表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
262/425

262 スライムさんとぬいぐるみ

「今日もよろず屋、ふんふんふーん。……あれ? これは?」


 お店の前に置いてあったのは、ぬいぐるみだった。

 女の子だろうか。

 全体の大きさは、私の頭くらい。頭と体が同じくらいの大きさにつくられたものだ。


「忘れもの……?」

「ちがいます!」

 スライムさんの声がした。

 入り口の中をのぞいていたら、こっちです、とスライムさんの声。

 店の裏側からやってくる。


「それは、おむかえを、しています!」

「ああ、そうなんだ。こんにちは」

 私はぬいぐるみの頭にそっとさわった。


「えいむさん、えいむさんですね!」

「どういうこと?」

「それは、えいむさんです!」

 スライムさんは、ぴょん、ととんだ。


「私?」

「そうです! このおみせの、かんばんともいえる、ぬいぐるみを、つくりました!」

 スライムさんが、ばーん! と言った。


「このお店の?」

「そうです! いずれ、はんばいして、だいはんじょうです!」

「だったら、スライムさんのぬいぐるみのほうが、いいんじゃない?」

「ふっふっふ。あまいですよ、えいむさん。あまいやくそうくらい、あまいです!」

「ほどほどだね」

「はい!」

 スライムさんが、きりっ、とした。


「ぼくの、ぬいぐるみをつくるとします」

「うん」

「それだと、よろずやの、きぶんはあじわえます。ですが?」

 スライムさんがなにかを待つように私を見る。


「うん? うーん。どういうこと?」

「えいむさんのぬいぐるみがあれば、ぼくの、きぶんを、あじわえますよね?」

「あー。なるほど」


 私はよくこのお店にいる。

 ということは、私を横においておけば、ぬいぐるみの持ち主は、あたかも、スライムさんになったかのような気分になれる。


「そういうこと?」

「はい!」

「でも、私はこのお店の人じゃないよ」

「ぼくも、ひとじゃないです!」

 スライムさんは、にやりとした。


「すらいむじょーくです」

「やるね」

「ふっふっふ!」

「たしかに、私みたいな美少女のぬいぐるみだったら」

「あっ、ちょっとすいません」

 スライムさんは、横を向いて、目をぱちぱちさせた。


「あ、すいません。めにごみが、ちょっと。もうとれました!」

 スライムさんは、きりっ、とした。


「それで、なんの話でしたっけ?」

「ううん、なんでもない」

「でも、なにかだいじなことを、いっていたような?」

「言ってない」

「え? でも」


「言ってない。それより、やっぱり、スライムさんのぬいぐるみもいると思うなあ」

「えいむさんのぬいぐるみじゃ、だめですか?」

「……なら、両方?」

 私が言うと、スライムさんはぶるん、とゆれた。


「たしかに! ぼくは、どちらかがいいと、おもっていました!」

「もうてんだね」

「はい! ぼくのような、かっこいいすらいむも、ほしいですよね!」

「それに、私みたいな美少」

「あっ、ちょっとすいません」

 スライムさんは、横を向いて、目をぱちぱちさせた。


「あ、すいません。めにごみが、ちょっと。もうとれました!」

 スライムさんは、きりっ、とした。


「それで、なんでしたっけ?」

「……スライムさんを売る?」

「なんですと!?」

 スライムさんはぶるるん、とふるえた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ