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224 スライムさんと毒

「こんにちは」

「いらっしゃいませ!」

 スライムさんは、カウンターの上にいた。


 うん?

 見まちがえかな?

 光の加減かな?


 そう考えようとしたけれど、どう見ても、スライムさんが、紫色になっている。


「スススライムさん! なにか、とりあえず薬草を! でも売り物だから、私買います!」

「おちついてくださいえいむさん」

「これが落ち着いていられますか!」

「これは、ぼくが、じぶんでのんだ、どくのせいなんです!」

「毒を?」


 スライムさんは、ぬるぬる動く。


「どくをのんだので、このいろになりました」

「なぜそんなことを」

「へへ。うわさをききましてね」

「どんな?」

「ここだけのはなし。どくというのは……」


 スライムさんは声をひそめた。

「……どく、じゃないですか?」

「……そうだね?」

「でも、かるい、どくをのむ。するとどうなりますか?」

「……軽く、苦しむ?」

「おしいですね! じつは、ちょっとしたどくをのむと、からだが、どくにつよくなるんです!」

「そうなの?」

「はい! ちょっとしたどくをのんだから、すごいどくにたえられる。いいと、おもいませんか!」

「それはそう思うけど」

「でしょう!」

「それって、すごく、正しいやり方を知らないと、あぶないんじゃ……?」

「……ふふ。ぼくも、いま、つうかん、しているところです!」

 スライムさんは、にやりとした。


「いま、スライムさんはどういう状態なの?」

「あたまが、がんがん、いたいです。まあ、ぼくは、ぜんぶあたまなんですけどね! ちがうかもしれませんけど! ふふふ!」

「おかしな気分になっちゃってるよ!」

「でも、まえのときも、ずつうは、いちにち、ありました!」

「あったの?」

 というか、前もやってたの?


「それがおさまって、こうかが、でてきます!」

「それは、正しいやり方の場合でも?」

「はい! だからだいじょうぶです!」

「とは言えないよね?」

「……ふふ。ぼくも、いま、つうかんしているところです!」

「笑ってる場合じゃないよ!」

「でも」


 スライムさんは、ちょっと、きりっとした。


「いろが、かわっただけですよね?」

「頭痛もするんでしょ?」

「いろがかわったということは、えいむさんでいえば、えいむさんのはだが、みどりいろになった。それくらいのことですよね?」

「大変化だけど」

「みどりいろのはだが、へん、ということですか? みどりがきらいということですか! やくそうの、みどりを!」

「緑じゃなかった私が、緑になったら変でしょ」

「たしかに」

「ねえ、それを治す薬草ってあるんでしょ? どこ?」

「ええと……、おくの」

 私は、スライムさんの指示にしたがって、薬草を探した。



「ふう。びっくりしました」

 特別な薬草を飲むと、スライムさんはすっかり、いつもの透き通った青にもどっていた。


「びっくりしたのは私だよ!」

「びっくりしていいですよ!」

「びっくりした!」


 私は、スライムさんが用意してくれたお茶を飲んだ。

 これには毒は入っていない。


「ふう。でもスライムさん、もうやめなよ?」

「こんどからは、ちゃんと、やりかたをきいてから、やります」

「うーん」

「だいじょうぶです!」

「……じゃあ、一回、私に説明してからね」

「ええ? どうしてですか?」

「ほら、人に説明できるくらいじゃないと、ちゃんと理解してないって言うでしょ? ちゃんとわかってからじゃないと、あぶないもん」

「……わかりました!」

「ちゃんとやる?」

「はい、ぼくは、べんきょうもすきなので!」


 スライムさんが、面倒くさいからこの件に関してはしばらくやめておこう、という顔をした気がしたので、私はほっとした。

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