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302 スライムさんとビンゴ

 よろず屋で午後。

「きょうは、びんごが、やりたいんですよ~」

 スライムさんが、間延びした言い方で私を見た。


「うん?」

「びんごが、やりたいんですよ~」

 期待するように私を見る。


「だめー」

 私はスライムさんの頭をぺたん、とゆっくりたたいた。


「おっと?」

「なんとなく、やめておこう」

「はい。じゃあ、びんごをやりましょう!」

「おっ。妥協してるように見せて、自分のやりたいことを、言い続けてるね」

「ばれましたか」

「いいよいいよー」

「はい!」

「それで、びんごって?」

「よくきいてくれました」


 スライムさんは、得意げにふふん、と言うと、お店を出た。

 光がまぶしい。


「びんごとは」

「外でやるもの?」

「なかです!」

 もどった。


「びんごは、かみをくばります。きれいに、たてとよこに、すうじがならんでかいてあります! でも、すうじのならびかたは、どのかみも、ばらばらです!」

「バラバラの数字」

「はい。それで、べつのはこに、すうじがかいてあるかみがはいっています。それを、いちまいずつひいていくと……?」

「……?」


 私は考えた。

 縦横にならんでいる数字。

 くじ引きするということは、不規則に、数字が指名されていく。

 つまり?


「引いた数字を、メモしていくのかな?」

「おっ!」

 スライムさんが目を大きく開いた。


「そうすると、数字がならんでいくから、縦とか横に並んだら、びんご?」

「てんさい!」

 スライムさんは、私にぷにぷに体当たりをした。


「せいかい! てんさい! しんぱい!」

「心配?」

「いやあー、えいむさん、そのとおりです! すうじがそろったら、かちです!」

「先に数字をそろえる遊びだね?」

「はい!」


 スライムさんは、箱を押してもどってきた。

 上に紙がのっている。数枚の紙の束を持ち上げると、箱の上部には手が入りそうな穴が空いていた。


「これが、びんご」

「はい! やりましょう!」


 とスライムさんがカウンターの上にのったので、私はスライムさんの前に紙を、表にして置いたけれど。

「あれ?」

 気づいた。


 想像だと、数字がたくさんならんでいる、と思っていたんだけれども。


 縦に2つ。

 横に2つ。

 4つしかない。


 13

 24


 とならんでいた。

 

「ぼくは、こうです!」


 スライムさんは、12、43、とならんでいた。


「これでいいの?」

「なにか、もんだいでも?」

「えっと。でも、これだと、かならず、すぐそろっちゃうよね?」

「なにか、もんだいでも?」

「え?」


 そうか。

 たしかに問題はない。


「私、自分だけが勝つことばっかり考えてたかもしれない」

「いいんですよ、えいむさん」

 スライムさんが、やさしく、ぷに、と私をさわった。


「スライムさん……」

「きょうから、かえていきましょう」

「わかった!」

「いきます!」


 スライムさんは、箱を見た。

「えいむさん、かみを、ひいてください!」

「わかった!」


 私は、箱の穴から1枚目の紙を引いた。

「びんごになったら、びんご! っていってくださいね!」

「びんご!」

「まだでしょう!」

「へへへ」

 私は、1、のところに線を引いた。



















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