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263 スライムさんと108

 スライムさんが、お店のまわりをぴょんぴょん、はねていた。


「こんにちはー」

「あ、えいむさん!」

 スライムさんがやってきた。


「こんにちは!」

「こんにちは」

「はっ。かずが、わからなくなりました……。また、いちからです」

「数」

「108、かぞえていました!」

 スライムさんは、きりっ、とした。


「108?」

「はい。きょうは、108かい、なにか、すると、いいらしいです!」

「ふうん。なにか。108回」

「はい」

「なかなかむずかしいね」

「はい!」


 私は、あきらめかけた。

 でも、考え直す。


「わからないように思えても、わかることがあるかもしれない。ちょっと、考えてみよう」

「まえむきですね!」

「どうも、前向きエイムです」

「まえいむさん!」

 私はマエイム。


「前イムともいえるし、真エイムともいえるね」

「なにいってるんですか?」

 スライムさんが言う。

 私は、スライムさんの頭をぐにぐにした。


「まえいむさん、やめてくださいー」

「さて、なんといっても、鍵になるのは108だよね」

 私は手をはなした。


「そうですね! ちゅうとはんぱな、すうじです!」

「うん。……しかし、本当に中途半端なんだろうか」

「といいますと?」

「私は、10とか、100とかが、ちょうどいいと思う。でも、たとえば、27とかが、ちょうどいいと思う人もいるかもしれない」

「27が……!?」

「うん」

 私は数えてみた。


「108。半分にすると、54。さらに半分にすると、27」

「といいますと?」

「私の、手と、足の指を全部たすと、20本なんだけど、もし、27本の生き物がいたら? 27が、ちょうどいいと思うかもしれない」

「! えいむさん!」

「27本の生き物が、四人集まったら?」

「108です!」

「つまり、27本の生き物が四人集まろうの会。これが開かれる日かもしれない」

「えいむさん! なぞはすべてとけました!」

「ふふ。私の才能がこわい」


 私はお店に入って、椅子を持ってきた。

 座って足を組んで、手を組んだ。


「スライムくん。27本。この数字に心当たりはあるかね」

「ないです!」

「私もない」

「はい!」

「ふふ。今日は、このくらいにしておこうか」

「そうですね!」

「とりあえず、ふたりで、108まで数えてみよう」

「わかりました!」


「1,2,3,4」

 私たちは、数をかぞえながら、草原を進んだ。


「今日はいい天気だね」

「はい! あ、いくつか、忘れました」

「じゃあまた1からね」

「はい!」


 そのとき、私のポケットで、チャリン、と硬貨がこすれる音がした。


 スライムさんが止まる。

「どうしたの?」

「かねの、おと……」

 スライムさんがつぶやいた。


「お金の音だよ」

「はい……。かね、ひゃくはち……」

「どうかしたの?」

「……。もしかして、すらいむは、むかし、あしが108、あった、じだいが……?」

「あったの?」

「わかりません」

「そっか」

「あ! いくつか、わからなくなりました!」

「じゃあ、さいしょからね」

「はい! 108、かぞえましょう!」

 私たちはまた歩きはじめた。


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