374 スライムさんと備蓄薬草
「ぼくは、びちくやくそうを、ほうしゅつします!」
スライムさんは、お店の前で、台に乗って宣言した。
「おー。ぱちぱちぱち」
「どうもどうも」
「それで、放出って?」
「はい」
スライムさんは台から降りた。
「やくそうが、すくないという、うわさがあるんです」
「そうなの?」
「はい。すでに、おおきなまちでは、しなうすで、かかくがじょうしょうしている、といううわさです!」
「そうなんだ。いつから?」
「え……? ……?」
スライムさんは、ぽかんとした。
「そのうわさって、誰にきいたの?」
「だれというか……。あえていうなら、ぼくの、こころのこえです!」
「なるほどね」
謎はすべて解けた。
「私は、備蓄薬草に関して、重要なことに気づいたよ」
「えいむさんも!?」
「うん」
「なんですか……ごくり」
「薬草は……、品薄になってない!」
「!? なんだってー!?」
スライムさんは、目を見開いた。
「えいむさん、どういうことですか……!?」
「ふふ。鍵になったのは、スライムくんの話だよ」
「ぼくの!?」
「そう。スライムくんの心の声。薬草の品薄が、スライムくんの、心の声でしかないとすると……。つまりそれは、スライムくんの、想像でしかない!」
「!?」
「実際に聞こえてきた声ではないのだ!」
「!!」
スライムさんは、ふくらんで、しぼんだ。
「しなうすは、ぼくの、そうぞう……?」
「うん」
「じゃあ、ぼくが、ひとりで、さわいでいただけ……?」
「スライムくん」
私はスライムさんの頭をなでた。
「君が悪いんじゃない。誰もが、想像はする。それはすばらしいものだ」
「えいむさん」
「うっかり、誰かから聞いたように話したのが失敗だっただけだよ」
「えいむさん……。ぼくは、もう」
「スライムくん。話すのをやめる、というのはだめだ」
「!?」
「失敗というのはね。挑戦した人しか、しないものだ。失敗をしない人は、なにもしない人さ」
「えいむさん」
「挑戦をやめない。そう。備蓄薬草の開放も、やってみよう!」
「えいむさん!」
「もし、備蓄薬草の開放もやらなければならなくなったら、練習になるんだよ。そう、失敗なんて、ないんだ!」
「はい!」
私たちは、お店の裏の薬草をたくさん抜いて、お店にならべた。
売れ残ったので、格安特売をした。
「失敗は」
「たまにはあります!」
「そう!」
私たちは、協力して薬草を売った。
ふだんの半分以下の値段で売るのは、ちょっと楽しいものだと知った。




