320 スライ5さん
「1、2、3、4、5!」
お店の前で、スライムさんがぴょこぴょこしている。
「こんにちは、ごきげんだね」
「どうも、すらい5です」
「スライゴ?」
スライムさんは、お店の横を進み始めた。
私もついていった。
するとついに一周して入り口にもどってきた。
「ぼくは、じぶんを、すらいむだとおもっていました」
スライムさんは地面を見ながら言った。
「ずいぶん、ためたね」
「はい」
「私もスライムさんを、スライムさんだと思うよ」
「でも、ですよ?」
スライムさんは私を見た。
「もし、すらい5だったとしたら?」
私は考えた。
「……それは、スライムのむが、数字の6だったらってこと?」
「そうです!」
スライムさんは力強く言った。
「なるほどね……。たしかに、そういう可能性はあるね」
「でしょう!」
「とすると、スライ1とか、スライ2も?」
「ありえます!」
「スライ1000とか?」
「そんな、ぼうだいな!? ありえます!」
スライムさんはそわそわした。
「こうしちゃいられない! どうしちゃいられない!?」
そわそわしている。
私は思った。
「スライムさん。こうなってくると、私からも発表があります」
「なんですか、えいむさん! ぼくはいま、すらいおくかもしれないので、いそがしいんです!」
「エイ5の可能性も、ある」
「!?」
スライムさんのそわそわが止まった。
「えいむさんの、むも、6……?」
「そのとおり。ということは、エイ3さん、と呼んでもらう必要があるかもしれない」
「えいさんさん!?」
「ひょっとしたら、エイ333さん」
「えいさんびゃくさんじゅうさんさん!? ややこしい!」
「スライ9999さんは、これからどう呼んだほうがいいかな」
「れべるが、たかそうななまえ……!」
スライムさんは、ぴょん、ととんだ。
「スライムさんは、いくつにする? あ、スライいくつさん?」
「うーん、うーん」
スライムさんはうなっている。
「えいいくつさんは、どうします?」
「私? 私は……、エイミーなんてどうかな」
「えいみーですか? ……えい3ーですね!」
「そう。数字のようで数字でない、でもちょっと数字の名前」
「じゃあ……、ぼくは……。すらいびりおんです!」
「スライビリオン? いくつ?」
「わかりませんが、うわさにきいた、たんいです。どうですか?」
私はスライムさん、いや、スライビリオンさんをよく見た。
「なんだか、貫禄があるね」
「ふっふっふ」
「スライビリオン伯爵って感じだね」
「! わしは、すらいびりおんはくしゃくじゃ!」
スライムさんはお店の中に入っていった。
カウンターの上にとび乗る。
「わっはっは!」
えらい人は見下ろすのだろうか。
「ははー、スライビリオンさまー」
「わっはっは!」
「どうも、エイセツナです」
「わっはっは? せつな?」
「どうも」
そんなものもあると、聞いたことがあった。
スライビリオンさんは、カウンターからおりてきた。
「これはどうも、えいせつなさん」
「どうも」
「おちゃでも、のみますか」
「そうですね」
スライビリオンさんとエイセツナは、同じくらいのえらさ、らしい。
「スライビリオンさんのお茶は、どんなお茶かな」
そう言うと、スライビリオンさんは、私をじっと見た。
「どうかしました?」
「えいせつなさん」
「なんですか、スライビリオンさん」
「ちょっといいにくいので、えいせつなさんでも、えいむさんでも、いいことにしますか?」
スライムさんは言った。
「じゃあ私もスライビリオンさんでも、スライムさんでいい?」
「はい!」
「うん!」
私たちは、ムにもどってお茶会をした。
「やっぱり、すらいむのほうが、やくそうがおいしいです!」
「お茶じゃないんだね」
「はい!」




