2020年7月9日 ノー○ラの日
2020年7月9日
お昼前の時間。ミニーズが五人少女達の元へ向かう中、アンジーは小さな不安を抱えていた。
アンジー「(ううん、大丈夫、大丈夫のはず……今日は聖美ちゃんが喜ぶような記念日は無かった。ボクが心配するようなことは何一つ無いはず……! でも……聖美ちゃん、どうしてあんなにイキイキしてるんだろう……)」
聖美「ハァハァっ、はぁーん! 早くみんなに会いたーい!」
聖美がこうして、なんだかとても上機嫌だったからである。ここから溢れるピンクの空気を、アンジーは敏感に感じ取っている。
イリス「聖美ったらどうしたの? 妙に張り切って」
聖美「なんでもないよぉ♪ ただ今日は……なんでもない~♪」
アンジー「(何かある……! ボクの見逃している何かがっ……)」
こうして着いた五人少女宅。勝負勝負と対面したミニーズ達だが、真っ先に聖美が前に立ってこう言った。
聖美「アメリカ行きたい!」
真凛「なんですかぁ突然……?」
聖美「アメリカに、行きたーい♪」
アンジー「(はっ!? そうか、アメリカの記念日になにか……! 盲点だった……!!)」
イリス「何かあるの?」
聖美「パラオの憲法記念日なの! お祝いに行こうー!」
アンジー「(絶対にそれが目的じゃない!)」
留音「あたしは別にいいけど」
聖美「行こう! 留音ちゃんは絶対に行こう!!!」
留音「力強いな」
聖美「イリスちゃん、転送出来る?」
イリス「まぁ、聖美が言うならやるけど」
衣玖「面倒くさいな……」
というわけでそこにいたミニーズとあの子を含めた四人は全員が転送され、ここはアメリカのどこかのようだ。
アンジー「でも聖美ちゃん、一体どうして突然アメリカなの……?」
聖美「特に深い意味はないよぉ。ただ……ほら、みんな今日の記念日はどうしてたかなって。ほら、7月の記念日っていっぱいある日と全然無い日の差が激しいでしょ? 今日だってジェットコースターの日くらいしかなかったし、みんな苦労してるかなぁあって」
真凛「それで外国に来たんですかぁ?」
聖美「うんっ、こっちの記念日も使えば日めくりがしやすいかなぁと思ったの! うーん何があるk、あーっ!! 見てみて! 今日はノーブ○の日なんだって!!」
アンジー「ブフッ……」
聖美が自分の言葉を自分でかき消すかのように早く回した舌でわざとらしく言うと、訝しんでいたアンジーが呼吸を乱している。
留音「ノー○ラぁ? マジかぁ?」
聖美「郷に入っては郷に従えだね! みんな脱ぎ捨てよう!!」
それをイリスもあの子も困惑した表情で見ている。
困惑した空気の中、聖美は「手伝ってあげるねェ!!」とすごい速さで留音と真凛の背後に周り、背中にタッチして瞬間的に何か留め具的な物を外していった。あの子のものも外そうかと思った聖美だったが流石に思いとどまった。(そしてそれは正解だっただろう。そんな事をしていたら天地が裂けて聖美は死ぬ)
真凛「きゃっ!」
留音「早い!?」
背中から来る胸部の開放感に体を抑える二人。
聖美「さぁイリスちゃん! やっちゃって!!」
イリス「……えっ?」
聖美「二人は今無防備だよ!! 衝撃魔法とか風の魔法とかあるでしょ!! このアメリカの大地に沈めてあげて!!」
そういいつつどこからか巨大なビデオカメラを取り出して構える聖美。
イリス「あ、あぁ……なるほど! 聖美ったらやるじゃない! すべてこいつらの油断を誘うための作戦だったのね! 最初はあたしも外さなきゃダメなのかなってヒヤヒヤしたわ!」
聖美「そういうことっ! さぁイリスちゃん、みんなを攻撃して飛んだり跳ねたり走らせたりして!」
イリス「よーし! 行くわよ五人少女共!! おらおらおらー!」
聖美「いいよいいよぉー!! さぁ走り惑うがいい五人少女ちゃんたちィ!!」
アンジー「聖美ちゃん……」
その後、真凛にガッツリ怒られた聖美とイリスだった。
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一方その頃、西香。11時頃に起きた西香だったが、家には誰もおらず、一人で外出して、とある場所で時計と周辺をかわりばんこに見ている。
西香「ったく……なにやってんですの、他の方たちは……」
ここは家の近くから電車で一本のところにある中くらいの遊園地。今の時間はお昼の2時だ。同居人たちが11時に遊園地に入って、今日のジェットコースターの日にちなんだ日めくりをやるからということで遊園地に来ているのだが。
西香「全くもう! 11時集合だというからこうして来てあげましたのに! 誰もいないなんて失礼しちゃう!」
再確認すると、11時集合と言われて11時に起きてのんびり準備して2時に到着するのが西香という女である。
しかしここにはからくりがあって、西香がとんでもなく時間にルーズなのはみんな知っている。
なので他の全員は1時半ごろに着けばいいね、くらいの感じで話をしており、西香には遅れるのを見越して2時間半も早く時間を伝えていた。ほとんどドンピシャだ。
だがもちろん、五人少女達は西香がどうでもいいため「アメリカの記念日での日めくりもいいかもな」なんて言いながら今もアメリカ、パラオ憲法記念日を実際に見に行っているようだ。
西香「もー! 3分も待って来ないなんてわたくしの時間をなんだと思ってるんですかー!」
というわけで怒った西香。でもジェットコースターには興味があるため一人で乗ることにした。
西香「わたくしったらなんて健気……一人でも日めくりを完遂するなんて真の主人公間違いなし……」
ジェットコースターに乗り、カタカタカタカタと90度の角度に近い急斜面をゆっくり登っていくのをドキドキしながら体験して。坂を登りきったコースターは一気に加速してバレルロールのような回転やら、様々に客を楽しませるコースを進んでいった。
西香「きゃーーーー!! ひゃーーーーー!!」
およそ時間にして1分間のコースターを満足そうに降りて、その後で遊園地スイーツなんかも堪能して一人で帰る西香だった。
西香「今度はあの子でも誘いますか……一人でも楽しいですけどっ。はー満足満足」
今日はジェットコースターの日。




