第二十九話 強力なスキル
「で、僕になんでそんな話しにきたんだ?」
「だって、タッキ、明日から学校に来ないつもりなんじゃないかって、エリカが言ってたのよ。だってアンタ、車の中でほとんど喋らなかったじゃない」
喋らなかったのと学校は関係無いんじゃないかと思うが、確かに明日からは学校に行きたくなかった。カズマ、コウタの事も解んないし、タケシ一派からも狙われると思うし、正直、ミコたちも信用ならない。あと、西園寺もパーティー組んでるはずだし、正直どうしていいのか見当もつかない。
「けど、あたし達が協力関係で、タケシたちが何もしてこないなら学校来るでしょ? それに高倉と西園寺が、クラスに次の転移まで、争い禁止令を出したそうだから、安全よ、安全」
「けど、そんなので、安全になるのか?」
「多分なるわよ。約束破ったパーティーは、高倉と西園寺のパーティーがあっちでキルするって言ってるからみんな止めるわよ争い」
なんか、なんとも言えないな。昨日はコイツ、今日はタケシたちに襲われたから、明日平穏に過ごせる自信がない。こっちでは、狙われまくりで、あっちでは、ゴブリンの集団に襲われる一歩手前。どうすればいいのか頭が痛い。
「その前に、僕が学校行くか行かないかって、お前には関係無いだろ」
「関係ありもありで、おおあり食いよ」
もしかして、ギャグのつもりか? まったく面白くないぞ。
「タッキが学校来ないと面白くないよ。それに、なんか恐い」
僕はお前の方が怖いわという言葉を飲み込む。僕はレベル2。コイツは17も有りやがる。普通にバトったら秒殺されそうだ。それに、気絶してた時の白目剥いた顔も思い出す。あれは夢に出そうだった。
「わかった。明日学校行くよ」
なんかゴネたらコイツがここで暴れだしかねん。下には両親も居るし僕の聖域である部屋をぶっ壊されたらたまらん。
「良かった」
そう言うとミコはバッフーンと足を広げてベッドに寝っ転がる。
「おい、パンツ見えてるぞ」
「気になんないよ。今日散々見たでしょ」
確かにそうなんだけど、スカートから見えてるのはなんか違う。なんて言うかドキッとする。
「あ、もしかして興奮してるの? ネネにはあたし見てもなんともないって言ってたのに」
ミコはまたベッドに座る。
「ほーら、ほら。あー、タッキ顔赤くない? 照れてるのー?」
ミコは足を開いてスカートをパタパタする。パンツ見えてるけど、母さんのパンツ見たくらいの気まずさしかないな。
「止めなさい。お前は変質者か。恥ずかしく無いのか?」
「タッキになら何見られても恥ずかしくないよー」
頬を染めながら。ミコはチラッとスカートをたくし上げる。さっきのはどうかと思ったが、それは効く。恥じらい大事。
え……
肌色???
「おっ、お前、いつ脱いだ……」
「ん、スースーする。ぎゃあああああああああーーーーーーーーっ!」
ミコは両手でスカートを押さえる。
「タッキ! いつ脱がしたの!」
「脱がしとらん。お前のパンツなんかに興味ないわ」
「中身に興味あるから脱がしたの!」
「なっ、中身にはもっと興味ないわ」
「ひっどぉーーーーい! 興味が無いってやっぱりあたしよりタケシとかの方が好きなのねーーーーっ!」
「叫ぶな、落ち着け落ち着け。深呼吸深呼吸」
「ふー……ふー……」
「ほら、ほら、お前、僕にならなに見られても恥ずかしく無いって言ってただろ」
「それとこれとじゃ話が違うわ」
ミコは涙目だ。変な奴だな。いつもは胸もガパーって空いてて、よくパンツ見せてるのに基準が分からない。
あ……
「アポート。ミノって奴、三田だよ。あいつ、テレポートとアポートが使えるって言ってたな。なんか物とかを引き寄せるスキル。多分そこまでチートじゃないと思うから、見たものや触ったものしか引き寄せられないんじゃないか?」
「ええーっ! じゃ、あたしのパンツ、あの変態に盗られたって事!!」
「証拠は無いけどな」
ミコは立ち上がる。僕は急いで目を逸らす。見てない見てない。
「あり得ない。取り返す! あいつコロス!」
ヤバいレベル17の目が座っている。
「待て待て、お前、三田んちどこか知ってるのかよ? それにミニスカノーパンで外うろつく気か?」
ミコは勢いよくしゃがんでスカートを押さえる。
「どうすればいいのよ」
「好きなの選べ。親父のブリーフか母さんのパンツ」
「あんたのちょうだいよ」
「馬鹿かっ! なんで好き好んでお前とパンツを共有せにゃあかんのだ」
「共有はしないわ。貰って大事にするわ」
「余計いやだわ!」
「じゃ、お母さんので我慢する。早く貰ってきてー」
母さんに、ミコはおバカでパンツ穿き忘れてきたって言って借りてきた。あんたが汚したんじゃないのって言ってたのを完全否定する。やたら時間かけてもって来たパンツはミコにあげていいそうだ。
部屋に戻り、母さんのパンツをミコに渡す。ミコは広げてガン見する。
「良いパンツねー」
「恥ずかしいだろ。広げるなや」
なんかぎりぎりまでレースでスケスケだ。お尻のとこなんてほとんど紐だ。こんなん家に干してるの見た事ない。もしかして若い時の勝負下着ってやつか?
んー、今僕は何やってんだ? なんで、自分の部屋で女の子に母親のエグい下着をプレゼントせにゃあかんのだ
……涙出そう。
「じゃ、ご両親に挨拶して帰るねー」
「せんでいいわ。じゃさっさと気をつけて帰れよ」
ああ、疲れてるのに更に疲れた……
「はいはーい」
階段を降りる足音。見送りはせんぞ。そもそもアイツの方が僕より強い。とにかく疲れた。変な汗かいたけど、眠いから寝る。僕は電気を消してベッドに転がり込む。なんか化粧品の匂いがする。なんとも言えんな。
トントンと軽い足音がする。まじか、まだミコ帰ってないのか? 扉がガチャリと空く。そして扉が閉まる音がして、なんかゴソゴソ音がする。ミコ何してやがんだ?
「早く帰れよ」
「嫌だよー。ボクは帰んないよー」
鼻にかかった間延びした声。カバッと起きて電気をつけると、床に寝袋に包まってる美少女、ネネちゃんが居た!
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