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静かな波
無機質な雑音の中に浸って
透明は横切ってゆく
カプセルはもう浸透して
冷たい水が揺らぐ足元
煙りは立ち昇る
焦燥は沖に逃げた
とどまる波
息をひそめて
うたない波
光をけずって
さざ波が這う
鮮やかにまとわりつく
魚の群れが廻り続ける
消えた声 聞こえない音 見えないうた
かたちなき水槽は海には続かない
微かな痛みを包み込む
止まった流れを微笑んだ
魚の群れは泡になる
這いずる波が光を放つ
泡がたちまち燃え上がる
焼け付く痛みを雨がしまう
放棄された珊瑚が蘇る
細胞が疼く 痺れる
温かかった
撫でる風は緩かった
刹那に高らかな波飛沫
消えた道に溢れた
さざ波がゆく
そこにしか行けない
さざ波がもどる
繰り返す
光を保って
さざ波がゆく
行く先を知らない
さざ波がもどる
繰り返す
煌めきながら
繰り返す
忘れないように




