417 スライムさんと薬草とお金
「おかねって、なんですかね?」
お店のカウンターで薬草を食べていたとき、スライムさんが急に言った。
「お金は……。薬草を、買ったりする……。ものと交換するものかな……?」
私は知恵をふりしぼった。
「なるほど! かんぜんにわかりました!」
「よかった。役に立てたみたいだね」
「はい!」
スライムさんは薬草を食べ、私も食べた。
「おかねって、なんですかね?」
スライムさんがまた言った。
「なんか聞いたことある話だね?」
「くりかえしています! そう、くりかえしています!」
「クリカエシムさんになっちゃった!?」
「えいむさん。きいたことがあるはなしか、どうかなんて、ちいさなことです!」
「なんか、聞いたことある話をするかどうかという話もしたことがあるような気がする」
「えいむさん?」
「なんでもない」
私は顔を、ぱん、と軽くたたいた。
「えっと、それでなんだっけ?」
「おかねって、なんか、へんですよね?」
「そう?」
「どうして、おかねばっかり、おかねなんですか!」
スライムさんは続けて、ぷんぷん、と言った。
「どういうこと?」
「やくそうで、おかねをかってもいいですよね!」
私は考えた。
「たしかに」
お金で薬草を買うというのは、ある意味、薬草でお金を買ってるともいえる。
「じゃあ、薬草で剣を買ったりしてもいいってことなのかな?」
「えいむさん!? ぼくはそこまでいってません!」
「いきすぎた?」
「いきすぎてません! やくそうが、おかねにかつしゅんかんが、きました!」
スライムさんは、ぴょん、ととんだ。
「やくそうで、いろんなものを、かえるじだいが、いま、きました!」
スライムさんは、きりっ、とした。
「たしかに、お金よりも、薬草のほうが、食べられるし、便利だよね」
「はい! かんぜんに、かってます!」
「薬草を持ち歩いて買い物する時代が、すぐそこまで来てたんだね」
「はい!」
「じゃあ、次からは薬草で買い物してもいい?」
「はい!」
「あ、でも……。ここで、食べさせてもらってる薬草はどう考えたらいいんだろう」
「これは、さーびすです!」
「じゃあ、サービスでお金をもらってるっていうことになる?」
「はっ」
スライムさんは、はっとした。
「それは、あんまりよくないかもしれませんね……」
「そうだよね。なんか、悪だくみしてるみたいだよね」
「はい。へへへ、えいむさん、ひとつこれでよろしく……」
「お、スライムさん、いつも悪いねえ、へへへ」
「ぐへへ」
「ぐへへ」
帰り道、はっとした。
高い品物を買うときにたくさんの薬草を持ち歩くのは不便だし、時間が経ったら薬草が薬草だったものになってしまう。
私は急いでお店にもどって、スライムさんに報告した。




