


 心を奮い立たせ、棍棒を手に突撃する。オークも棍棒を構える。ところで、オークたちが棍棒しか持ってないのは何となく納得出来るが、なんでミコたちはあっちで国の支援を受けてたはずなのに武器は棍棒しか持ってないんだろうか? 考えるのは後。まずは、必殺の一本足打法からだ。


 バキッ!


 オークは僕の棍棒を受ける。大きな音。僕の棍棒がへし折れやがった。さすがに素手でコイツをやれる気はしない。武器をミコから貰わないと。僕はバランスを崩したオークを蹴って距離をとる。これなら背中を見せてダッシュしても追いつかれないはず。


「ミコ、武器をくれ」

 

「はーい!」


 ミコの手には棍棒。それを後ろに振りかぶる。嫌な予感がする。

 

「おい、投げるなっ!」


「もう遅いよ」

  

 ブゥオン!


 大きな風を切る音……


 頭に激痛が……





「ゴメンなさい」


 ん、見た事が無い天井だ。僕は何をしてるんだ。頭の下はあったかくて柔らかく、なんか甘い匂いがする。上からミコが僕の顔を覗き込んでいる。あ、またか。膝枕だ。


「おい、お前が全力投球したものを僕が受け取れる訳無いだろ」


 我ながら情けない事言ってるな。ミコが済まなさそうな顔をする。


「けど、なんでそんなにサクッと死にかけるの? タッキってもっと強いかと思ってた」


 酷い。僕が死にかけるのを僕が弱いからと、僕のせいにしようとしてる。


「ミコ、僕を見ろ」


 彼女には、しっかり現状を理解して欲しい。


「ん、なあに?」


「どう思う?」


「可愛いわよ。ちゅーしたくなる」


「するな、するな。ほら、可愛いだろ」


 自分で何言ってるんだろうと思うけど、しっかりミコには理解して貰わないと。


「ほら、今の僕は女の子なんだよ。女の子は弱いから守ってあげないといけないものなんだよ」


 本当は守る側になりたいもんだけど。


「ん、あたしだって女なんだけど」


 いや、違う。人外だ。けど、オブラートに包まないと。


「けど、聖女だろ。しかもレベル17。僕のようにレベル2のクソザコ小娘じゃないだろ」


「うん、そうだね。タッキはクソザコ小娘だね。わかった。弱い生き物だと思って大事に扱うね」


 ミコは僕の頭を撫でる。なんか悪くないな。これで、少しは僕が痛めつけられるのが収まればいいけど。あと、コイツが棍棒しか持ってない理由が分かった気がする。棍棒出こんなに危険なんだから、剣とか槍とか手にしてようもんなら、辺りは被害甚大だろう。


 それから僕らは、オークを狩りまくった。最大3匹出てくる事もあったが、サリナのクスリのおかげでなんとかなった。と言うより、無理やりなんとかした。泥仕合にはなったけど、1人で討伐していった。オーク複数と戦うよりも、ミコと連携して戦う方が大変だからだ。結構酷い怪我をする事もあったけど、ミコに癒してもらった。

 昼に一端戻ってコンビニ弁当食べて休憩して、また夜までで戦いつづけた。影の世界にはサクラたちも居たけど、みんなお腹の調子が悪いらしく、誰もついて来なかった。間違いなく、出発の時にサリナに盛られた睡眠薬の副作用だろう。あいつのクスリは基本的に下剤なのか?


 そして、夜は仕事から帰って来たネネと家族で飯食って、今日も汗まみれなので早めに風呂に入った。うちの風呂場が狭くて良かった。アイツら乱入したがるもんな。そして、今日も疲れてたので早めに爆睡した。朝起きたら、また、ミコとネネがベッドに乱入して来てた。何で一緒に寝たがるんだろうか? 子猫なのか? まあ、これが日常になったら男に戻った時が楽しみだ。


 そして、日曜日、明日は転移の日だ。今日はまたサクラの能力で、予知世界に向かう。ここ数日のトレーニングの成果を見るためだ。このシミュレーションをなんとか成功させて、あっちでライラたちを助けてやる! あっちじゃ男だから今より更に強くなってるはず。

 サクラは水着で風呂場に椅子に座ってスタンバってる。召喚士のエマ、忍者のシノブ、錬金術師のサリナも水着で浴槽のふちに座って準備万端だ。浴槽の水はコールタールみたいに真っ黒。まじ入るの躊躇うな。ミコとネネもついて来ている。彼女らは制服だ。なんでいつも制服なのか聞いたら、気に入った私服がダメになるのが嫌だからだそうだ。相変わらず脳筋な理由だ。2人にもサクラのスキルは説明している。一緒に入浴すると覗けるのなら、あたしたちは足湯ってミコは言っていた。人が入ってる風呂を足湯にするのはいかがなものかって思うけど、サクラの風呂の湯は見た目最悪だし、まあいいか。

 最近絡んだ人が全員集合だ。こいつら、僕が生き足搔くのを見るのがそんなに楽しみなのか? こっちは真剣なのに。言いたい事はあるが、この3日で僕は彼女たちに色んな事を学ばせて貰った。


 読んでいただきありがとうございます。


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