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 第十七話 手がかり


「少し話したい事がある。コンビニ前の公園に来てよ」


 僕はカズマに電話している。もう何がなんだか訳が分からない。敵なのかもしれないが、カズマなら絶対何か知ってるはず。そう思うといてもたっても居られなくなり、手がスマホに伸びていた。


「いやだよ。面倒くせーよ。話したい事があるなら今話せよ」


 電話だと、顔色がわからない。それに、あんまりカズマがしらばっくれるようだったら、ガンで脅しをかけてやろうと思う。


「電話じゃ話せないような重要な話なんだ」


「お前にとっては重要でも、俺にとってはそうじゃないんゃねーか?」


 おかしいな? 何でそこまで家から出たがらないんだろうか? かまをかけてみる事にする。


「『魔王』魔王の事で話がある」


「おいっ、もしかして、お前、ドロップアウトしてないのか?」


「ドロップアウト?」


「え、まじか、もしかして知らないのか? まあ、いいだろ。公園だな。今すぐ行く。待ってろ」


 そう言うと、カズマは電話を切った。ドロップアウト? また訳が分からない言葉が出てきたな。まあ、何はともあれ、カズマは僕が知らない情報を持ってる事が分かった。散歩に出てくるって言って家を出る。


「遅かったな。何待たせてんだよ」  

 

 公園には先にカズマが来ていた。いつもは人を待たせる奴なのに珍しい。都合が良いことに辺りには誰もいない。まあ、夜の公園だし、ここらはコンビニ前でヤンキーがよくたむろしてるからカップルも来ない。


「おい、タッキ、お前、『ラグナフェン』で死んでないのか?」


 カズマはいきなり訳が分からない事を言う。何も僕が知らないって思われたら、カズマは口をつぐむかもしれない。多分ラグナフェンって言うのは、あの夢の世界の事だろう。1つだけ分かっている事がある。カズマは敵だ。けど、どうにかして、僕がカズマの敵じゃ無いって思って貰わないと。出来れば味方だと勘違いしてもらえたら、色々教えてくれるかもしれない。多分、僕を追放したあと、クラスは幾つかのグループに分かれたんじゃないだろうか? カズマとあのいけ好かない西園寺は絶対に敵対してるはず。そこを突こうと考えて来た。


「死ぬ訳ないだろ。けど、僕には記憶が無いんだ。ここからラグナフェンに行った時の。だから、色々分からない事がある。カズマは西園寺ともめてるだろ。僕も西園寺とはつるむ気は無い。たがら出来ればカズマの手伝いが出来たらいいなって考えてる」


「お前、俺の事をなんとも思ってないのか?」


 僕は俯く。腸が煮えくりかえりそうだ。ずっと友達、いや家族のようなものだと思ってたのに。ダメだ。ここで疑われたら。あの時の事は夢。無かった事だ。カズマは僕の友達だ。そう自分に思い込ませて顔を上げる。普段通りの顔のはずだ。


「気持ちわるいな。なんだそれ、女の子グループの会話か? お前の事はなんとも思ってないよ。友達いや、悪友だろ。そんな事より、質問を質問で返すなよ」


「ああ、悪ぃ。けど、お前とつるんでも俺にはメリットがなさそうだからな」


 そう言うと思った。コイツは打算まみれだ。メリット、デメリットでしか物事を考えない。という事は、あの時、僕を殴って海に沈めたのも打算? 止めとこう、今はそれよりも情報収集だ。まずはメリットを見せてやる。


「見てろ」


 僕はカズマに背を向けて、右手を遠くの木に向ける。そして、左手は股間のガンで狙いをつける。


「フォース!」


 バキッ!


 狙い通りに木の枝に当たって、落ちてくる。


「ほう、すげぇな。なんのスキルか?」

 

 あんまり驚いて無い声だな。威力を抑えすぎたか? ガンをしまって振り返る。


「謎のエネルギーをぶち当てるスキルだ。名前は分からない。とりあえずフォースって名付けている」


 カズマは腕を組んで考えてる。


「もしかして、お前か? ゴブリンの頭を撃ったのは?」


「なんの話だ?」


「まあ、いい。遠距離攻撃のスキルは俺たちも欲しかったとこだ。まあ、いいだろう。で、お前は何を知りたいんだ?」


 こういう所が気持ち悪い。僕は話したいって言ったのに、それだけで、僕がカズマに何かを聞きたいって思ってる所だ。それに、ずっと会話の主導権を取られている。友達だと思ってたから今まで気にはならなかったけど、嫌な奴だと思い始めたら、嫌なとこばかり目につく。


「ドロップアウトってなんだ?」


「あっちで俺らが死ぬ事だ。俺らはあっちで死んだら、二度とあっちには行けなくなる。それで、こっちではどうなるか分からない」


 行けなくなる? という事は行けるって事か? ライラたち!


 いかん、気が逸る。冷静に冷静に。


「次はどうやったら行けるんだ?」


「待てよ、俺がお前に話して何のメリットがあるんだ」


 僕は財布から五千円だしてカズマに差し出す。カズマは受け取ってポケットに入れる。


「まあ、いいだろう。来週、同じ時間に同じ場所に行けばまた行ける」


「中島の授業受ければいいって事か?」


「そうだ。巫女はそう言ってた」


 ミコ? クラスメイトのクソ女のミコじゃないだろう。あいつはそんな事知らないはずだ。ミコ、巫女なのか? 一端、カズマがあっちに行ってからどういう動きをしてたか教えて貰ったが良さそうだな。


 読んでいただきありがとうございます。


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