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420 スライムさんと犯行予告

 私がお店にもどると、スライムさんが沈んだ顔をしていた。


「あれ? どうかしたの?」

 私は裏庭から持ってきた薬草をカウンターに置いた。



  きょう もうすぐ やくそうが へる



「こんなかみが、おいてあったんです!」

「これはいったい……」

 私は考えた。


「もうすぐ薬草が減るっていうことを、知らせている……」

「どういうことでしょう!?」

「減るっていうのは、薬草がひとりでに減るわけがない、ということは……」

「ことは?」

「これは、犯行予告かもしれない」

「ええっ!?」

 スライムさんが、ひかえめに、ぴょん、ととんだ。


「誰かが減らすっていうことは、盗まれるっていうことかも」

「まさか……!?」

「これはいつごろ見つけたの?」

「えいむさんに、うらにわにやくそうを、ちょっととりにいってもらってる、ときです!」

「つまり、たったいまだね」

「はい!」

「ということは、犯人は、すぐ近くにいるかもしれない」

 私は言った。


「たしかに!」

 スライムさんはきょろきょろとまわりを見る。


「えいむさん! どうしましょう!」

「ふふ。私には、すでに考えがあるよ」

「どんなかんがえですか!?」

「ここに、二人で一緒にいればいい、ってね」

「!?」

「私たちがここにいたら、薬草は盗めないよ!」

「なるほど!」

 スライムさんは、ぴょん、ととんだ。


「……でも、ごうとうだったら、どうしますか?」

 スライムさんは言う。


「それは、たしかに危ないね」

「はい!」

「もし強盗だったら、薬草をおいて逃げよう。薬草しか盗る気がなさそうだし、けがをするくらいだったらそのほうがいいよね?」

「はい!」

「スライムさんには悪いけど」

「いいです! やくそうより、からだのほうが、だいじです!」

「うん」

「あ、でも……。まちの、けいびいんさんに、しらせたほうが、いいですかね?」

 スライムさんは言った。


「うーん……。それはやめておこう」

 私は言った。

「どうしてですか?」

「犯人を、刺激してしまうかもしれない」

「なるほど! なるほど? しげきしちゃ、いけないんですか?」

「犯人が、暴れたら、危険だから」

「なるほど! ……でも、それならどうして、よこくじょうを、だしたんでしょうね?」

「ん?」

「よこくしたら、たいさく、されますよね?」

 スライムさんは不思議そうにした。


 どうやら、私は観念するしかなさそうだった。


「えっと……、それは……」

「えいむさん?」

「……白状します。私が犯人です」

「えっ!?」

 スライムさんが、ぴょん、ととんだ。


「えいむさんは、せかいを、またにかける、だいかいとう、えいむだった!?」

「実はちがうんだよ……。二人で、犯人を警戒しながら、薬草を食べようと思ったんだ」

「??」

「それで、薬草が減っちゃったね……。はっはっは! 実は、私が犯人だったのだ! ってやりたかったんだ」

「なんと!」

「でも、スライムさんが、強盗とか、警備の人を呼ぶとか、いろいろ考えたから、これ以上黙っているのはよくないんじゃないかと思って……」

「そうだったんですか……」


 スライムさんは、微笑んだ。

「よく、いえましたね」

「スライムさん?」

「えいむさんは、たいへんな、はんざいしゃでした。でも、じぶんの、おこないが、わるいと、わかったんですね?」

「スライムさん……、私……」

「いいんですよえいむさん。これから、つみを、つぐなっていきましょう」

「わかった……」

「じゃあ、てはじめに、うらにわから、やくそうを、ついかでもってきてもらえますか?」

「それで許してくれるの?」

「はい! もちろんです!」

 スライムさんは、ぴょん、ととんだ。


「わかった、ありがとう! すぐ行ってくるね!」

「いってらっしゃい!」

 私は歩いていって、出入り口で振り返った。


「……ふっふっふ」

「えいむさん?」

「怪盗エイムが、本当に、素直に薬草を持ってくるかな?」

「な、なんだって!?」

「ふっ、それではさらばだ、スライム君!」

 私が走り出すとスライムさんが追いかけてきた。

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