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91 スライムさんと落雷

 なんだか空がゴロゴロいっている、と思ったら、たちまち暗くなってきた。

 私は早足でよろず屋に向かった。


 建物が見えてからは小走りになって、入り口にかけこんでいた。


「いらっしゃいませ、えいむさん! きょうはげんきですね!」

 スライムさんが、ちょっとおどろいたようにカウンターの上にあがった。


「えっと、そうじゃなくて……」


 また上のほうから、ゴロゴロ……、という音が聞こえる。


「うわっ」

「なんですか?」

「空がゴロゴロいってるでしょ?」

「そうですね」

「雷が……」

「えいむさんは、かみなり、にがてですか?」

「うん。スライムさんは平気なの?」

「ぼくはへいきですよ!」


 スライムさんは、ぴょん、ととんだ。


「そうなんだ。すごい」

「ぼくはすごいんです!」

 スライムさんは満足そうにした。


「私はこわいなあ」

「おとがおおきいですからね!

「音もそうだけど、落ちてきたらどうしようって」

「おちる?」

 スライムさんは不思議そうに言った。


「雷が落ちて、家がこわれたり、火事になったりしたらって思うと、不安になるでしょ?」

「かみなりは、おちるんですか?」

「たくさんは落ちないけど、たまに落ちるよ」

「そんなばかな!」

 スライムさんは、目を丸くした。


「そういえば、最近はあんまりないけど、何年か前、この町の木にも落ちたことあったよ。木がまっぷたつになって、火がついたの。雨が降ってたからすぐ消えたけど」


 気づくと、スライムさんが、ふるふるゆれていた。


「スライムさん?」

「ぼ、ぼくにかみなりがおちたら、どうなってしまいますか……?」

「え? それは、どうだろう……」

「かみなりすらいむになって、じゆうじざいに、かみなりをだせるようになりますか……?」


 ずいぶん前向きなことを考えている。


「そうはならないと思うけど」

 私が言ったときだった。


 ピカピカ、と外が光った。

 そしてすぐに、ドーン! と音がして、床がゆれた。


「うわあ!」


 スライムさんがカウンターから落ちた。


「スライムさん!」

 私は倒れているスライムさんを助け起こした。


「えいむさん……、ぼくは、もう、だめです……」

「スライムさん?」

「かみなりに、うたれました……。このおみせは、えいむさんにたくします……」

「スライムさん! スライムさんは、雷にうたれてないよ!」

「がくっ」

「スライムさーん!」


 外が光って、またすぐドーン! という大きな音がして床がゆれた。


「おちました!」

 スライムさんが、ぴょん、ととびあがる。


「近くかなあ」

「どうしてえいむさんはそんなにおちついてるんですか!」

「えっと」

 スライムさんがびっくりしすぎて、自分のおどろきが引っこんでしまった。


「か、かみなりは、どういうところにおちますか!」

「えっと、金属とか?」

「なら、そとに、けんをおきます!」

 スライムさんがバタバタと店内をとびまわる。


「あ、それより、高いところに落ちるって聞いたことある」

「ななな!」

 スライムさんは、用意しようとしていた剣を倒してしまった。


「わ、あぶないよスライムさん」

「このおみせより、たかいものなんて、ここにはありません……」


 スライムさんは、力なく床に倒れた。


 ピカピカ。

 ドーン!


「うわっ!」

 スライムさんは飛び上がった。


「スライムさん、外に木もあるし、家の中にいればきっとだいじょうぶだから」

「そうです!」

 スライムさんは飛び上がった。


「どうしたの?」

「らいじんのけんがあります!」


 スライムさんは奥に行って、ずるずると、剣を引きずりながらもどってきた。

 刃物の部分が、銀色なのに、どことなく金色に見えたりする、不思議なかがやきを持っていた。


「これならきっと、かみなりが、ここにおちます! かみなりのちからがあるからです!」」

「なるほど」

「さあ! いきますよ!」

「ちょっと!」


 スライムさんがドアを押しのけて外に出た。


 パラパラと雨がふりはじめている。


「スライムさん、あぶないよ!」

「いそぎます!」

 スライムさんが、ずりずりと剣を引きずる。


「もう!」


 私は剣を持って走った。


「えいむさん!」

「とりゃあ!」


 走っていって、剣を草原に投げた。


 そしてもどって、よろず屋の入り口で振り返ったとき。


 ピカピカ、ドーン!


「うわああ!」


 ちょうど、雷神の剣に雷が落ちた。

 地面がゆれる。

 目がチカチカする。


「あ」


 もしかして、剣、こわれてしまったのでは。

 そうなったらおしまいだと思ったけど、平気そうだった。


 それだけじゃない。剣のまわりの草原も、こげたり、していない。


「がんじょうな剣なんだね……」

「あんしんです!」

「うひゃあ!」


 また雷が落ちた。

 地面がゆれるのもそうだけど、体にひびいてくる振動みたいなものもあって、びっくりしてしまう。


「じゃあえいむさん、おちゃでものみますか?」

 スライムさんは、にこやかに言った。

「えっ」


 雷が、ドーン!


「ひゃあっ」

「べつのもののほうが、いいですか?」

「スライムさん、雷、平気すぎじゃない?」

「ふっふっふ。ぼくは、すごいですから!」

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