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自動販売機
怪しいと決めつけた夜
空がトカゲ色に這ってる
外灯の唇が歪に吠える
虫の声が生け贄の悲鳴
風がゴーストを模った
時間は途惑う
雲はねずみの棲家
思考はゴローンと寝そべる
怠惰なクローンな蛾たち
ストーンなうたが聞こえる
それは華やかなドレスのストレス
それは自由の翼が飛び立つ重さ
そこは限りなく深くさりげなく緋く
計り知れない喜びはそこはかとない和サビ
蜜蜂は麗しき花から賤しきツミを運ぶ
進めと叫び続ける伏目がちな赤信号
時折舞う小雨が水溜りに落ちると
線香花火がパチパチ絵を描いた
ツンとしてる住宅街
近づくと威嚇してヒカル
ガレージにナナメに草臥れた車
ふてぶてしい猫がこっそり羽ばたく
自動販売機が煌々と輝き欠伸する
ファンファンファン
夜の鼓動が粟立つ
ジージージー
千円札を差しこむと碧い舌を出し
ベロリとアタシごと呑み込んだ
あとは硬貨の落ちる音だけが
夜を脈打つ




