325 スライムさんとツノ
「こんにちは……」
お店の前、箱の上で、青い透きとおったものがフルフルゆれている。
私の声に反応して、ぴくっ、と動いたあと、もごもごしゃべっているようだ。
「えいむ、さん……?」
「引っこ抜こうか?」
「はなしが、はやい……!」
私は、もぞもぞしているスライムさんを、すぽっと抜いた。
「ありがとうございます!」
スライムさんが、お礼を言ってから着地した。
「どういたしまして。あれ?」
スライムさんの頭がとがっている。
とがっているというと大げさか。いつもは球体に近い体だけれど、頭頂部に、にょきっ、と青くて透きとおった体が伸びて出ていた。
「どうかしましたか?」
と言うスライムさんに、私はお店の中から手鏡を持ってもどった。
「これ」
「おっ。あたまに、つのが!」
「ツノにしては、丸みがあって、やわらかいけどね」
私はスライムさんのツノを指で軽く押した。
ぷにぷにしている。
「それで、その箱は?」
「ああ! あけようとしたら、おそってきました!」
「急に閉まって挟まったとか?」
「とも、いいます!」
箱は木箱で、中にはふさふさしたものがたくさん入っていた。
木をうすーく削ったものだろうか。綿ほどやわらかくはないけれど、中に入れたものを衝撃から守ってくれそうだ。
「なにが入ってるの?」
「のぞみを、かなえてくれるものです!」
「のぞみを?」
私は手を止めた。
「前にも、そんな商品があったような気もしなくもないけれど」
「のぞみを、かなえるものは、いがいとあります!」
スライムさんは言った。
「じゃあ、どうしようか。箱ごとお店に持っていけばいい?」
「ちょっと、はこがおもいので、なかみだけ、おみせにもっていったほうが、らくだとおもいます!」
「出していいの?」
「はい!」
ふさふさを、ほりおこすようにどかしていくと、球が入っていた。
私の手のひらに乗るくらいの大きさだ。透きとおった黄色で、中になにか入っている。
星だ。赤い、星型のなにかが入っている。全部で4つだ。
「星?」
「はい!」
「これが、なんでも叶えてくれるの?」
「いっこじゃ、だめですけどね!」
「そうなの?」
「はい! 7つ、あつめられたら、なんでもかなうらしいです!」
「ふうん。じゃあ、あと6つだね」
「あ、これだけでいいんです」
スライムさんは言った。
「え? どうして」
「ぼくは、これがいちばん、おきにいりなので!」
「願いを叶えたいわけじゃなかったの?」
「はい! だから、あるいみでは、ねがいはかないました!」
「なるほどね」
私は、黄色の球を持ってお店に歩いていった。
「ところでこれは、なんていうものなの?」
「え? えーっと……。どくたーすらんぷです!」
「どくたー?」
「すらんぷです!」
「ふうん。ドクタースランプを7つ集めると」
「ねがいが、かないます!」
スライムさんが、ぴょん、ととんだ。




