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瞼
上瞼と下瞼が惹かれ合う頃
僕は最高に軽くなれたから
力なんか消え宝なんか忘れ
手の中からスマホが落ちて
太陽と月のあいだにぶらり
掴まれないありかにすわり
大切だとか必要などおわり
こころ外れて暮れてふわり
当たり前の価値を投げ出し
君想うことさえ追いやって
人間やめますかと窓が問う
やめれませんとドア閉まる
ぐらついてまた目覚めてる
悔しいとオカシイとあくび
ぜんぶの色がなくなるまで
記憶を塗ってく術を壊して
おちたいおちたいおちたい
マリアナ海溝の底つきぬけ
おちたいおちたいおちたい
君の痛みを感じられる魚に
上瞼と下瞼が惹かれ合う頃
重たい想いを流星に預けて
君の星の近くまで運んでく
僕は抜け殻の僕だけになる
睡眠は大事です。




