334 スライムさんと至る
「あれは」
お店の近くで、緑色のなにかが積み重なっている。
よく見るとそれは、薄い、青い、透明なものに包まれていた。
新製品だろうか。透明なものに包むことで、大量の薬草を運びやすくしているのかもしれない。
ただ、私が抱えるのも難しいくらいの大きさだ。
何人かで台車に乗せて運ぶのかもしれない。
とても薄そうで、気をつけないとやぶけてしまいそうだ。
指先でさわってみると、ぷにぷにしている。なんだか知っているような感触だった。
「でも、お高いのかな」
「なにがですか?」
きゅっ、と透明なものの表面に、目と口が現れた。
スライムさんだ!
「びっくりした!」
「ふふ」
「もしかして、後先考えずにたくさん薬草を食べちゃったんだね?」
「ふふ。ひっかかるいいかたですが、そのとおりです!」
大きくなったスライムさんは言った。
「でも、いたれませんでした!」
「いたる?」
「はい! おなかを、すかせて、たいりょうにたべると、いたれるんです!」
「ふうん?」
大スライムさんによると、お腹をすかせてたくさん食べると、気を失って気持ちがいいのだという。
「それは、死んでる……?」
「いきてます!」
大スライムさんは言った。
「たくさん食べると、気を失うの?」
「はい! きゅうに、たくさんたべると、なにかが、めぐりめぐって、あたまがぼーっとするらしいです! おなかがすいた! ってはしってかえりたくなるくらい、きもちいいらしいです!」
「うーん。そうか……」
私は考えた。
お腹がいっぱいになると、眠くなることがあるのを思い出した。
もしかしたら、それの極端な例なのかもしれない。
あれは、健康なことなのかと思っていたけれど、そうでもないのだろうか。
でも、どちらにしても……。
「えいむさん?」
「じゃあ、お腹がすいたら、またやってみようか」
「はい!」
「体が変になってもいいように、私が見てるときにしようね」
「わかりました!」
きっとスライムさんは、また薬草でやるだろう。
薬草だったらきっと、そんなに体を悪くすることはないような気がする。
「……」
「……」
「……」
「スライムさん、もしかして、動けないの?」
「はい!」
大スライムさんは元気よく言った。
私は大スライムさんを転がした。
「わー!」
気持ち悪くなったりしないかな? とふと気になったけれど、大スライムさんが元気に笑っていたので私はそのまま草原を転がして遊んだ。




