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379 スライムさんとタバコ

「こんにちは」

「ふんふんふーん」

 カウンターの横から、ごきげんスライムさんが現れた。


 スライムさんがくわえている小枝のようなものから、なにか出ている。

「煙?」

 白い筋がゆれながら上がっていた。

「のようなもの、です!」

 スライムさんは、にやりとした。


「のようなもの?」

 私は、顔を近づけてにおいをかいでみた。


「あまいにおいがする」

「はい!」

「リンゴ?」

「! やりますね」

 スライムさんが、にやりとした。


「リンゴの香りがする、小枝?」

「はい! こえだを、かべでこすったら、なにかでてきました!」

「煙みたいな?」

「はい!」

「……小枝は、まだある?」


 私たちは、お店の裏に向かった。

 水場の近くに、細い枝が10本くらい落ちていた。


「これ?」

「はい! きのうの、つよいかぜで、ころがってきたみたいです!」

「ふうん。どうしてこすってみたの?」

「はしっこが、ちょっと、よごれてたので!」

 見ると、転がってきたせいなのか、土や、ほこり? がついているものも多い。


 私は、スライムさんに言われたとおり、お店の壁で枝の先をこすってみた。

 すると、煙のようなものが上がり始めた。

「これ?」

「そうです!」

 スライムさんは枝をくわえながら言った。


 私も、ちょっと端を水で洗い流してから、くわえてみる。

「リンゴだ」

 リンゴのあまい香りだけでなく、甘酸っぱい味もちょっとする。


「でしょう!」

「あまいね」

「あまい!?」

「味は、しない?」

「しませんね」

 私は枝をくわえたまま、スライムさんの枝の端をちょっと水で洗って、スライムさんの口にもどした。


「どう?」

「あまいです!」

 スライムさんがぴょん、ととぼうとしたので、私は急いでおさえた。


「枝をくわえたままとんだら、あぶないよ!」

「! ありがとうございます!」

「いえいえ」

 ふふふ、と私たちは笑った。


「これが、たばこ、ですね」

 スライムさんは言った。

「タバコ……?」

「えいむさん、しってますか?」

「うん。煙が出て、においがして……。うちで吸ってる人はいないけど、あんまり好きじゃないかな」

「どうしてですか?」

「けむいし……」

「なるほど。でも、これはどうですか?」

 スライムさんは、枝をピコピコゆらした。


「……煙が出て、においがする」

「はい!」

「なるほど。タバコも、いろいろな種類があるってことだね!」

「そうです!」

「物事の、一面だけを見て、全部を知った気になったらいけないってことだ!」

「そうです!」

 私たちは、深い世界を感じながら、リンゴタバコを吸った。

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