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毛玉幻獣グリ子さん  作者: ふーろう/風楼
第三章

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旅行に向けて


「それで、最近はどうなんだい? 備えは進んでいるのかい?」


 手洗いうがいを済ませてから淹れた茶を出しながらハクトが問いかけると、グリ子さんのベッドに腰掛け、グリ子さんに抱きついていたユウカが言葉を返す。


「バッチリですよ!

 とりあえず家の倉庫に災害用の物資を溜め込んでるのと、ブキャナンさんのとこにも倉庫建てさせてもらいました。

 そこにもしっかり溜め込んで……あとはキャンプグッズも買いましたよ!

 これでキャンプも楽しめるし、いざという時には使えるしで最高です!」


「……ああ、うん。

 なんか普通に災害の備えみたいなことしているんだね、大僧正の言い方からもう少し派手なことをするのかと思っていたけど……」


「あー……なんか、地下シェルターみたいなのも作ってるらしいですけど、流石に年単位っていうか、幻獣さんの力を借りても簡単にはいかないらしくて、しばらくは待つだけになるみたいです。

 あとは……大結界とかいうのを作るつもりらしいですけど、それも簡単ではなくて、とりあえず私にできることは終わった感じですね」


「……なるほど、やるだけはやっているんだねぇ。

 地下シェルターなんて、一体どこに作ろうとしているのやら……」


「お山の地下らしいですよ、あそこのお山、ブキャナンさんが所有してる土地ってことになってるらしいんで、あそこなら自由に作れるらしーです」


「……な、なるほど」


 と、そう言ってからハクトは、グリ子さん達の分の茶も用意し始め……グリ子さん達にも幻獣用の器に入れた上で出してあげて……それから旅行用にと用意していた、観光用パンフレットをテーブルの上に置き……ユウカに見ていなさいと態度で示した上で、夕食の準備をし始める。


 と、言っても今日はこの人数、今から作っては間に合わないというか、材料も用意してないので出前で済ませることにし……以前出前を頼んだ寿司屋に、おまかせで5人前の注文をする。


 それからリビングへと戻ると、パンフレットを手にしたユウカがグリ子さんに抱きついたままそれを読みふけっていて……ハクトが戻ってきたのを見て声を上げる。


「フェーちゃんに聞いたんですけど、グリ子さんの魔力を高めるために美味しいものを食べに行くんですよね?

 具体的にこれを食べようって案はあるんですか?」


「とりあえず自分で調べた範囲で……お好み焼き、タコ焼き、串カツ、それと天ぷらソバの名店があるらしいのでそこと、ピザの名店もあるらしいからそこも。

 それとタコの名産地があるからそこに行けばタコ料理を思う存分味わえるはずで……そちらもメインになるかな。

 向こうの寿司も食べてみたいし……都の方にいけば、また別格の料理が楽しめるはずだよ」


「……えっと、そうなるとかなり広範囲ですよね?

 1日2日じゃ回れないと思うんですけど……結構日数かける感じですか?」


「そうだね、一週間くらいを予定しているよ。

 それで目をつけたお店全てを回りきれるかは分からないけども……まぁ、ダメなら次回に行けば良いだろうと思っているよ。

 それと今回はレンタカーで行くつもりだから、もし一緒に来るならそのつもりでね」


「……え? レンタカーって誰が運転するんですか? もしかして……?」


 と、ユウカがそう言った所でハクトがポケットから財布を取り出し、財布の中から免許証を取り出してユウカに見せつける。


「い、いつの間に!?」


 それを見てユウカが悲鳴のような声を上げて、ハクトは少しだけ自慢げな顔をし……それから「暇を見つけて少しずつね」と、そんなことを言ってから免許証を財布にしまい、それから口を開く。


「風切君も暇な時間が出来たら取っておくと良い。

 フェー君が成長し、大きくなった際、運転が出来た方が仕事や移動の選択肢が増えるからね……タクシーに頼るのも悪くはないが、いざという時のために、それこそ備えのためにもなるだろう。

 それこそ大災害が起きたとしたらタクシーに頼る訳にはいかないだろうからね」


「あー……そっか。

 そういうスキルもいざという時の備えになるんですねぇ……機械修理とか、そっちの勉強もしとこうかな。

 車の修理とかも出来れば色々便利ですもんね」


 と、そう言ってユウカはそちらの話題に意識を向けかけるが、すぐに手元のパンフレットに意識を戻し……そしてどこに行ってみたいか、どんな名産品を食べたいかと悩み始める。


 そんなパンフレットを覗き込もうとフェーとフォスがユウカの両脇からズイッと顔を押し出していて……グリ子さんも横目でチラチラ覗き込んでいて、一同すっかりとパンフレットに夢中になったのか、静かな時間が訪れる。


 その間、ハクトは静かに茶を飲み続け……そして玄関の呼び鈴が鳴らされたことで静かな時間が終わりとなる。


 ハクトは支払いのために、ユウカは寿司桶の受け取りのために、そしてグリ子さん達は空腹のために玄関に駆けていき……配達員を驚かせながらの受け取りが終わり、5人前の寿司がリビングのテーブルや、ソファ前のミニテーブルへと置かれていく。


 それからグリ子さん達用の大皿が用意され、そこにグリ子さん達が選んだ寿司がとりわけられていって……醤油皿まで用意し、食事の準備が完了となる。


「いただきます」

「いただきます!」

「クッキュン」

「わふー!」

「プッキュン!!」


 それぞれ声を上げて食事を開始させ……食事を進めながら旅行の具体的日程や宿の場所などを話し合っていく。


 既にハクト達だけで決めていた部分もあるので、概ねはその通りにし、出来る限りユウカの希望も取り入れて変更できる部分は変更し……そうして食事と同時に、旅行計画がどんどんと進んでいく。


 ハクトとユウカの意見だけでなく、グリ子さん達の意見もしっかり取り入れて……5人前の寿司をキレイに食べ上げた頃には、旅行計画はしっかりと出来上がっていて、参加した誰もが満足の行く内容となっていた。


「……じゃぁ当日は遅刻しないように」


「はい! しっかり準備しておきます!」


 なんて会話が食事会終了の合図となって……そうしてハクト達はその日に向けて、着替えやら何やらの準備をしっかり整えていくのだった。


お読み頂きありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
ハクトくんの免許証発表の嬉しそうなところ好きです✨お祝いのお寿司おめでとう✨
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