表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
349/425

349 スライムさんと枝

 お店の外でスライムさんがぼうっとしていた。

「スライムさん?」

 話しかけると、スライムさんが、はっとして私を見た。


「なんですか?」

「どうしたの」

「なんでしょうね……。わすれました」

 スライムさんは、ぼうっと言った。


 見れば、スライムさんの前に枝が落ちていた。

「その枝は?」

「これですか? わかりません」

 スライムさんは言った。


 枝は、折れた場所が、折れたばかりのように白っぽく、みずみずしさも感じられた。

「枝が関係あるのかな」

 私は枝を持って、まわりを見ながら歩いた。

 何度か振り返ったけれどスライムさんは、ぼうっとしていて、来なかった。


 薬草を育てている裏庭まで行くと、背の低い樹木の折れた枝が数本落ちているところがあった。

 なにか大きな動物が暴れたかのように、地面もすこし荒れていた。

 私は枝をひとつ持った。スライムさんは音を聞きつけてここへ来たのだろうか。



「あれ?」

 私は、はっとした。

 枝を持っている。ここは……。

 近くに薬草が生えている。見覚えがある場所だ。

 離れたところにスライムさんのよろず屋があった。お店の近くにスライムさんがいるのが見える。


 なにをしていたんだっけ。

 私はスライムさんのところに歩いていった。

「スライムさん、私、なにをしてたんだっけ」

 話しかけてもスライムさんはなにも言わなかった。


「あれ?」

 目を開けたままスライムさんは動かない。ぼうっとしている。

「スライムさん?」

 返事をしなかった。


 しゃがんでスライムさんの顔を見る。

 私を見ているようで、遠くを見ている。

 どうしたのだろう。

「あれ?」

 スライムさんの、目の上、おでこのところに小さなキノコが生えていた。

 白に、青い水玉模様だ。

 知らない柄のキノコだった。


「スライムさん?」

 やっぱり返事がない。

 いったいどうしたのか。

 そう思ったとき、私は、おでこのところがむずむずした。

 さわってみると、小さな、丸っこい感触がある。

 ちょうど、スライムさんのおでこのキノコのような……。



「えいむさん、えいむさん」

「うーん」

 私は、なにかに体をゆらされて目をさました。


「あ、スライムさん」

「おはようございます! こんなところでねていたら、かぜをひきますよ!」

 スライムさんは私のすぐ近くで言った。


 起き上がると、お店のすぐ前だった。

「あれ? どうしてこんなところで?」

「いねむりですか? えいむさん」

「うん」

「じつは、ぼくも、ねていたようです!」

 スライムさんが、てへへ、と笑った。


「そうなの?」

「はい!」

 スライムさんが、ぴょん、ととぶ。


「どうしたんだろうね」

「はい。ふしぎです」

 ふと、近くにリスがいるのが見えた。

 なにか食べている。キノコだ。

 白に、青い水玉模様のキノコを食べている。


「リスって、キノコ食べるんだね」

「そうみたいですね!」

「おいしそうだね」

「そうですね!」

 リスの近くの地面には、キノコの軸が落ちていた。あれは二個目のキノコなんだろうか。


 全部口に入れると、リスは、口からキノコの軸をぷっ、と出した。

 そして急に動かなくなった。

「……止まったね」

「……そうですね」

「リスってお腹いっぱいになったら止まるのかな」

「かも、しれませんね」

 スライムさんは、きりっ、とした。


 食休みをしているのかもしれない。

「じゃあ、そっとしておいてあげようか」

「そうですね!」

 私たちは、そうっと、お店の中に入っていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ