356 スライムさんと試験問題
お店に入ると、カウンターの上のスライムさんが、私を見ずになにかを見ていた。
そっと近づくと、紙だ。文章が書かれているようだ。
「こんにちは」
私がささやくと、スライムさんがこっちを見た。
「わっ! いらっしゃいませ!」
スライムさんは、ちょっとだけ、とんだ。
「こんにちは」
「こっそりちかづいてきましたね……」
「ふふ。スライムさんが、真剣だったから、声をかけられなくて」
「ふふ。どうも」
「ふふ」
私たちは意味深に笑ってから、紙に視線をもどした。
「これはなに?」
「これは、よろずやけんていの、もんだいしゅうです」
「ふうん?」
「これをべんきょうすると、よろずやけんていに、ごうかくできます」
「へえ。どんな問題?」
私は紙をのぞいた。
問題
はがねのつるぎは、枝を切ることができる。○か×か。
「どうおもいますか?」
「できるんじゃない?」
「ぼくも、そうおもいます! ちなみに」
とスライムさんは別の紙を見せた。
「ここに、こたえがあります。つぎのこたえがみえにくいように、ちょっと、とおめに、ぶんしょうが、ならんでいます!」
「そうなんだね」
「じゃ、これのこたえを、みますね」
スライムさんは、細目で答えの紙を見た。
「……ばつですね」
「えっ?」
「ばつ。えだも、ほかのものも、きることができる、だそうです」
「ふうん……?」
それはそうかもしれないけれど。
そうかもしれないけど……。もやもやする。
「じゃあ、つぎのもんだいです!」
スライムさんは言った。
問題
鉄の盾は、魔物の攻撃を防ぐことができる。○か×か。
「これはどうだろう……」
さっきの問題のことを考えると、かならず防げるとは言い切れない気がする。
その考えを言うと、スライムさんも同意した。
「たしかに、そうですね!」
「じゃあ、×だね」
「はい!」
スライムさんは、答えを見た。
「……まるです」
「えっ」
「ふせぐことが、できる」
「……」
「……」
そう言われればそうだけれども。
「じゃあ、次の問題は?」
「はい!」
問題
薬草は、食事に使うものである。○か×か。
「これは……」
私はスライムさんと目を合わせた。
「しょくじに、つかいますよね?」
スライムさんの目は確信に満ちていた。
「そうだね」
私も力強くうなずいた。
答えは。
「ばつ。やくそうは、きずを、いやすためにつかいます」
「……」
「……」
私は、問題がならんでいる紙をひっくり返した。
「えいむさん?」
「この問題集は、気にしないことにしよう」
「……そうですね!」
私たちは、きりっ、とした顔をして、薬草を食べた。
「食事でもあるよね!」
「はい!」




