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あなたの奏でるため息は
あなたの奏でるため息が胸のずっと奥
僕の知らない壁にぶちあたる
まるで魔球のように
揺さぶられている
深くどこまでも深く熱く
地底から這い上がってきたそれは
まるで不屈の魂
言葉なんていらない
難解な楽譜を自由自在に操る
強く優しく儚く哀しく蝋燭の炎のように
まるで魔女
違う、そうじゃない
技術や才能なんて遠くへ蹴散らした
あなたの奏でるため息は
まるで生きざま
あなただけのたったひとつの心音
おたまじゃくしが五線譜の上に
どれだけ泳いでいたとしても
あなたの人生という譜面に刻まれた軌跡に
敵うわけがないじゃないか
おたまじゃくしはカエルになり
てんでんに田園に帰る
あなたの奏でるため息は
僕の壁を跳ね返り
まるでマジカルキャット
いつの間にか僕の彼方此方を飛び回り
煙のように消えてしまった
残り香をそっと吸い込んだ僕は
ただただ、浅いため息を吐くことしか出来ない
某ピアニストが弾くリスト作曲の「ため息」を初めて聴いてみて書いてみました。




