表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
238/425

238 スライムさんとエルフの耳

「ふんふんふふーん」

 とよろず屋から出てきたスライムさん。

 いつもとちがうのは。


「こんにちは」

「いらっしゃいませ! きょうは、そとまで、おでむかえしました!」

「よくわかったね」

「ちらっとみえました!」

「ところで、その耳? はなに?」


 スライムさんの顔というか、体の横には、耳がついていた。

 私の耳に似た形と色だけれど、上に長い。とがったような形をしていた。


「えるふの、みみです!」

「エルフ?」

「そうです!」


 スライムさんは、体を動かすことで耳をぴくぴくさせた。


「これは、えるふのみみです! えるふ、なりきり、ぐっずです!」

「ふうん?」

「えいむさん、つけてみてください!」

 スライムさんは、足にぐいぐい体を押しつけてくる。


「私が?」

「はい!」


 スライムさんから耳を外すと、中は空洞だった。

 私の耳の上からかぶせることができる。


「にあいます! つけごこちは、どうですか?」

 というスライムさんの声が、こもって聞こえる。


「ちょっとこもってるけど、ちゃんと聞こえるよ」

「そうですか! これでえいむさんも、えるふですね!」

 スライムさんは、ふふん、とじまんげだった。


「エルフってなに?」

「えいむさん、しらないんですか?」

「うん」

「えるふっていうのは、みみがおおきい、しゅぞくです」

 私は耳をさわった。


「大きいだけ?」

「おおきいと、よく、きこえますよね?」

「うん」

「そういう、しゅぞくです」

「よく聞こえ族なんだね?」

「はい!」

「……」

「……」

「それだけ?」

「えいむさん。それしかないなんていったら、かわいそうですよ」

「ごめんね、エルフさん」

「いいでしょう!」

 エルフ代理スライムさんが許してくれた。


「……でも、ほかにも、えるふの、とくちょうはありましたけども」

「あったの? なに?」

「たしか、しつのいい、ばしゃを、つくるそうです!」

「馬車。手先が器用なのかな」

「はい。えるふのばしゃといったら、ゆうめいらしいです!」

 スライムさんは、近くに落ちていた箱を押して進んだ。


「馬が、箱をうしろから押すタイプの馬車?」

「くわしくは、わかりませんが、えるふの、とらっ……。ばしゃといったら、ゆうめいなんですよ!」

「トラッ?」

「ばしゃの、べつのよびかたを、してたきがするので! わすれましたが!」

「忘れたの?」

「はい!!!」

 スライムさんは言い切った。


「清々しいほど言い切ったね」

「はい! ごめんなさいね!」

「許そう」

「ありがとうございます!」


 スライムさんは、きりっ、とした。


「私も、エルフのトラッ、乗ってみたいなあ」

「いいですね! ……あ、だめですね」

「なんで?」

「えいむさんは、そういう、くるまは、やめたほうがいいです」

「どうして?」

「やめたほうがいいです。なぜなら、やめたほうがいいからです!」

「そう。そこまで言うなら、やめようかな」

「はい!」

 スライムさんは、ほっとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ