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406 スライムさんと国勢調査

「こんにちは」

「あ、えいむさん! いいところへ!」

 カウンターの上にいたスライムさんが、ぴょん、と小さくとんだ。


「どうしたの?」

「じを、かいてほしいんです!」

「字?」


「これです」

 私はカウンターの上にある紙を見た。


 いろいろな項目が書いてあり、それに、こたえを書きこむようになっているようだった。


「まちから、かいてください、といわれました! これに、きにゅうして、かえすことになってます!」

「なるほどね」

「ぼくは、じが、かきにくいので、おねがいできますか?」

「任せな」

 私は親指を立てて返事をした。


「いかしてますね! えいむさん!」

「ふふ。さてと」

 私は、最初の項目を見た。


 貯金額はいくらですか?


「……え?」

 私は思わず言っていた。


「こういうことってきかれるの?」

「ぼくも、はじめてなので!」

「そっか」

 まあ、そういうこともあるのかもしれない。


「いくらって書いておく?」

「うーん。たくさん、でいいとおもいます!」

 スライムさんは、ふくらんだ。


「たくさん」

 だめだと思うが、とりあえず書いて先に進む。


 貴金属は現金など貴重品は、家のどこにありますか?


「うん?」

「そこは、おみせのおくの、たなにあるとかいてください!」

「うん。うん?」

 私はとりあえず、棚、とだけ書いた。

 次は……。


 戸締まりで鍵をかけるのを忘れがちな場所はどこですか?


「……」

「そこは、だいたいぜんぶ、です!」

「だいたい全部」

 私は、ほぼなし、と書いた。


 家に魔道具警備機能はありますか? どれくらいのひんどで使っていますか?


「つかおうとしてますけど、ちゃんとやってません! とかいてください」

「わかった」

 使っている、常に起動している、と書いた。


 外出、家をあける時間はいつ頃か教えて下さい。


「それはですね、だいたいおみせにいます!」

「わかった」

 常に店にいる。


 犬などペットを飼っていますか? 飼っているなら、大きさ、性格、特徴を詳しく書いてください。


「かってません!」

 凶暴な番犬を飼っている、と書いた。


「ねえスライムさん」

「なんですか?」

「これ、私が出してこようか?」

「ええ? そんなの、わるいですよ!」

「いいよ。どこに出してくるの?」

「ええとですね……」


 スライムさんは、地図の書いてある紙をくれた。

 私はそれを持って、いったん家に帰った。母に説明をすると、納得してくれ、一緒に町の役所に行った。

 そこで話をすると、こういったものは配っていないという話だった。

 私はスライムさんから預かった紙をわたした。



 それから数日して、泥棒に入るための情報を集めている人が捕まったらしい、という話を母がしていた。私はちょっとうれしくなったけど、どうやら、同じようにおかしいと感じる人が多かったらしい。

 たくさん報告があったので捕まえることができたと聞いて、私はちょっとうれしくなった。

「そうだ」

 スライムさんに言わないと。

 私は急いで家を出た。


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