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第五十四話 迷宮地下一層


「次はお前いってみろよ」


 スライムから気を反らさずに、エマに話しかける。僕らの前にはプルプルのブルースライム。なんか見た目は青いゼリーみたいで可愛いと言えなくないものだが、意外に凶暴だ。体当たりは地味に痛い。多分、頑丈な水風船で殴られたらこんな感じなんじゃないだろうか?


 僕の言葉にエマは首をフルフルと横に動かすだけ。だけどコイツは召喚士でオークを数匹呼べるレベル。スライムなんか楽勝なんじゃないのか?


「せっかくの好意を無駄にするなよ。ほら、好きなんだろ。遠慮せずにいっちゃいなよ」


 それでもエマは首フルフル。エマの肩に馴れ馴れしくミコが手を置く。


「なんかタッキ、言い方エロいわ。長崎さん、せっかくだからスライム倒しなよ。あたしたちも一応アンタの実力を知っとかないとね。パーティーメンバーだから」


 んー、エマの苗字って長崎って言うのか。


「……長沢……」


 違うらしい。さすがミコ。頭の中にはスライム詰まってるんじゃないか? あと胸も。エマがボソボソと話し始める。


「……仲間じゃない……撮影係……」


 そうか戦う気は無いのか。


「『アフターピル』からのー」


 ミコがエマの頭に触れる。この魔法ってタッチする必要があるそうだ。


「ミコ、プッシュー」


 ミコはエマの後ろに回ってスライムの方に押す。そうなんだ。コイツとは会話は成立しない。本当にやりたいようにやるだけだからな。戦いが見たいと思ったら戦わせる。わがままこの上ない。


「キャッ! 生は嫌、汁がつく!」


 あ、普通にエマ喋ってる。て言うかまた微妙なセリフだな。わざとなのか?エマはたたらを踏みながらスライムに近づく。スライムはターゲットと定めたのか、ジリジリとエマに近づく。生は嫌って素手は嫌って事か? しょうが無いな。


「受け取れ」


 僕はエマに棍棒を投げる。いかん、クルクル回っている。二分の一で汚いとこ掴んじゃうな。それより受け取れるのか?


 パシッ!


 ジャンプして綺麗な音を立ててエマは棍棒を掴む。今足が真っ直ぐ前後180°開いてたぞ! しかも取ったのはちゃんと柄の方だ。そして、前にに倒れたと思ったら、片手で倒立して足をついてブリッジして上体を起こしながらスライムに一撃を加える。とっても滑らかな動きだ。て言うか体やわっ。ブリッジの時お尻に頭つきそうだったぞ。けど、スカートからは全くパンツ見えなかった。

 スライムは光ると魔石に変わり、エマはさっとそれを取る。


「お前、何かやってたのか?」


「……新体操」


 ん、こんなシャイやヤツがレオタードで人前で演技してたのか? 違和感有り過ぎだろ。


「へーすごいわねー」


 なんかミコは棒読みだ。多分、粟食ってバタバタすると思ってたんだろう。


「……ビッチ、押したね……」


 あ、エマさん怒ってらっしゃる。


「ビッチちゃうわ。アンタがもたもたしてるから背中を押してあげたのよ。もしかして、アンタやる気なの。あたしは結構喧嘩強いわよ」


 うわ、また喧嘩売りにいってる。まじ、そういう呪いにかかってるんじゃないか? 聖女って平和を愛する者じゃないのか?


 エマは上目遣いに睨む。なんか怖いっていうより可愛い。スネた子供みたいだ。


「……もっとヌルヌルにしてやる。来たれ」


 うわ、ヤバい。地面一杯に魔法陣が浮き上がる。二十くらいはあるんじゃないか? 召喚士って地味で弱いのかと思ってたが、こんなに沢山召喚できるのなら話が違う。光る魔法陣から次次にスライムが出てくる。そしてそれらがミコ目がけてジャンプする。


「タッキー、スライムはタッキのものでしょ、ヌルヌル好物でしょ倒しなさいよ」


 ミコは僕の陰に隠れようとする。


「待てよ、お前にとってスライムは経験値ゴミのザコなんだろ」


 僕はミコを盾にする。さすがにこの量はヤバい。


「そりゃ楽勝だけど、汁かかるのが嫌ー」


「俺だって嫌だ。エマ、いやエマさん、これどっかやってくれよ。おい、ミコ、お前、謝れよ」


「嫌よ。謝るくらいなら、タッキを犠牲にするわ」


 うわ、またこいつ今度は僕を押しやがった。僕はたたらを踏んでスライムの海にダイブする。ミコ、覚えてろよ。ん、スライムが動きながら僕を移動させていく。なんかライブで会場にダイブしたミュージシャンがファンに持ちあげられて移動するアレみたいだ。そして優しく降ろされるのはエマの横。


「……タッキ味方……ビッチ敵」


 どうやらスライムを完全に支配してるみたいだな。ミコにスライムが殺到してるみたいだけど、アイツはレベル17。大丈夫だろう。


「くるなーーーーっ」


 ミコがスライムに埋もれていく。ん、なんか一匹違う色が?


「なんか赤っぽい奴いないか?」


「……亜種ピンクスライム。夢のスライム」


 夢のスライム? って事はアレか? 男の子の一度は考える夢のシチュエーション。時間停止してエロい事する、透明化してエロい事するのに並ぶ服だけ溶かすスライムなのか? ピンクスライムはやらしい事にミコの背後側に回っている。


「死ねい! クソザコどもーっ!」


 ミコが切れて暴れ始めた。頑張れピンクスライム!


 読んでいただきありがとうございます。


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