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311 スライムさんとスライムよろず屋薬草

「こんにちは」

「いらっしゃいませ!」

 スライムさんが、カウンターの上であいさつをしてくれた。


「ん、これは?」

 お店のカウンターの中央に、青い、小さな石で囲われた区画ができていた。

 そこはいつもの、薬草が置いてある場所だ。


「なんだか薬草のまわりが、豪華になってるけど」

「やくそう、せんもんてんです!」

「専門?」

「はい! よろずやから、やくそうぶもんを、どくりつさせました!」


 私はそのあたりをよく見た。

「これが専門店」

「はい! おみせのなかに、ちいさなおみせを、つくる。そういうやりかたもあるそうです! だから、こみせでも、よしとします!」

 スライムさんは、そういってから、こみせ? とつぶやいた。


「ここは、すらいむよろずや、やくそうです!」

「スライムよろず屋、薬草」

「すらいむよろずや、やくそう! は、やくそうだけしか、うりません!」

「そうなんだ。でも、どうして独立させたの?」

「やくそうばなれが、さけばれる、さっこん」

「薬草ばなれ? そうなの?」

「おそらく!」

 スライムさんは、力強く言った。


「私は買うけど」

「ほかのひとも、ちょこちょこ、かってくれます!」

「よかったね」

「はい! あっ、でも、むかしからうってるものは、だいたい、ばなれが、さけばれます!」

「そうなんだ」

「はい! ぼくが、やくそうばなれを、くいとめます!」

 スライムさんは、むん、とふくらんだ。


「独立すると、食い止められるの?」

「ふっふっふ」

 スライムさんは意味深に笑う。


「えいむさん。せんもんてんで、かうのと、よろずやでかう。どっちのほうが、いい、しなものだと、かんじますか?」

「それは、専門店かなあ」

 私が言うと、スライムさんが、きっ、とこっちを見た。


「そういうかんがえが、やくそうばなれを、うむんですよ!」

「ごめんなさい」

「すなおでよろしい!」

 スライムさんは満足そうに言った。


「しかし。おきゃくさんが、そういうかんがえなのは、ぼくもきづいていました。せんもんてんは、せんもん。だから、いいかんじがする!」

「そうだね」

「だからこそ! やくそうぶもんを、せんもんか、します! そして、せかいの、やくそうやに、なります!」

 スライムさんは大きな野望を語った。


「専門って言われたほうが、買いたくなるもんね」

「そうです!」

「じゃ、今日から勉強?」

「べんきょうとは?」

 スライムさんが、すこし、かたむいた。


「専門店ってことは、やっぱり特別な知識もいるでしょ?」

「……ははあ」

「だからこその専門店だもんね」

 スライムさんは、すこしだまった。


「……えいむさん」

「なに?」

「ぼくは、ごかいをしていたかもしれません」

「なにを?」

「せんもんてんというのは、とくべつな、ちしきがひつようです」

「そうだね?」

「ぼくが、かんたんに、てをだしていいものでは、なかったのです……」

「……それは、勉強が面倒だとか、そういうことじゃないんだよね?」

「……」

「……」

「……はい!」

「……そっか」


「だいじょうぶです! あしたから、べんきょうしますし!」

「そうなの?」

「はい! あしたから、がんばります!」

 スライムさんは真剣な目をしていた。


 そして、明日は、永遠に、明日なのであった。

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