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2020年7月3日 ソフトクリームの日

2020年7月3日


 ジリジリと暑さを増してきたこの時期。ミニーズは3人でお出かけの中、休憩がてらにちょうど通りがかったところにある出店で売っていたソフトクリームを、イリスが変な形だと珍しがった事で3人で食べることにしたのだ。


アンジー「イリスちゃーん、買ってきたよー」


 頼み方のわからないイリスを先に休憩させて、アンジーと聖美(きよみ)が買ってきた。味はバニラ、ストロベリー、チョコレートの、比較的王道な3つを買ってきた。


聖美(きよみ)「イリスちゃん、どっちがいい?」


 そう言って聖美(きよみ)はチョコを、アンジーは片手に持っているバニラを差し出した。どうやらストロベリーはアンジーが自分用に注文したものらしい。


イリス「チョコのお菓子は食べ慣れてるし、バニラにするわ」


 じゃあはい、とアンジーはそれを手渡す。おぉ……と控えめに受け取ったイリスはアンジーがしているのを見習い、ぺろりと舐め上げた。


聖美(きよみ)「美味しい?」


 聖美(きよみ)は舐めるよりもかぶりつくタイプらしい、自分のチョコソフトの上のちょろっとした部分を切り取るように食べる。


イリス「美味しい!」


アンジー「よかったぁ」


 アンジーはニコニコしながら自分のストロベリーを食べている。ぺろりとすくい上げる度にほっぺに手を当てて、「ん~っ!」と冷たさと甘さを堪能している。


イリス「面白い食べ物よね、これ持つところまで食べられるんでしょう? よくこんな食べ物考えたわね。漏れても来ないし、すごいわ」


聖美(きよみ)「そうだね~っ、夏の風物詩っていうか……でも私、子供の頃はコーンの部分あんまり好きじゃなかったんだぁ」


アンジー「そうなの? ボク好きだけどなー」


 アンジーはアイスの部分と一緒に、コーンの一部をぱきっと割って一緒に食べている。


聖美(きよみ)「パパがコンビニのソフトクリームをよく買ってきてたの。私はそれよりもカップのほうがたくさん入ってて好きだったから……それにほら、コンビニのソフトクリームのコーンってふにゃふにゃでしょ?」


 イリスはペロペロとバニラを舐めながら聖美(きよみ)の話を聞いている。


アンジー「あー、確かにちょっと味気ないかも……」


聖美(きよみ)「だからね、同じ100円だったらカップのほうがいっぱい入ってて好きだったんだぁ。でも少し前にこうやってお店のソフトクリーム食べて……」


イリス「わととっ」


 話をぼんやり聞いていたイリスがソフトクリームを少し口に近づけ、持っていた部分を口に近づける。どうやら溶けた一部が垂れ、持っていた指についてしまったらしい。早めに食べられない人はコーンとアイスの間の溝を深めるように食べるといいのだが、初チャレンジのイリスはそんなことは知らない。


イリス「ごめん、続けて」


聖美(きよみ)「ただお店のコーンってサクサクですごく美味しいなーって知ってね、アイスと一緒に食べると食感も美味しくなるし、好きだなーって」


アンジー「わかる!」


 アンジーははしゃぎながら食べていて、ほっぺに少しアイスをつけていた。


聖美(きよみ)「あっ、アンジーちゃん」


 聖美(きよみ)はなんてこともなくアンジーの口元に手を伸ばし、指でストロベリーを拭い取るとそのまま自分で舐めてしまう。


アンジー「ぁわっ……」


 アンジーは唐突に我に返り、聖美(きよみ)の行動に衝撃を受けていた。


聖美(きよみ)「あっ、ごめん……家族にやるイメージで……」


 家族とは言うが弟や妹か、説明を省いただけで甥や姪の可能性もあると補足しておく。


アンジー「だ、大丈夫!」


 美少女モードとは言え、アンジーは男の娘というものだ。女の子にこんなことをされたら驚いてしまう。


聖美(きよみ)「ストロベリーも美味しいねっ」


イリス「いいな……あたしも一口もらっていい? あたしのもあげるし」


 アンジーは二人に取り囲まれるようにアイスをせがまれている。


アンジー「えぁっ、えぇっと……」


イリス「いい?」


 イリスは少しうろたえるアンジーに訊く。


アンジー「いっ、いいけどっ……」


 アンジーが続きの「でもボクが舐めてるよ」という言葉を発言する前にイリスはアンジーの持つアイスに顔を近づけ、はむっと一口分持っていった。


イリス「んーっ、ストロベリーもいいわねっ、今度はこっちにしようかな」


 とても満足そうに咀嚼するイリスが今度は自分のバニラアイスを差し出す。


イリス「はい、どうぞ」


 アンジーはここで食べないのも失礼ではないかだとか、様々な事を考えながらゆっくり顔を近づけて、とても控えめに一口食べた。味がしないが、とてもまろやかな気がした。


イリス「あたしのも美味しいでしょ?」


アンジー「う、うん! おいひっ……」


 その光景を二人の距離よりも少しだけ離れてみていた聖美(きよみ)は頭の中で「ちょっとえっ……」と、すぐに考えを振り払った。


―――――――――


 一方その頃、五人少女たちは家の中で。


衣玖(いく)「なーんやろ……タイムマシンなんて作っても今更オモロならへんし……」


留音(るね)「せやな。もう何度時間超えたかわからへんもんな」


衣玖(いく)「せやねん、バック・トゥ・ザ・フューチャーは好きなんやけどなぁ……ジゴワットエネルギーも必要ないマシンを3秒で作れてしまう脳がニクイでホンマぁ……」


西香(さいか)「あの」


留音(るね)「なんや西香(さいか)、おったんか」


西香(さいか)「どうしてそんな喋り方をしてるんですの? しかも本場よりもメディアから得た知識で喋ってるという感じのエセ関西弁で」


衣玖(いく)「そらそやろ、今日は通天閣が出来た日やねん。大阪の魂や。そないな事あったら私らかて大阪の喋りなるやろ?」


留音(るね)「ホンマやで。ツーテンカクやからな」


西香(さいか)「……怒られますわよ? あっちの人ってそういうの厳しいらしいですし」


衣玖(いく)「でも通天閣やで」


留音(るね)「せやねん。ホンマめでたいわ~~っ」


西香(さいか)「喋りたいだけですわね」


 というわけで、今日は通天閣の日、バック・トゥ・ザ・フューチャーの全米公開日。

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― 新着の感想 ―
[一言] アンジーって、優しいし、気が利くし、男らしいところもあるし、男の娘でなくても、モテそうな気がします。
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