409 スライムさんと連立
「えいむさん、ちょっと、れんりつしてもらっていいですか?」
「いいよ」
私はスライムさんと一緒に、裏庭に向かった。
薬草をとっていたら、気づけば10個ほどになっていて、手で持つにはちょっと多い。
「ちょっとバケツがほしいかな。連立してもらっていい?」
「いいですよ!」
スライムさんは、お店の裏に向かうと、バケツをかぶってもどってきた。
前が見えていないようで、ちょっとずれた方向に行っている。
「スライムさん!」
バケツイムさんが、ぴくり、と止まって、こちらに向かってくる。
「おまたせしました!」
「ありがとう」
私は受け取ったバケツに薬草を入れる。
薬草の土を落として軽く洗って、お店の裏に干しておいた。
「えいむさん、きょうは、なにもかわないようですけど」
「うん。ちょっと遊びに来たようなものだから。だめだった?」
私の言葉に、スライムさんがぷるぷるふるえた。
「とんでもない! どんどんきてください!」
「ありがとう」
「ぼくのほうこそ、れんりつさせてしまって、すいません!」
「それはいいよ。薬草の試食してるし」
「とれたて、たべますか?」
「いいね」
私たちは、まだ水がしたたっている薬草を食べた。
ちょっと香りが薄まっているようにも感じられるけれど、それでも味がしっかりと感じられるような、そんな気もする。
「連立したあとに食べるのも気持ちいいね」
「はい! でも……」
スライムさんが口ごもっている。
「どうかした?」
「さいきんは、よく、れんりつしてもらってますよね……」
「それがどうかしたの?」
「れんりつしてもらうのは、らくですけど、れんりつしてもらえなくなったときのことをかんがえると、ちょっと……」
「うん? ああ、たしかに」
連立してもらうのが、あたりまえになってしまうと、連立をしてもらえていないときが、より、損をしたような気になってしまうかもしれない。
「でも、そんなことを考えて連立しないより、連立したほうがいいような気もするな」
「どうしてですか?」
「だって、私とスライムさんはずっと連立してるかもしれないでしょ?」
「!」
「そりゃあ、たまに連立しなくなるときもあるかもしれないけど、また連立が復活するかもしれないし。だから、連立したいと思ってるなら、連立したらいいんじゃないかなあ?」
「そうですね! じゃあ、れんりつします!」
「もうしてるよ!」
私たちは笑いながら薬草を食べた。




