表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
398/425

398 スライムさんとドミノ

 お店でふと、スライムさんの体が箱に当たった。

 箱は細長くて紙製だったので、倒れてしまう。運悪く、ならべて置いてあったとなりの箱にぶつかってしまって、どちらも倒れた。


「あー」

 スライムさんが残念そうにしていたので、私は立て直した。


「あ! ありがとうございます!」

「いえいえ」


 そうしてしばらくして。


「あっ」

 今度は、私が、ちょっと足をふみだしたときに箱を倒してしまった。

 運悪くぶつかりあって、どちらも倒れてしまう。

 私はすぐ立て直したけれど……。


「ごめんね」

「いいですよ! これは、はなのにせものをいれるはこですから、もう、つかいません!」

 花の偽物。


「どうかしましたか? えいむさん」

「あ、ううん。そうだ、スライムさん、いらない紙の箱のふたって、ある?」

「ありますよ?」


 スライムさんは、箱のふたをのせて台車を押してきた。

 十枚くらい積んでいる。私の顔より大きなものばかりだ。


「ありがとう」

「どうするんですか?」

「ならべてみる」


  私は、中でも四角いふたを選んでならべてみた。

 五枚ならべたところで、箱が倒れてしまう。となりにぶつかると、連鎖して、みんな倒れてしまった。


「あー。ざんねんでしたね、えいむさん」

「残念だけど、残念じゃないかもしれない」

「どういうことですか?」

「いま、順番に倒れたの、おもしろくなかった?」

 私が言うと、スライムさんが、ひかえめに笑った。


「じつは、おもしろかったです」

「私がうっかり倒しちゃった残念よりも?」

「へへへ」

 スライムさんは、てれたように笑っている。


「だよね!」

「!?」

「実は、倒すためにならべてたんだ。本当は、もうちょっとならべてから倒したかったんだけど」

「!? !!」

 スライムさんは、私を見た。


「たのしそうです!」

「ね」


 私は、またふたをならべていった。

「とおくまで、ならべるんですか?」

 スライムさんが、察して言う。


「うん」

 ふたとふたの間をあけて、ならべていく。


 四角いふた、七枚がならんだ。

「やったね」

「はい!」

「じゃあ、一緒に倒してみようか」

「はい!」

 私は、指先とスライムさんの体が同時になるように調節して、押した。


 ぱたぱたぱた、と倒れていって……。

「あっ」

 止まってしまった。

 届かなかったのだ。


「間があきすぎだったかもね」

「かもしれません!」

「気をつけないと」

 と言ったとき。


 ふら、と動いた最後のふたが、倒れた。

 私はスライムさんと顔を見合わせる。


「風かな?」

 最後にふたが倒れたときの風が、最後のふたに届いたのかもしれない。

「ですね!」

「と、いうことは、もっと広くできるかもしれない……」

「! はい!」

「この遊び、もしかして、できるだけ間を広くできたら勝ち、という遊びかもしれないね」

「! えいむさん! みちびき、だしましたね!」

 私はスライムさんと確認した。


「これがこの遊びの、真の姿だね」

「はい!」

「もしかして、名前があるのかな?」

「うーん……。はっ」

 スライムさんが、はっとした。


「どうかした?」

「これ、なまえを、きいたことがあるきがします!」

「ええ!?」

「おうとから、きた、しょうにんが、いってました!」

「王都。すごいものがたくさんありそうだ……」

「はい! たしか……。じぇんがです!」

「ジェンガ?」

「はい! じぇんがです!」

「そっか。じゃあ、今日はジェンガで遊ぼうね!」

「はい!」


 私たちは、ふたの間がどれくらいがいいか、真剣に議論した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ