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第五十一話 理由


「なんで、お前たち帰ってないんだ?」


 僕はミコにお姫様抱っこされなが問う。


「その前に時間みたいだねー」


 ネネの足が床に出た魔法陣に吸い込まれる。僕とミコも吸い込まれていく。そして戻って来たのは地下駐車場。


「なんで帰らなかったのかって」


 ミコが口を開く。お姫様抱っこ、なんか恥ずかしいから離して欲しいんだけど、僕は足をやられてるから立てないんだよな。病院いき確定だよな。


「帰りたくなかったからに決まってるじゃん」


 そんなの聞かなくても分かるわ。


「じゃ、なんで帰りたくなかったの?」


「その前に、あたしから質問」


 なんかいつもこいつとは話が噛み合わないな。多分こいつがわがままで人の言う事を聞かないからだろう。


「いいけど、何だ?」


「タッキは、強くなるために迷宮に残ったんでしょ? なんで強くなりたいの」


「さっき言っただろ。あっちでピンチの女の子たちを助けられるくらい強くなりたいって」


「けど、人を助けるために死にかけたら意味ないじゃん」


 まあ、そりゃそうだ。本末転倒だ。自分の楽観過ぎたの少し反省している。


「それに、あっちに行っても逃げたたらタッキは助かるんでしょ? なんで命がけで戦わないといけないの?」


 そうだ。なんで命かけて、こんなにがむしゃらになって助けないといけないんだろう。けど、答えは決まってる。


「助けたいからだ」


「じゃ、なんで助けたいの? 誰か恋人か好きな人でもいるの?」


 恋人? 好きな人? ウルルとライラとマリンが? ウルルは無いな。凶暴だから。ライラとマリン、そうなったら嬉しいかもだけどね。


「それは無いな。いやー、出会って間もないし多分そんなに好かれてないからな」


 ん、少しミコの表情が明るくなる。お姫様抱っこされてる僕、全くしんどくなさそうに優しく抱っこしてるミコ。んー、逆だったら、ミコでもまあいいのになー。可愛い女の子をお姫様抱っこで助けるっていうのは古来からの男の夢だ。今、それを体験してる。悲しい事に立場は逆だけど……しかもパンイチ。

 なんかやらかいものがあたってるけど、それどころじゃない。いてーんだよ。足。そこに心臓があるかのようにズキンズキン痛む。けどなんかミコの顔がいつになく真剣なんだよなー。それに僕らをネネも真面目な顔で見てるんだよなー。


「じゃ、好きでもない、あんまり知らない人をなんで助けようとしてるの? 自分を犠牲にしてまで」


 ミコの顔が近づく。そりゃ助けたいからだ。僕がそうしたいからだ。けど、これを言うと会話が無限ループだな。そうだ。なんかで聞いた今の僕の心情を表すいいセリフがあった。


「なんでかって? そんなの当たり前じゃないか。人が人を助けるのに理由なんかない。やりたいからやるだけだ」


 僕とミコは見つめ合う。立場が逆だったら恋愛もののワンシーンみたいなんだけどなー。


「そう、そんなんだ。じゃ、あたしたちがタッキを追っかけた理由も分かったわよね。『エクストラヒール』」


 じゃミコたちも助けたいから助けた。人助けには理由は要らないって事か? でもそりゃおかしい。僕のクラスメートはみんな僕を一度見殺しにした。そんな当たり前の事すら心に無いクズの集まりのはずなのに?

 ん、もしかして僕、なんか漏らしたか? ミコに触れてるとこが温かくなってきた。


「おっと、ミコ、足伸ばさないと」


「うがっ、ぐっひひひーーーい!」


 ネネが駆け寄ってきて、僕の傷ついた足を伸ばす。いま、間違いなく伸びちゃいけない長さのびたよね!?


「ミコ、骨折れてる時は伸ばさないと変にくっつくっていつも言ってるでしょ」


 え、変にくっつく。多分今回復魔法をかけて貰ってると思うけど、変にくっつくはヤベー。そういう時ってもう一度折ってくっつけるんだよな。


「おい、ミコ、はやく病院へ連れてってくれ。曲がってくっつくはまずい」


 ミコは僕をしゃがんで床に下ろす。地面にに足をつける。左足、右足の順番で。うおっ、治ってる。全く痛くない。軽くジャンプしてみるが問題ない。


「ありがとう、ミコ、ネネも」


「仕事だからいいよ」


 ん、仕事?


「知り合いだから税金サービスで三万円でいいわ」


「えっ、お前金取るのかよ?」


「当たり前でしょ。保険つけての骨折の治療費でもそれくらいはいくでしょ。CTとか装具とかでもっといくから、かなりお得だとは思うわ」


 ん、ミコが頭よさそうな事を口にしている。


「ほら、僕だってお前助けただろ」


「回復魔法つかった?」


「使ってないけど?」


「回復魔法は病院と一緒。あっちでは無料で使うのは禁止されてるの。そうすると医者や薬師が仕事あぶれるでしょ」


「ここは日本だ」


「日本で無料で治療してくれる医者はいるの?」


「…………」


 くそ、ミコ相手なのにやられている。


「じゃれ合うのはそれくらいにして、ミコ、さっきのは良くない。さっき、この変態の言葉を聞いてなかったのか? ボクたちがコレを助けた理由がコレと一緒って、ヤりたいからヤるとかコイツ言ってたよな?」


「お前も頭んなか下ネタしかないのか? 聞いてただろ。したいからするって意味だよ」


「ナニをかい?」


「だから助けたいから助けたって意味だって、微塵も下心、いや、少ししか下心は無い!」


「やっぱ少しはあるんだ。ボクらは違うからね。あとボクは面白そうだから助けただけだからね」


 んー、せっかくいい話にもってったと思ったのに、ミコは金、ネネは下にもってきやがった……


 


 読んでいただきありがとうございます。


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