255 スライムさんと応援歌
「こんにちは」
お店に入ると、スライムさんが、カウンターの前でぴょんぴょん、はねていた。
「こんにちは、えいむさん!」
「ごきげんだね」
「ぼくは、はっけんしてしまったんですよ……! なまえを、くりかえすだけで、おうえんかになってしまうことを……!」
「応援歌?」
「おうえんされて、いやなきに、なりますか?」
「ならないかな」
「じゃあ、いきますよ?」
スライムさんはカウンターの上にのると、すうっ、と息を吸った。
「……すら! いむ! すら! いむ! すら! いむ! すら! いむ! すら! いむ! すら! いむ! すらー!! いむ!! ……どうですか?」
スライムさんが、はあはあしながら言った。
「どう? うーん」
「いまいちですか?」
スライムさんは、不安そうに言う。
「なんか、思ったよりはげしかったから、びっくりした」
「どんなかんじだと、おもったんですか?」
「スライムスライム、がんばれスライム、みたいな感じかなと」
「それだと、なまえだけじゃないですよ!」
「そっか。たしかに」
名前をくりかえすと言っていた。
「なまえだけ、が、うりです!」
スライムさんは、ふむん、とふくらんだ。
「じゃあ、私だったら、エイム! エイム! エイエイムー! っていう感じ?」
「! なんですか、いまの」
スライムさんがカウンターをおりて、私に、ぷに! ぷに! とぶつかってくる。
「えいむさんのほうが、ぽいです!」
「ぽい?」
「えいえいむー! が、おうえんっぽいです!」
「実は私も、そこがいいかもしれないと思った」
「さすがえいむさんですね! しょけんで、ぼくの、すらいむそんぐを、こえるとは……」
ごくり、とスライムさんが言った。
「じゃあ、スライムさんにも、取り入れてみる?」
「! どうするんですか!?」
「スライム、スライム、ライライムー! とか」
「!!」
スライムさんが、こてん、と倒れた。
「スライムさん!?」
スライムさんが、ゆっくり起き上がる。
「ぼくは、すらいすらいむー! というかと、おもったんです……。えいえいむー、のかんじを、だすために……。でもまさか、す、をしょうりゃく、するとは……」
「スライムさん?」
「えいむさんの、さいのうには、だつぼうですよ……」
「自分の才能が、こわい……」
私は、ひたってみた。
「じゃあ、いっしょに歌ってみる?」
「どうするんですか?」
「順番に、続けて」
「はい!」
スライムさんは、きりっ、とした。
「いきます! すらいむすらいむ、らいらいむー!」
「エイム、エイム、エイエイムー!」
「すらいむすらいむ、らいらいむー!」
「エイム、エイム、エイエイムー!」
スライムさんは、体を左右に動かしながら歌う。
私も、同じ調子で、スライムさんの動きに合わせた。
「すらいむえいむ、らいえいむー!」
「おっ、まぜたね?」
「ふふ」
「エイム、スライム、イムイムムー!」
「!!?」
スライムさんは、こてん、と倒れた。
「どうしたの、スライムさん」
スライムさんは、ゆっくり起き上がる。
「まさか、いむいむむー、とは……。えいむさんの、さいのうは、てんじょうしらず、ですね……」
「私も、自分の才能が、こわいよ」
私はまた、ひたってみた。
「これで、いつでも応援できるね!」
「はい!」




