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67 スライムさんがまだ黄色

「スライムさん、それ、どうするの?」

 しばらくたっても、スライムさんの体はまだ黄色いままだった。


 スライムさんの場合、青に緑を混ぜたら黄色になる。

 ということは、黄色になにを混ぜたら青になるんだろう。

 ふつうだったら黄色になにを混ぜても青にはならないと思うけど、スライムさんの法則にしたがうと……。


 スライムさんは、カウンターの上に飛び乗った。

「ぼくはきいろくなっても、ぼくです!」

 びしっ!

 ポーズを決めていた。


「それはそうかもしれないけど、青いほうが、スライムさんっぽいかなって」

「えいむさん。ぼくっぽいってなんですか? ぼくっぽさをきめるのは、ぼくじしんです!」

「なんの話?」

「ということで、ちょっとまっててください」


 奥に行ったスライムさんは、いろいろなものを引きずってもどってきた。

 フライパンと、それを置く台のようなもの。

 フライパンの上には卵が三つ。


「これは?」

「おむれつを、つくります」

「オムレツ?」

「しりませんか? たまごをやきながら、こう、くるりと、まるっこく、しあげていく、あのりょうりを」

「それは知ってるけど」

「では、おねがいします!」


 私はスライムさんに言われたとおり、卵をかきまぜて、そこに塩をふった。

 スライムさんの用意してきた台は、そこに熱を生み出す魔法石が埋めこんであるということで、フライパンが熱々になっていく。

「では、たまごを!」

「はい」


 卵を流し入れると、木べらをくわえて持ったスライムさんは、すごい勢いで卵をかきまぜはじめた。

 くるくるくるくる、と混ぜていく。

 中のほうを混ぜて、フライパンの端で焼けていく卵を、内側にかき集める。

 まだ生の卵が外側に流れていくと、またそれを集める。

 そうしてたちまち、全体的に卵に火が通っていく。


「いまです!」

 私がフライパンを持つと、スライムさんが、手前から奥にかけて、すいー、と卵をかぶせるようにした。

 それから、奥の部分をちょっと手前に返して、半熟卵が、外の焼けた卵にフタをされた。


「えいむさん、ひっくりかえしてください!」

「私が?」

「そうです!」

「やったことないよ!」

「できます!」


 せーの、で合わせて、私がフライパンを上げるのと、スライムさんが木べらを動かすのを同時に。

 すると、ぱたん、と卵がひっくり返った。

「やりましたね!」

「う、うん」

 あぶなかった。


 スライムさんはちょっと火を通すと、もう一回ひっくり返した。

 最初は口がちょっと開いていた部分が、火を通すことでしっかりと閉じていた。

 皿に移すと、黄色い、丸っこい、きれいなオムレツができあがった。


「できました!」

「そうだね。スライムさん、オムレツ作るのうまいんだね」

「はじめてです!」

「ええ!?」

「いまのぼくは、きいろですから! かんぜんに!」

 スライムさんは堂々と言った。


 黄色だったらなんなの? と言える雰囲気ではなかった。


「食べてください!」

「う、うん」

 スプーンで口に入れる。


「わあ」

 ふんわりしていて、中はとろりとしている。

 とてもいい食感だ。

「おいしい!」

「それはよかったです」


 スライムさんを見ると、スライムさんが青色にもどっていた。

「スライムさん、体が青いよ」

「ほんとうですね!」

「どういうことだろう」

 見ると、床がちょっとぬれている。

 スライムさんはさっきの、緑色の薬湯から出てきたところのようだった。


「あ」

 緑に青を混ぜると黄色。

 ふつうは青に黄色を混ぜると緑だから、入れ替わってるんだろう。

 だから、黄色に緑を混ぜたら、青にもどった。

 ……わかるような、わからないような。


「どうかしましたか?」

「ううん、なんでもない」

 私はまたオムレツを食べた。

 おいしい。

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