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389 スライムさんと古古古薬草


 たまには、と透き通った薬草を食べていたときのことだった。

「ふつうのやくそうも、ちがったやくそうが、あるんですよ……」

 スライムさんが意味深なことを言って、お店の奥に消えた。

 出てきた。


 頭にはお皿と、薬草、と思われる草がのっている。

 なんだか平べったいけれど。


「なにこれ?」

「これは、こやくそうです」

 スライムさんは言った。

「古薬草?」

「いちねんまえの、やくそうです!」

「へえ!」


 ぺらぺらとして、ただでさえ平べったい薬草が、さらにうすく感じる。

「持ってみてもいい?」

「はい!」

 草の根本をつまんでみると、押し花のような、枯れ葉のような。


「これって、どう作ってるの?」

「いちまいずつ、ていねいにあらって、かわかして、おもしで、つぶします!」

「だから、ぺたっ、としてるんだね」

 押し花のようだと思ったのは、実際に、そのような力が加わっているから、らしい。


「これは飾るの?」

「たべられます!」

「一年前でしょ?」

「ふふ。じょうずに、つくられた、こやくそうは、そんなもんじゃないですよ!」

 スライムさんは、奥から別の薬草を出してきた。


「これは?」

「ここやくそうです!」

「古古薬草!」

「にねんまえの、やくそうです!」

「へえ!」

「じつは、こここやくそうもあります!」

「ええ!?」

「たべてみますか?」

「うーん……。いいの?」

「はい!」


 スライムさんは、奥から、古古古薬草を持ってきてくれた。


 私はつまんでみる。さっきの薬草とそんなに変わらないような。

 おそるおそる、はしっこを口に入れてみた。


「ん?」

 最初は枯れ草が口に入ったような違和感がある。

 でも、だんだん口の中の水分で食感が変わってくる。

 元通り、とはいかないけれど、薬草っぽい味になった。


「薬草だ」

「はい!」

「おもしろいね」

「はい!」

「これって、いつまでも食べられるのかな?」

 だとすると、食べ物がなくなったときにも、とりあえず食べることができるけれど。


「こここやくそうまでは、へいきってききましたよ」

「もっと古い薬草は?」

「うーん。どうぶつの、えさになるって、ききましたけどねえ」

「動物のえさ?」

「はい。らいねんには、どうぶつの、えさになるそうです」

「ふうん……。まあ、来年えさになるなら、いまは全然平気だよね」

「はい!」

 来年食べられなくなるというのなら、いまは食べられるという意味だ。


「それに、たべようとおもえば、たべられるそうです!」

「そうだよね」

 急にだめになるというのも変な話だ。


 と思ったけれど、くさりかけだとへいきだけれど、急にだめになる場合もあるか。

 ううむ。


 ううむ?

「えいむさん、どうかしましたか?」

「もしかしてスライムさん、古古古古薬草とか、持ってるでしょ」

「ど、どうしてですか!?」

「1年前に買ってそのままとか……。スライムさん?」

「なんですか?」

「古古古古古古、どころじゃないのも、あるとか?」

「ぎくり」

「整理整頓が必要かもしれないね」

「きょうのところは、しんやくそうを、たべましょう!」

 スライムさんが出してくれた、新鮮な、いつもよりもフルーツのような香りのする薬草を食べた。


「おいしいね」

「はい!」

「古古古古古古古古古古古古薬草の整理もしようね」

「そこまでふるいのは、ない………………です!」

 スライムさんが、たっぷりためらいながら言った。

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