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第二十一話 反撃


「フォース!」


 僕は右手を突き出しながら、左手でチャックを下ろす。


「ホーリーシット!」


 叫ぶミコの前に白く光り輝くマンホールの蓋みたいなものが現れる。盾か? やっぱり防御手段を持ってたのか。シングル、いやダブルだ。あの棍棒で叩かれたら下手したら死ぬ。


 ドバシュッ!


 ガンから放たれた弾がミコが出した盾に当たって弾ける。盾に罅が入るけど威力が足りない。連打の2発目が盾を破壊する。そして、ミコを吹っ飛ばす。


「危なかった」


 僕はアンモニア臭に顔を顰めながら立ち上がる。


「うっ、ううーん」


 ミコが地面に全身を投げ出してる。武器の棍棒を探すが見当たらない。


「あたしの、『ホーリーシット』が……」


 ん、『ホーリーシット』って確か外人さんが悪態つく時に言うセリフだよな。さっきのスキルが『ホーリーシット』か。あいつ、何か間違ってるんじゃないか? 聖女の盾、聖なる盾、ホーリーシールド。たぶん、聞き間違えてるんだろう。けど、あいつには『ホーリーシット』で十分だ。やっぱ性女だ聖女じゃねーな。


「ゲホッゲホッ。しょっぱ! いいとこ入った……」


 ミコは咳き込みもがくが立ち上がれない。ん、しょっぱい? けど、パネェな。盾で威力が軽減されてたとは言え、僕のガンであれだけとは。弾はあと三発はいける。アイツは危険だ。どうするか? 僕はガンで狙いながら近づく。


「お巡りさーん、あっちです。不審者がJKにおしっこかけようとしてます!」


 遠くで、男の声がする。ヤバい。今の状況を警察に見られたら間違いなく捕まる。僕はガンをしまって駆け出す。


「ナメオ、覚えとけよ……」


 後ろからミコの声がする。


「知らねーよ。バーカ」


 ムカつくから、一言置いていく。


 なんとか捕まらず家に帰り、シャワーを浴びて寝る。色々考えたいとこだけど、やたらめったら疲れた。学校で暇な時間にでも考えればいいだろう。




「おはよう。キチクナメオ」


 朝玄関を出るとギャルがいた。


「タッキ、もしかして、お友達?」


「違うっす。彼女、彼女っす。昨日は盛大にぶっかけられましたー」


 母さんに爆弾投げやがった。隣んちの爺さんもこっち見てやがる。


「止めろ。いや、止めてください」


「じゃ、タッキ君借りていきますねー」


 ミコが僕の腕に腕を絡ませてくる。そして歩き始める。見ると、空いた胸元が見えるが、男の尻を見てるようでなにも感じない。逃がさねーぞって事か。なんか腕に柔らかいものが触れてるがそれも不愉快だ。


「何しにきやがった」


「あれー、ナメオくん。あたしに会えて嬉しくないのー」


「嬉しい訳ねーだろ。散々コロスコロス言われて」


「女の子は嘘つきなのよ。口だけで、ナメオは死んでないでしょ。アンタって、見た目によらず、見た目通りか。鬼畜の変態なのねー。あたし、人におしっこかけられたの初めて。女の子ぶん殴っておしっこかけるなんて、漫画の世界だけの事かと思ってたわ」


「あのー、声、小さくしてくれませんか?」


 ミコの声はデカい。よく通る。井戸端会議してる主婦の方々がこっち見てヒソヒソ話してる。ミコは立ち止まる。僕もそれにつられて止まる。ミコは口に広げた手を当てる。


「嫌よ。みんなに聞こえるように話してるの。みなさーん。ここに居る二ノ宮達樹はド変態でーす。女の子の顔を舐めて、おし……」


 ミコの口を塞ぐ。まずい、普通の生活が出来なくなる。


「頼む。言うこと聞くから勘弁してくれ」


 ミコは片手で僕の手を無理矢理外す。やっぱ力強えわ。なんか手についたのが嫌だ。


「ぷはっ。言うこと聞くのね。じゃ、今すぐ裸であそこでうんこして」


 大丈夫かコイツ、頭湧いてるんじゃねーか。


「嫌だ。出来る事しかしない」


「そっか、あんたそれくらいも出来ないの? 男なのに」


「男、関係ないだろ。可能不可能で言ったら、やる事は出来るが、人生詰んじまうだろ。警察に捕まって、学校クビになって」


「アンタ意外に賢いのね。じゃ、あたしがやるわ。けど、言うわよ。アンタに脅されてやったって」


「ちょっと考えてくれ。誰得だよ。そんな事しても誰も良いこと無いだろ」


「えっ、アンタには良いことあるわよ。こんな美少女が脱ぐって言ってるのよ。嬉しく無いの?」


 まあ、少しは気にならない事も無いが失うものが多過ぎる。


「それより、昨日は悲惨だったわ。おしっこ臭い服着たまま、延々と警察で話させられたわ。けど、言わなかったよ。犯人はアンタだって」


「なんでそうなる? 僕は被害者だろ。お前が襲いかかってきたから正当防衛だ」


「ふーん、だからっておしっこかける必要無いでしょ。ミコは怒ってるのよ」


 むぅ、そういう攻撃って言いたいとこだけど、そしたらフォースの正体がバレる。


「そうだ、事故だよ。お前があんまり恐いから、僕ちびっちゃったんだよ。それがお前に少しかかっただけだ」


「かなりびしょびしょだったんだけど」


「それだけビビってたって事だ」


「ふーん。それは置いといて」


 置いといていいのかよ。


「あっちであたしの手伝いするなら、助けてあげてもいいわよ。ギブアンドテイクってやつね」


 そうか、目的は同盟か。


 読んでいただきありがとうございます。


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