279 スライムさんと相談
「だから、相談するといいこともあるよね」
私はスライムさんに、父に相談したら、きれいに円を書く方法を教えてもらった話をした。
スライムさんは、ふむふむ聞いていたけれど、話が終わると、ゆっくりとカウンターにのった。
「……ふむ!」
「どうしたの?」
「えいむさん。なんでも、そうだんしてください!」
スライムさんは、どこからか、そうだんや、と書かれた板をひっぱってきた。
「そうだんや?」
「たよりに、なります! ぼくは! たよりに! なります!!!」
「用意がいいね」
「はい! きょう、そうだんしてもらえたらいいな! とおもっていましたので!」
「そっか」
「では、そうだん、どうぞ!」
スライムさんは、やる気まんまんだった。
でも。
「……相談すること、特にないなあ」
「えっ?」
「うん。もう、相談したから」
「えいむさん。むねに、てをあててください」
「はい」
私は右手を胸にあてた。
「どうですか……?」
「どくん、どくん、と聞こえる」
「いいえ! そうだんしたいことが、あったでしょう……?」
「えっと」
「あったでしょう……? しょう……? しょう……?」
スライムさんは、声の大きさを変えながらくりかえし、声のひびきを演出した。
「あ、うん……。あったかも……」
「どうぞ!」
「ええとね……」
迷ったけれど、素直に、いまの気持ちを言うことにした。
「質問してもいいですか?」
「はい、もちろんです。何かお聞きになりたいことがあれば、遠慮なくお尋ねください」
「うん?」
なんだか、いつもとちがうスライムさんの声だった。
いや、声というか、言い方?
なめらかなしゃべり方だけど、どこか変だ。
「いいの?」
「はい」
「じゃあ……。相談したいことがないときは?」
という相談だ。
これならうそじゃないし、スライムさんも満足してくれる、かもしれない。
「何か相談したいことがない場合でも、私には多岐にわたるトピックについての知識があります。例えば、科学、技術、芸術、スポーツ、歴史、文化、ビジネスなどに関する質問に答えることができます。あなたが知りたいことや興味のあることがあれば、お気軽にお聞きください」
スライムさんはスラスラ言った。スライムさんだけに。
反対に、私の心は乱れていた。
私はつい、スライムさんを持って軽くゆらしていた。
「え、え、どうしたのスライムさん。なんか変だよ」
「あわわわ」
「あ、ごめん」
私は手をはなした。
「へんですか?」
スライムさんは、いつものように言った。
「もしかして、なにか、他にも相談の準備をしてたの?」
「ふふふ。じつはそうです!」
「なにをしたの?」
「えっと……」
スライムさんは、あちこちに視線を向けた。
それから私を見て、ほほえんだ。
「忘れたの?」
「ちょっとおぼえてます! ちょっと、ぴーぴーぴーです!」
「ちょっとピーピーピー?」
「それらが、かんよ、しています」
「どうやって?」
「そのちからがはいった、まほうせきを、のみます。すると、しばらく、ばっとぴーぴーてぃー、とつながって、そのちからが、つかえるようになるというわけです」
スライムさんの説明は私の中には入ってこなかった。
「よくわからないけど……。体に悪くはないの?」
「このじょうたいは、いちにちで、おわります!」
「そう。それって、まだできるの?」
「できます!」
スライムさんは、むん、とふくらんだ。
「じゃあ、むずかしい質問にも答えられる?」
「べっどぐーぐーぐーには、ふかのうはないです!」
「ベッドぐーぐーぐー」
よく眠れそうだ。
「じゃあ。スライムって?」
「スライムとは、主にファンタジー作品やゲームでよく登場する、粘液質の生物のことを指します。スライムは、水分や粘性の高い分泌物を出して、形を形成しているため、手に触れたり、武器で攻撃すると、不快な感触が残ります。
一般的には、スライムは小型で弱い敵として登場し、倒すことでアイテムや経験値を獲得することが多いです。また、スライムの外見や属性は様々で、例えば、火属性や水属性など、攻撃に強い属性を持ったスライムが登場します」
スラスラ言った。
「……」
「……えいむさん、どうかしましたか?」
「なんか、むずかしい話だね」
「……ですね!」
「相談にのってくれて、ありがとう!」
「どういたしまして!」
私たちは、相談が一区切りついたので、薬草を食べた。




