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285 スライムさんと寝技

 お店に入ったらスライムさんがぶつかってきた。


「とりゃ!」

「うわっ! こんにちは?」

「いらっしゃいませ!」

「どうしたの?」


 スライムさんが急に冷静に私を見た。

「えいむさん、ねわざ、ってしってますか?」

「ねわざ?」

「ねる、わざです!」

「寝技」

 健康法かな?

「それをやりたいんですけど、きょうりょくしてくれませんか?」



 私たちは、お店の外に出て草原の、特に草がふかふかのところに移動した。

 横になった。

 空が見える。


「きれいな空だね」

「はい!」

「それで? 寝技っていうのはこれ?」

「ちがいます! かくとうぎの、わざです!」

「格闘技っていうと、武器を使わないで戦うやつ?」

「はい!」

「それをやりたいんだね」

「はい! たたかう、スライムです!」

 私たちは空を見た。


「……きれいな空だね」

「はい!」

「それで? 寝技っていうのは」

「かくとうぎの、わざです!」

「!? 同じ時間を、くりかえしている……?」

「はい?」

「寝技って、どういうことをするの?」

「ねて、たたかいます!」

「そっか……」

「はい!」


 私たちは空を見た。

「きれいな空だね」

「はい!」

「……えい!」

 私は、スライムさんを抱きかかえた。


「わっ、なんですかえいむさん!」

「これが、私の寝技、スライムさん抱きかかえだ!」

 私の腕の中で、スライムさんがうねうね体を動かしている。


「ひんやりして気持ちいいなあ」

「くっ、でられない……!」

 スライムさんの声がこもって聞こえる。

 でもだんだん、スライムさんの体が腕の下側から出てきそうになる。

「これで、どうだ!」

 私は脚を上げた。

 スライムさんを、やや上から抱えるようにしつつ、持ち上げたふとももに押しつけるようにして、腕と脚でスライムさんをしっかり抱えた。

 脚をしっかり抱えると安定する。


「ばぎー、ちょーく……!?」

「うん?」

「すごい! これは、ねわざです! ねわざは、あいてのじゆうを、うばうものなんです!」

「! 私、寝技を知らないのに、寝技ができてた……!?」

「はい!」

「私、やっちゃいました?」

「はい!」

「これで、寝技を覚えたね!」

「ぼくもやりたいです!」

「いいよ」


 私が手を離してそのまま横になっていると、スライムさんは私のお腹の上にいるままだった。


「……えいむさん」

「なに?」

「おもいついたんですけど」

「うん?」

「もしかして、ぼくは、ねわざができないのでは……?」

 スライムさんが核心をついた。


「……気づいてしまったか」

「! えいむさん、しってたんですか!?」

「知っていたといえば知っていた。でも、気づかなかったといえば、気づかなかった。そういう感じだね」

「ふかい、ごいけんです!」

 スライムさんは真剣に言った。


「やはり、手足が欠かせない。私はそう思うね」

「ぼくもおもいます!」

「気づいた?」

「はい! さすがでしょう!」

「さすが!」

「はい!」


 スライムさんは、ちょっとつぶれた。


「でも、もう、ぼくには、ねわざはできない……」

「ところで私は、スライムさんにもできる。いや、できてた、と思うね」

「なぐさめですか!」

 スライムさんが、きっ、と私を見た。


「なぐさめは、うけいれるしゅぎですよ!」

「そっか。でも、なぐさめじゃないよ」

「じゃあなんですか!」

「スライムさんって、雨にぬれると、体が大きくなるでしょう? それで、私のことを包んだりできるじゃない? あれも、寝技みたいなものじゃない?」


 武器を使わず、相手を拘束しているわけだから、寝技といってもいいのではないだろうか。


「えいむさん!」

「うん」

「ぼくは、えいむさんより、さきに、ねわざができていた……!?」

「そのとおりだよスライムくん」

「はい! これは、かくめいてきな、ねわざですね!」

「そのとおりだよスライムくん!」

「ぼくは、ねわざの、おうになります!」

「よろず屋も忘れずにね」

「はい!」

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― 新着の感想 ―
[一言] バギーチョークで草 最近漫画で知った技だわw
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