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第十一話 ハイメガウォーターカノン


「うぉおおおおおおーーーーっ!」


 僕は叫びながら通路を駆け抜ける。頭に思い浮かぶのは、昔見たアニメのロボット。それは変形合体するだけじゃなく、なんと頭から巨大なビームを放っていた。幼い頃の僕は感動したものだ。それが戦うゲームとかも遊んだ。シミュレーションゲームで、いわゆるマップ兵器。直接戦闘しないで、一方的に指定範囲にダメージを与えるというものだ。頭から放つビームで数体の敵を一方的に貫通させて攻撃する様は、僕にかなりの満足を与えてくれた。

 けど、時は流れ、僕は疑問を持つ。


 なんで、頭? 頭に大砲つけてたら、反動で首もげるんじゃねーか?


 それに対する答えがこれだ。


 出口に付き、僕は振り返る。ゴブリン共は一直線に並んで必死の形相で走ってくる。まだだ。まだ引きつけろ。


 僕はガンを取り出し右手で構える。


 やはり腰に砲台があった方が安定する。


 放つべき場所は、頭は頭でも亀の頭であるべきだ!


 多分、今の僕は狂っている。様々な理不尽に怒り狂っている。


 ゴブリンが僕のガンを見てゲヒャゲヒャ笑いながら近づいてくる。小っこくて悪かったな。けど、必要なのはサイズでは無い。威力だ。


「みんな、僕に力を分けてくれ!」


 僕は叫ぶ。やっぱ必殺技は叫ばないと! 


「ハイメガウォーターカノン!!」


 僕は全ての弾を放つ。いや、嘘だ。恐いから1発分は残す。


 バシューーーーーッ!


 弾が連なりビームになって、ゴブリンの腹を貫通していく。当たった所は爆発したかのように爆ぜていく。


 そして、目の前のゴブリンは全て床に突っ伏して動かなくなる。僕はガンを振って身だしなみを整える。少し先っちょが痛い。どうやら頑張り過ぎたみたいだ。確か件のロボットも砲を打った後には能力が下がったりしてたような。強い力には代償が伴うものだ。目の前にはグチャグチャなゴブリン。僕は気にせず歩いていく。なぜなら夢だからだ。そして、部屋に入る。


「大丈夫か?」


「大丈夫よ。助けて、手の縄をほどいて!」


 奥から甲高い女の子の声がする。ん、おかしいな。なんで言葉が通じてるんだ?


「なんで、僕の言葉が分かるんだ?」


「魔法よ。意思疎通の」


 まじか。クラスメートの誰かなのかと思った。けど、こんなアニメ声の女子は居なかったよな。僕は女の子に近づく。なんと、待望の全裸だ! 良くやったゴブリン。少しだけ褒めてやる。女の子は後ろで手を結ばれてて、こっちに頭を向けて蹲っている。膝を丸めこんでいて地面に胸を押し付けている。そして、こっちを睨む。


「何見てんのよー。目を瞑ってあたしの縄をさっさと解いて。変な所触ったり、目を開けたりしたら、したら、ひどい目に合わせるわよって、言ってもあたしは動けない訳で、アンタに助けて貰うしかないわけで……」


 語尾がしどろもどろになってる。良く喋る人だな。ピンクのツインテールに青い大きな目。実写版魔法少女って感じだ。可愛い。見たい。裸を見たい。こんなチャンスは二度と無いかもしれない。けど、僕は彼女の目が潤んでるのを見て、目を閉じる。


「目、瞑ったよ。絶対見ないから僕の手を誘導して」


 彼女に言われるまましゃがんで移動して柔らかい手に触れて結んである紐を解いてあげた。彼女が着ていた服はゴブリンにビリビリに破られていた。しようが無いので、彼女に背を向けて、ワイシャツとパンツを脱いで渡した。僕は直接スラックスをはいた。ティーシャツの上にブレザーだったけど、ワイシャツだけの彼女にブレザーも渡した。ノーブラはヤバい。見たいけど、もし、ガンが動作不良を起こしたら僕の生死に関わるから。けど、なんか女の子が僕が穿いてたパンツを穿いてるって思うだけで、なんかドキドキする。


「あたしの名前はマリンよ。あなたは?」


「タッキ、ニノミヤタッキだ」


「やっぱり、ニホンジンなのね。じゃ、タッキもチートスキル持ってるの?」


 どうする? 言うべきか? 彼女の事は名前くらいしか知らない。助けてあげたけど、まだ信用はできないな。素直に話そう。


「チートじゃないけどスキルは持ってる。魔物を倒して鍛えたものだ」


「それって通常スキルね。で、なんなの? 槍術? 剣術? それとも格闘?」


「まあ、そんな感じだけど大したものじゃないよ」


「大したものじゃない? 嘘ばっかりね」


 マリンは壁を指差す。そこには岩を穿つ穴が。さっき通路を抜けた弾が壁に当たったんだろう。凄い威力だな。ハイメガなだけはある。


「放出系の魔法みたいね。気弾か何かって事は、クラスはモンクか聖騎士。もしかしたら単発スキルかも」


 彼女が言ってる事が分からない。


「何なのソレ? 教えてよ」


「いいけど、後にしよ。まだゴブリンは居るわ。戻ってくる前にどっか安全なとこに行きましょ」


 まじか、弾はあと1発。それはまずい。

 マリンは靴を見つけてきて履く。なんか部屋の中にはごちゃごちゃあるけど、2つのリュックを見つけて持って部屋を出る。マリンはグチャグチャのゴブリンを気にせず進む。途中でウサギを回収して小屋に向かう。マリンにライラとウルルの事を話して、ゴブリンを倒したスキルの事は内緒にしてくれるように頼む。


「なんで、強さを隠すの?」


「僕はあの『ニホンジン』に狙われてるんだよ。出来るだけ目立ちたくない」


「理由、聞いてもいいかなー」


「話せる時が来たら話すよ」


 僕らは無事に小屋に着く。


 読んでいただきありがとうございます。


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