245 スライムさんと麻雀
「いらっしゃいませ!」
スライムさんが、カウンターで、にやりとした。
「こんにちは?」
なんの顔だろう。
「あたらしい、あそびを、おしえてあげましょう! しょうがないですねえ」
なにも言ってないけど。
「遊び?」
「はい! きょうは、ちゅんちゅん、とりがとんでますねえ……」
スライムさんが遠い目をした。
「鳥なんていたっけ?」
私が外を見ると。
「ちがいます!」
スライムさんが、くるっ、とまわって私を見た。
「いまのは、まーじゃんです」
「まーじゃん?」
「はい!」
「まーじゃんは、いしころみたいなやつを、ならべて、あそびます!」
スライムさんは言った。
「石みたいなものを?」
「はい! じぶんしか、みえないように、10こくらいずつ、ならべて、たたかう、しんりせんです!」
「ふうん」
「じゅんばんに、いっことって、いっこすてます。そうやって、ねらいの、まーくを、そろえます」
「ちょっとずつ、同じマークがそろっていく感じ?」
「のみこみが、はやいですね!」
スライムさんは、目を大きく開いた。
「飲みこみの、エイムです」
私は、にやりとした。
「まーじゃんは、4にんか、3にんか、それくらいでやります!」
「ふうん」
「そのとき、なかまに、おしえるんです!」
「私が、どんな石ころを持ってるかって?」
「はい!」
「協力する遊びなんだね?」
「はい! いしころは、ほかのひとが、すてたいしを、ひろったり、できるので!」
「でも、ほかのひとも、いしをひろえるので、こっそり、いしの、そつうを、します! ちょくせつ、まーくをいったら、ほかのひとにしられてしまいますので!」
石と意思。
「こっそり、仲間と連絡を取るために、使うんだね?」
「そうです! たとえば、ちゅん、といういしが、あります!」
「それが、さっきの、ちゅんちゅん、鳥」
ごまかしながら、いま、自分がどんな石を持っているか、教える。
「そういう、言いそうなことで、教え合うんだね?」
「うまいですねえいむさん!」
「えっ?」
「いーそー、も、あります!」
「そんな石が?」
「はい! いーそーから、きゅーそーまであります!」
「1から9ってこと?」
「はい!」
「じゃあ、そー、一族だね」
「! はい! そー、いちぞくです!」
「あと、ちゅん?」
「1まんから9まん、1ぴんから9ぴん、あと」
「ちょっと待って、まだそんなにあるの?」
「はい! それを、ぜんぶおぼえて、なおかつ、こっそり、れんらくをとりあいながら、やります! これを、とおし、といいます!」
「通し」
「はい! とおしは、かかせません!」
「それがまーじゃん」
「はい!」
私は考えた。
「大変だね」
「でも、おかねが、もうかります」
「そうなの?」
「はい。おかねをかける、あそびです。とおしをつかえると、つかえないひとたちから、どんどん、おかねがもらえるんです!」
「通しの分、差がでるんだね」
「はい!」
「えいむさんが、おかねにこまったとき、まーじゃんで、かせげるように。ぼくは、えいむさんに、まーじゃんをおしえました!」
「そっか。助かります!」
「はい!」
「スライムさんが、そこまで心配してくれるなら……。お金をかける?」
「はい!」
「お金がないのに、お金をかけるの?」
「……おや?」
スライムさんがすこし、かたむいた。
「おかしいですね」
「お金がない人がお金をかけたら、変だもんね」
「はい!」
待てよ?
「……じゃあ、お金をかけないまーじゃん、やろうか」
「! そんなてが!」
「これなら、楽しいだけだよ」
「はい! やりましょう!」
「で、どこにあるの?」
「はい?」
「まーじゃん」
「おみせに、ありますよ!」
スライムさんは、堂々と言った。
「……お店のどこ?」
私が言うと、スライムさんは笑った。
「いやですねえ! それがわかるなら、すぐ、だしますよ!」
「……そうだね!」
「はい!」
スライムさんは、堂々としたものだった。




