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66 スライムさんと薬湯

 よろず屋に入ると、スライムさんはもうカウンターの上にいた。

「いらっしゃいませ!」

「こんにちはー」


 コホコホ、とちょっとセキをしたら、スライムさんがふしぎそうに私を見た。

「どうしましたか?」

「うん、ちょっと昨日の夜からセキが」

「それはいけませんね!」

「でもちょっとだから」

「そのちょっとが、そこそこになり、いっぱいになるかもしれません! いけませんよ!」

 スライムさんがぴょんぴょんしながら言う。


「ちょうどいいものがあります!」

「なに?」

「これです!」


 スライムさんがカウンターの上に出してきたのは、薬草だった。

「薬草?」

「はい!」

「食べるの?」

「ちがいます! これは、おゆにいれるのです!」


 スライムさんによると、これをお湯に入れて、その中でゆったりあたたまると、薬草の成分が体にじわじわとしみていき、ちょっとしたカゼなんてすぐに治ってしまうらしい。


「お湯の中に入るの? ちょっと手間がかかるね」

「あしだけでもいいですよ!」

「足だけで?」


 たらいを用意してくれたスライムさん。

 わかしたお湯を用意して、そこに入れる。

 ちょっと熱すぎたので、外の水をやかんに入れてきて、ちょっとずつお湯の温度を下げた。

 手で確認する。

「ちょうど、あったかいよ」

「いいですね!」


 スライムさんは、カウンターの上に置いてあった薬草を、たらいの中に入れた。

「あ」

 葉っぱがほどけるように、お湯の中をただよいはじめた。

 すこしずつ、薬草からしみ出た色で、お湯が緑色になっていく。


「おおー」

「どうですか」

「なんだか、ちょっと、とろっとしてるね」

 お湯をさわってみると、ぬるっとするというほどではないけれども、手にまとわりつくような感触があった。


「それが、れいのあれです!」

「例のあれ」

「はいってみてください!」


 私はスライムさんが持ってきてくれた椅子に座り、素足をたらいの中に入れた。

「おおー」

「どうですか」

「あったかいよ。足だけでも」

「そうですか!」


 あったかいのは足だけなのに、みるみる全身があったまっていくのを感じる。

「ぽかぽかしてきた」

「いいですねいいですね!」

「もうちょっと入ってていい?」

「いいですよ! そうだ、ぼくもはいっていいですか!」

「え?」

 やめたほうが、と言おうとしたら、もうスライムさんは、ちゃぷん、と中に入っていた。


「おお、あったかい!」

「スライムさんは入らないほうがいいんじゃ」

「どうしてですか! ひとりじめですか!」

「そうじゃなくて、スライムさんは水分を吸っちゃうから、薬草の色が移ったりするかも」

「なるほど!」

 スライムさんはたらいから出た。


「あ、色、変わってるね」

 スライムさんは、いつもの透きとおった青でなく、黄色になっていた。


「あおに、みどりをまぜると、きいろになるんですよ!」

「そうなんだね。……そうだっけ?」

「でもそのうちもどりますから、きにしなくてもだいじょうぶです!」

「そっか、よかった。で、青に緑をまぜると」

「それよりえいむさん! もうすっかりげんきですか!」

「うん。セキも出なくなった気がする」

「よかったですね!」

「それはいいんだけど、青に黄色をまぜたら緑じゃなかったっけ?」

「いやあよかったですねえ!」


 スライムさんは、ちょっと大きくなった黄色い体をぷよぷよと、うなずくように動かした。

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