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87 スライム冒険者

「えいむさん、えいむさん」


 よろず屋に入ったら、スライムさんがカウンターの上でぴょんぴょん、はねていた。

 

「けんとたてを、ごよういしました!」

「剣と盾?」

「ぼうけんしゃせっとです!」

 スライムさんは言って、じゃーん、とカウンターの上にかかっていた布をくわえて、引っぱった。

 するとその下にあった、剣と盾が現れた。


「冒険者セット?」

「これがえいむさんにぴったりかとおもいまして!」


 私はカウンターの上にある剣と盾を見た。


「えいむさんは、ぼうけんしゃ、やってみたくないですか?」

「私は、やりたいとは思わないけど……」

「そうですか? ぼくは、えいむさんにかっこよくなってほしいとおもったんですけど!」

「剣とか、あぶないし」

「そうですか……」

 スライムさんは、がっかりしたように下を見た。


 と思ったら。

「ふっふっふ、そういうと、おもっていましたよ」

 スライムさんはなんだか自信ありげに言った。


「えいむさん。そのけんは、あんぜんなんです!」

「安全?」

「きれないようになっています! ですから、たたかいたくないえいむさんでも、ぴったりです!」


 持ってみると、ずしりと重いけど、刃の部分が厚くなっていて、全然切れそうにない。

 それに、長さも私の腕の長さくらいしかないので、先がうっかり誰かにあたってしまう心配もなさそうだった。


「どうですか! あぶなくないけど、かっこいい! さいこうのけんです!」

 私はそのほうがいいけど、ふつうは、危ない剣のほうがかっこいいんじゃないんだろうか。


 と思ったら。

「あれ、これ、薬草?」

「おきづきですか?」

 スライムさんがにやり。


 剣の、つばのところが、薬草が広がったみたいな形になっていた。


「やくそうけんです!」

「へえー」

「それと、たてもあわせてください!」

 言われたとおり、盾も持ってみた。

 これも小さめの盾で、まな板くらいの大きさだ。

 そしてこちらも。


「薬草?」

「そうです!」

 盾全体に、葉っぱのような模様が描かれていた。


「特別な効果があるの?」

「やくそうのかおりがします!」

「香り?」

 においをかいでみたけど、草のようなにおいがするかな……? というくらいだった。


「どうですか!」

「うん、なんだか、冒険者になったみたいだね」

「でしょう!」

 スライムさんが満足そうにした。


「でも、重いね」

 どちらも金属製ということもあってか、手にずっしりとくる。

 盾も、見た目よりはうすくて軽いけど、ずっと持ったまま、剣を振り回したりすると考えると、冒険者というのはなかなか大変そうだ。


「これを持って走ったりするんでしょう? 大変そうだね……」

「そうですか……」

「なんかごめんね」

「いいんですよ! えいむさんにはおせわになってますから!」

「おっと」

 剣と盾をもどそうと思ったら、ちょっとよろけてしまった。


「あぶないっ!」

 転びそうになったところへスライムさんがすべりこんできた。

 待ちかまえるスライムさんの上に、私は座ってしまった。


「あ、ごめんスライムさん!」

 すぐ立ち上がろうとしたけど、スライムさんが止める。

「まってくださいえいむさん!」

「な、なに?」

「こうすれば、いけますよ!」



「うわー、すごーい!」

 私は、ぴょん、ぴょん、ぴょん、と草原を走っていた。


「どうですかえいむさん!」

 私の下でスライムさんが言う。

「これならつかれない!」


 私はスライムさんに乗っていた。

 スライムさんがぴょんぴょん動いてくれる。

 私が体勢を整えようとするよりも、スライムさんに全部任せて、私はただ剣と盾を持って座っているだけでよかった。


「おもしろいけど、スライムさんだいじょうぶ?」

「ぼくもおもしろいです! ゆうしゃえいむさんをのせて、ぼくもつよくなったみたいなきがします! これは、まさに、すらいむぼうけんしゃです!」

 スライムさんはうれしそうに言った。


 私はどちらかというと、スライムナイト、という呼び名のほうがいいと思ったけど、すでに誰かが名乗っているような気もしたので、やめておいた。

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