表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
86/425

86 お手伝いスライムさん

「いらっしゃいませ、えいむさま」


 よろず屋に入ると、スライムさんはいつものようにカウンターの上へ飛び出してくるのではなく、おっとりと迎えてくれた。

 頭にフリルのついたカチューシャをつけている。


「ど、どうしたの、スライムさん」

「ぼくはおてつだいすらいむです」

「お手伝いスライム」

「なんでもごようをどうぞ!」

 スライムさんは、にっこり笑った。


「あ、そう……。どうしようかな」

「なんでもどうぞ!」

「えっと、じゃあ、どうしてお手伝いスライムさんになったのか、教えてもらえる?」

「いいでしょう!」


 スライムさんはぴょん、とはねた。


「あれはですね、きのうのことでした」

「ふんふん」

「ぼくはほんをよんでいました」

「そうなんだ。えらいね」

「そうでしょう! ぼくはすごいすらいむですから!」

 スライムさんは、ぴょん、ととんだ。

 それから、ずれてしまったカチューシャを整える。


「こほん。そのほんに、めいどさんがでていました。めいどさんは、おてつだいを、たくさんしているひとで、すごいとおもったんです」

「ふんふん」

「みならうべき! とおもいました」

「なるほどね」

「はい! なんでもいってください!」


 スライムさんはやる気のある目をしている。

 とてもやる気のある目をしている。


 それはいいんだけど、問題もある。

 私はご主人さまになった経験がないのだ。


「じゃあ……」

「はい!」

「お店のそうじでもしてもらおうかなあ……」

「わかりました!」


 スライムさんは、ほうきを持ってきた。

「このおみせは、ほこりがたまっているので、きれいにします!」

「がんばって」

「はい!」


 スライムさんは、なんとかほうきを抱えるようにすると、そうじを始めた。


「どう? スライムさん」

「ぼくは、おてつだいすらいむです」

「どう? お手伝いスライムさん」

「ぼくは、こんなの、よゆうの、すらいむですね!」


 スライムさんは、たどたどしくほうきを使っていた。


「スライムさん、手伝おうか?」

「なにをおっしゃるえいむさん。ぼくをだれだか、わすれましたか?」

「お手伝いスライムさん」

「そのとおりです! ぼくは、てつだうことはあっても、てつだわれることなんてありません! それが……?」


 スライムさんが、なにかを求めるように私を見る。


「お手伝いスライムさん?」

「もっとげんきに!」

「お手伝いスライムさん!」

「もっと大きな声で!」

「お手伝いスライムさん!!」

「そのとおり!」


 スライムさんは、満足そうにした。


 それから、たどたどしく、ほうきを使う。


「……お手伝いスライムさん」

「なんですか?」

「そのカチューシャ、もう一個ある?」

「ありますよ!」


 スライムさんは、奥に行った。

 もどってきた。

 頭にのってるカチューシャの数が増えていた。


 私は一個もらって頭につける。


「どう?」

「ぴったりです! いいです!」

「じゃ、ほうきは私がやるね」

 私はスライムさんからほうきを受け取った。


「だめですよえいむさん! ぼくがだれだかわすれたんですか!」

「お手伝いスライムさん!」

「そうですよ! これはぼくのしごとです!」

「じゃあ、私は誰だと思う?」

「? えいむさんです」

「ちっちっちっ」


 私は、人さし指を振った。


「私は、お手伝いエイムさんです」

「!」

「だから、お手伝いスライムさんのお手伝いをしても、おかしくないのです!」

「!!」

「手伝ってもいい?」

「いいです! いっしょにやりましょう!」


 スライムさんは、ぴょん、ととんだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ