412 スライムさんと干しいも
「こんにちは」
「いらっしゃいませ!」
スライムさんが、カウンターにぴょん、と乗った。
「今日も買い物に来たんだけど、なんだと思う?」
「やくそう、ですかね?」
スライムさんの目がキラリと光った。
「実は今日は、お母さんに、あったら買ってきてって言われたんだけど、干しいもってある?」
私が言うと、スライムさんはちょっと、迷うようにしていた。
「スライムさん、どうかした?」
「ほしいもん、ですか?」
「うん」
「ちょっと、おもいつかないですけど……。あえていうなら、やくそうですかね?」
「薬草?」
干しいもが薬草?
「それは、そういう薬草ってこと?」
「そういうやくそう? ふつうのやくそうです!」
「ふつうの薬草が干しいも?」
「はい!」
スライムさんは言った。
薬草ってそういうものだったの?
「えいむさんのほしいもんは、なんですか?」
「私の干しいも?」
「はい! おかあさんのは、わかったので!」
お母さんのはわかったので?
「干しいもは干しいもでしょ?」
「はいそうです! えいむさんの、です!」
「ええ? それは、ひとつじゃない?」
「なんですか?」
言われてみると、干しいもは、いろいろないもを使った干しいもがあるのかもしれない。
「さつまいも」
「さつまいもですか!? えいむさんも、なかなか、しぶいですね!」
「そう? ふつうじゃない?」
「そんなことないですよ! だいたいのひとは、もっと、おかねがたくさんとか、いいます!」
「お金がたくさん?」
お金をかけてつくられた干しいもということだろうか。
「せかいいち、とか!」
「世界一? 私はそんなにじゃなくていいよ。この町でそれなりで」
「さすがえいむさん! ちに、あしが、ついてます!」
「スライムさんは? 薬草の干しいもっていうのは、めずらしいんじゃない?」
「やくそうのほしいもんですか? ほしいもんがやくそうですよね? それじゃ、やくそうが、ほしがってるみたいですよ!」
スライムさんが笑う。
「薬草がほしがってる? それなら、薬草が干されたがってる、じゃない?」
「??」
「??」
私たちは、不思議そうにおたがいを見た。
「えっと……。じゃあ、薬草の干しいも見てみてもいい?」
「はい!」
スライムさんは、カウンターから薬草を出した。
「どうぞ!」
「うん?」
いつもの薬草と変わらないように見える。
「いつものと同じ?」
「はい!」
「これって干しいもだったの?」
「はい! ぼくの、ほしいもんです! にちじょうが、いちばんです!」
「そうなんだ。知らなかった」
「いつもたべてるじゃないですか!」
もう、えいむさんったら、とスライムさんは笑った。
「いつも食べてても気づかなかった。
「ほしいものは、すぐちかくにあっても、きづかないもの、なのですねえ……」
スライムさんは遠くを見た。
「じゃあ、これ買う」
「まいど、ありがとうございます!」
「これが、いもだったなんてねえ」
「いも?」
「うん」
「?」
「?」
私たちはそれから、裏庭に追加の薬草を取りに行って、いもの話をして、やっとかんちがいに気づいて笑った。




