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第二十三話 絶対絶命


「おい、ミコ、喋れるようにするから、叫ぶなよ。まあ、叫んでも誰も来ねーが」


 闇の中タケシの声がする。


「ぷふぁ。あんたたち何すんのよ!」


 叫ぶなよって言われてたのに、キーキー叫んでいる。


「くそっ。動けないわ。強く縛りすぎでしょ。あんたたちあたしに触れたわね。払いなさいよ慰謝料! 慰謝料!」


「ていうか、おめー。自分の立場分かってるのか? おめー、俺らに何されても抵抗出来ないだろ。おめーのスキルでここから脱出できるものは無いだろ。それに、その縄はあっちでの罪人や魔物を縛るようのやつだ。象を縛っても千切れないぞ」


 ん、あっちの縄? 何らかのスキルがあれば、あっちとこっちで物を移動できるのか? アイテムボックスか? けど、何のためにタケシは縄なんか持ってきたんだ? その前にミコは『あんたたち』って言ったな。じゃ、タケシ以外に誰か居るって事か? 


 けど、どうでもいいけど、エロ動画のようなシチュエーションだな。ここは廃工場とかで、クラスの女子委員長が、いじめられっ子を助けて逆にいじめられるやつだ。

 多分、ミコは僕を殺すって脅されて、それを回避するために、タケシたちが言うエッチな事をなんでもする。そして、とどめには陰キャいじめられっ子の僕の相手をさせられる事になる。そんなストーリーのやつって良くあるよな。男優は高校生のはずなのに、やたら老けてたりする。


「本当みたいね。レベル17のあたしの力でもびくともしないわ」


 ん、レベル17!? なんでそんなに高いんだ。僕なんかレベル2だぞ。という事は昨日ミコは手加減していた? 殺そうと思ったのなら僕は秒殺されてたんでは? けど、逆にレベル17の魔法の盾を破壊した僕のウォーターガンの威力っていうのは破格なんじゃないか?


「で、あんたたちは、あたしを縛って何したいわけ? エッチな事でもしたいわけ?」


「んな訳ねーだろ。俺らだって性病は恐い。調べたらゴムつけてもうつる性病もあるみたいだからな」


「バッカじゃねーの。性病なんかもってる訳ないじゃん。ていうか、あんたわざわざ調べたの。やる気満々じゃん。バカじゃないの? はー、あんたドーテーでしょ。ドーテー。近寄らないでドーテーがうつるわ。ドーテーくっさ!」


 止めてくれ、ミコ、その攻撃は僕にも刺さる。


「クッソ、ボケ、カスが、まじムカつくな。おい、ミノ、なんか棒もってこい。分からせてやる!」


 棒で何するきなんだよ。ていうか、なんなんだこのやりとりは、僕、完全放置だな。帰らせてくれないかなー。ミノ? 焼き肉のホルモンの事か? 違うよな、多分タケシの仲間だろう。ミノなんて奴は知らない。


「へー、いいの。あんたらあたしを敵に回して。あんたらの目的はあたしの『アフターピル』でしょ」


 物音がしなくなる。『アフターピル』? たしかそれって、事を致した後に女の子が飲んだらほぼ妊娠しなくなるって薬だったよな。それをミコがもってて、タケシが欲しがッてるって事か? ミコ、どんだけビッチなんだ? そんなんを常備してるのか? 


「そうだ。あっちでそれを使って欲しい」


 ん、と言う事は、タケシがあっちで誰かを妊娠させないために薬をつかって欲しいって事か? タケシが次にラグナフェンに行くのは卒業するためにという事か? ならなんで僕を拘束してる? 


 ゲッ! もしかして、タケシは僕で卒業するつもりなのか?!


 いや、それなら薬は要らない。いや、もしかしたら。タケシのスキルは誰でも妊娠させるスキルなのかもしれない。そんな訳無いか。


「なんで、あたしがそんな事しないといけないの?」


「いや、ただでとは言わない。命と引き換えでどうだ?」


「バッカじゃないの? あんたら、あたしに傷一つつけたら、あたしの仲間が黙っていないわよ。今だってあたしを探してるはずよ」


「分かってる。お前じゃない。あいつの命だ」


 あいつって誰か? もしかして、僕? 僕なのか? まじかよ。ミコには僕を助けるメリットは無い。


「なんで?」 


「だってお前ら仲良さそうにしてただろ」


「まあね。コイツ意外に強いから、あたし達と一緒に戦って貰おうかと思ってたの。けど、期待外れね。こんな簡単に捕まってしまうなんて。クズね」


 期待外れで悪かったな。


「まてよ、コイツが強い? もしかして、コイツ、あっちで死んでないのか?」


「そうよ。スキルなしで生き延びて、自力でスキルを手に入れてるみたいなのよ」


「うわ、まじかよ。キモッ。ゴキブリみてーなやつだな。コイツの名前は今からゴッキーだな」


 まじかよ。ナメクジのあとはゴキブリかよ。少しは身分が上がってるのか? 印象はより悪いけど。


「やっぱそうだよな。このゴッキーのために協力してくれる訳ねーよな。じゃ、コイツ、俺らで海の中にでも捨てとくから、お前は解放するよ。ついて来て貰った迷惑料は十万でいいか?」


 十万?! お金持ってるなー。けど、腑に落ちない。十万も払ったらタケシには何のメリットが有るんだ? 僕を拉致しても何のメリットもない。


「いいわよ。その代わり条件は、あたしを解放したら、その後何しようがあたしの自由。それで何かしたからってお金を返せっていうのは無しで」


 もしかして、ミコ、お金貰った後に僕を助けようって思ってるのか? 意外にいいやつなのか?


「ああ分かった。だがこちらにも条件がある。お前の仲間に報復させるのは無しで。あと、解放したあと、すぐに転移で学校に戻ってもらう。これは譲れないな」


 転移? 転移ってワープの事か? まじかよ、そんなヤバいスキルをもった奴がタケシの仲間に居るのかよ。


「いいわよ」


 え、そうだよな。やっぱりミコが助けてくれる訳ねーよな。さっきまでは気まぐれだったんだろう。



 読んでいただきありがとうございます。


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