363 スライムさんとサ終
「えいむさんに、ざんねんなおしらせです」
カウンターの上のスライムさんは、薬草を頭にのせ、さらに食べるという離れ業をこなしながら言った。
「きょうで、さしゅうです」
「さしゅう?」
私は首をかしげた。
「さーびす、しゅうりょうの、りゃくです」
スライムさんは重々しく言った。
「それはいったい……?」
「なにか、おおきな、さーびすがおわるときに、いわれるようです」
「! それってもしかして」
「はい。このよろずやも、れいがいでは、ないのです」
スライムさんは、目をふせた。
「さーびす、しゅうりょうです」
私はお店を出た。
外は強く冷たい風が吹いている。私は手を袖に隠すように引っ込め、歩きだした。
お店の裏手に移動すると、そこでザルを拾った。
そのまま裏庭に向かう。
緑色がしっかりとした薬草が生えていた。
生命力を感じる。暖かくはならなかったけれど、なにか、頼もしさのようなものを感じる色だった。
私は薬草をとった。土を払って、ザルに入れていく。
それを持って、裏庭の水場で土を本格的に払う。
ちゃっちゃっ、とゆすって水を切ると、空の光でキラキラときれいだった。
私はお店にもどって、カウンターにザルを置いた。
「持ってきました」
「うむ」
スライムさんは言った。
サービス終了は、スライムさんが裏庭から薬草を持ってきてくれることだった。
むしゃむしゃと、無料で食べさせてもらえるのは続くけれど、とってくるのは私がやるべき、ということのようだ。
「いいやくそうである」
スライムさんは、まだ水がついている薬草を見て、目を細めた。
「ありがとうございます師匠」
「これからも、しょうじん、しなさい」
「はい。でも、売り物の薬草は、自分でとってきてくださいね」
「えっ?」
「……」
「うむ。かんがえておこう」
「はい。じゃあ食べますか?」
「うむ!」
スライムさんは薬草食べた。
「やはり、とれたては、みずみずしいな!」
「瑞々しいというより、水々しいですね!」
「みずみずみずみず、えいむくんは、いそがしいな!」
がっはっは! とスライムさんは笑った。




